あなたとの思い出
今俺はユノンに今まであったことをすべて話した、虐待を受けていたこと、いじめられていたこと、自殺したことも、そしてこの世界に転生してきたことを。
ユノンは椅子に座って俺に顔を近づけ一応真剣に聞いてくれてる。
「…て事があって今に至るわけ」
「…」
ユノンは右手を顎に当て考えるポーズをとる。
数十秒の沈黙の後にユノンはこう言った。
「へぇ…」「お前信じてないだろ」
ユノンが言い終わるとほぼ同時に即答した。
「し、信じてるよー」
俺の方に目を合わせずに壁の方をキョロキョロしている。
「嘘つけ! お前わかりやすすぎるだろ!」
「うっ…」
ユノンは言い当てられたと言わんばかりに身を後ろに引く。
「ほら信じてないじゃないか」
するとユノンは立ち上がり俺に指を指しながらこう言った。
「だ、だってシウスがほかの世界から来たなら何でこの世界の言葉が分かるのさ!」
そう言えばそうだずっと自殺のことに気がいっててそんなこと考える余裕もなかったからな…
「あ、いや、えーと、それは、だから、たまたま…同じ…言語だったとか?」
「そんなことあるわけないじゃないかー」
ユノンは呆れたように頭をがくんと落としそう行った。
「だって、前の世界の記憶あるし、ドラゴンとかいなかったし、あんな怖い魔獣とかいなかったし」
布団で顔を隠しながらブツブツと独り言のように言い訳を言う。
ユノンは布団をめくりながらこう言う。
「あー、じゃあ、こんな考え方はどうかな?」
「どんな?」
「例えばー、シウは転生してきたんじゃなくてただの生まれ変わりで前世の記憶を持ってるとか」
これは前世の記憶なのか?まあもう死んで生まれ変わってるから前世なんだけど、でも前世の記憶ってこんなに鮮明なのか? 違うと思うんだけどなー。
「でも前世の記憶ってぼんやりしてるものなんでしょ、俺は鮮明に残ってるから違うと思うんだけど」
「んー」
ユノンは両手で頭を抱え考え込む。
そして数秒もしない内に出た答えは。
「うん、分かんない!」「はや!」
「だって分かんないんだもん」
ハブてた子供のようにユノンは頬を膨らませる。
「いや、にしてもはやすぎだろ!もう少しだけ頑張れよ!」
「だって、分かんないし…」
だめだこりゃ。
すると、ドアの方から声がした。
「それじゃぁどっちが子供か分かりませんよ」
「レヴァー」
レヴァが水やタオルを手に持って部屋に入ってくる。
「シウ足の調子はどう?」
そこでおれは、はっとあることを思い出す。
「そう言えば、この包帯早く外してー!血が、血が止まるー!」
「えー!誰ですかこんなに包帯ガッチガチにしたのは!」
レヴァが急いで俺のほうにかけよってくる。
「えへへ、ごめんねシウ」
ユノンは許してもらおうと出来るだけ可愛い声で謝るがなんかそれが余計腹立つな。
レヴァが包帯を緩めてくれたので足が楽になった。
「はぁ…」
俺あんなの好きになっちゃったのか…
あたふたしているレヴァと申し訳なさそうにしているユノンの間でそんなことを思うシウスであった。




