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ファンタジー  作者: フミ
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あなたに出会う日

俺はまだ小学生だった。

親はいない、母は自分を産んですぐに他界、父は母が死んだショックで他の女の人をつくって何処かにいってしまった。


そこまではまだいい、母が死んで、父がいなくなったのまではいい、問題はここからだ。


俺は、父の叔父と叔母に引き取られた。

なぜかは分からないけど俺は叔父と叔母にとても嫌われていた。

俺が少しミスをすると大人二人掛かりで殴る、蹴る、殴る、蹴る。


そして学校、最初は俺の気弱な性格を少しいじるくらいのものだったけどそれがどんどん広がっていっていじめになった。


家では虐待、学校ではいじめ。


そのストレスに負け、俺は自殺した。


人間を恨みながら。


ーーーーーーーーーー

ー3年後ー


俺は3歳になって歩けるくらいには成長した。

親の目の届かないところにも行けるようになった。


3年経った今でも自殺したいと言う気持は収まっていない、俺の人間への恨みや恐怖心と言うのはそれほど根深いものなのだ。


あの大人共が優しいのも今のうちだけ、俺が喋れるようになった途端奴らは態度を変えて暴力を振るうようになるんだ。


そうなる前に、そんな苦しみをまた繰り返さないように、死んで楽になるんだ。



よし、今日の夜、死のう。


ーーーーーーーーーー

親が寝静まった夜の出来事。

俺は寝室の部屋の窓の鍵を開け、外に出る。


始めてこの世界の外に出た、周りは木や古そうな建物で囲まれている。


俺が産まれたのは小さな村の一軒家らしい。


死ぬ場所を探すために森の奥深くに足を運ぶ。


「どこかないのか?高いところから飛び降りれる場所とか」


せめて首をつる紐とかもってくればよかったと思いながらもっと深く森へ潜って行く。


「どこにもないな…苦しいの嫌だけどもういいか…」


そう呟きながら近くの川に顔を突っ込もうとする、すると茂みの方からガサッという音がした。


「だ、だれだ…」


怖い、何故か分からないが怖い。

なんか、こう、オバケが怖いとかそうゆうのとは違う、俺の生物的本能みたいなのが早く逃げろと言っている。


茂みがかき分けられ"それ"が正体を表す。


「南ー無ー」


「だ、大仏?」


"それ"は手を合わせて空中に浮いている。

たしか俺が前世で学校の教科書でよく見た大仏によく似ている気がする。


「に、逃げなきゃ!」


俺は全力で走り出した。

何故だか分からない、自分は今さっきまで死のうとしていたのに、さっきから頭の中は死にたくないという言葉で埋まっている。


「はあ、はあ、あいつ、追ってきやがる!」


「南無、南無、南無」


全力で走っていると言っても所詮3歳、空中に浮いて追いかけてくるような物には勝てない。


「南無南無」


大仏がそう言った足元の石につまずいた、その瞬間さっき自分がつまずいた場所の真横から岩が出現しその空間を押しつぶしていた。


「あ…あ、あああああ!」


あそこで俺がつまずいてなかったら岩に押しつぶされて死んでた。



…違うだろ。


なんで俺死なないように頑張ってんだよ、さっきまで死のうとしてただろ、あいつは俺を殺そうとしてるんだ、黙ってればすぐに死ねるだろ。


「さあ、殺れよ」


「南無阿弥陀仏」


死を覚悟し目をつむる。

ヒュンという音がした、多分もう俺の体は二つに分かれているだろうこれでやっと死ねる。



…ちょっと長いな…ちょっとだけ目を…


ゆっくりと目を開ける、がどこも切れてない。


「あ、あれ?」


さっきの大仏もいない、なんなんだ?


すると何処からか声がした。


「だいじょうぶかい?」


声のする方に目線やるとそこには、黒い髪に、赤い目をした女の子が刀をもって立っていた。


「立てるかい?」


そう言って女の子は俺に手をのばす。


俺は女の子の手をとろうとするが、あることを思い出し女の子の手を払う。


「なにするんだよ、せっかく死ねたのに!」


「死ぬって、その年で考えるにはまだ早いと思うんだけどなー」


女の子は腰に手をあててそういった。


「うるさい!お前に何が分かるんだよ、俺は死ぬんだもう関わるな!」


「失礼なやつだなー君は、命の恩人に向かってー、だけど僕は命を捨てようとしている子供を見捨てるようなやつじゃないから助けてあげるよ」


「余計なお世話だ!」


俺がそう言って逃げ出そうとすると手を掴まれた、振りほどこうとするが力に差がありすぎる抗う間も無く最終的にはお姫様抱っこをされてしまった。


「はなせー!」


手足をジタバタとして抵抗してみるがそんなのお構いなしとばかりに女の子は歩き始める。


「あはは、元気だねー」


そしてそのまま村にまで運んで来られた。

村ではフィズとレヴァが泣きながら俺のことを探し回っていた、俺を見つけた時は大泣きしながら抱きついてきた。


「シウーよかったー!、ありがとうユノン!」


「ああ、山で遊んでるみたいだったよ、よかったねフィズ、レヴァ!」


知り合いだったのかよ。

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