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ファンタジー  作者: フミ
12/14

記憶

とある日のトレーニング中の出来事。


村を走り終わってユノンのところに帰ると地べたに寝っ転がっているユノンの姿があった。


「こいつ、俺がこんなにつなれてるって言うのにスヤスヤと寝やがって…」


あいつが走れって言ったからフルマラソンしてきたのに、こいつ寝てやがる。


手を振りかぶり叩き起してやろうとすると視界にいつもユノンが腰に下げている刀が見えた。


「こいついっつもこの刀持ってると思ってたけど寝るときも一緒なのか」


お人形さん大好きな子供かよ。


生前の俺がそうたったんだけどな。


まあ生前、色々あってあのクソジジイとクソババアにお母さんが俺が産まれる前に唯一買ってくれたクマのぬいぐるみは手足をちぎって捨てられたんだけど…


いやそんな話はもう忘れよう、もう一生会うことがない人達なんだから。


まあ、そんな話はどうでもよくって、いまはユノンの刀だ、なんかこの刀違和感がある、初めてこの刀を見た時から違和感があったが、やっぱりこの刀…


ユノンの腰についた刀を手に取ろうとするが。


「なんだこれ、重!」


手に取ろうと刀を掴み持ち上げようとするが持ち上がらない、て言うか微動だにしない。


こいついっつもこんな重いもん腰にぶら下げてバタバタしてたのか、力が強い強いとは思っていたが本当化け物みたいな奴だな。


俺も今まで支援魔法かけてもらってからアイツの事を背負って走ったり、アイツのこと背負って走ったり、走ったり、走ったり…


あれ?俺今まで走ってしかなくね?


ま、まあ、とりあえず多分俺は支援魔法を掛けてもらってたから気づかなかったんだろうな。


「とりあえずこれちょっとでも持ち上げれないかな」


グッと踏ん張って刀を持ち上げようとするがやはりびくともしない。


「ねえ、シウ何してんの」


「うわあ!びっくりしたぁ」


気づくとユノンはさっきまで仰向けだったのにいつの間にか横向きになってじっとこっちを見ていた。


「なにしてたの」


「いや、まあ、ちょっとこの刀のことが気になってさあ」


「んーああ、これかあ、これはねえ」


ユノンは立ち上がり刀を軽々と片手で持ち上げる。


何であんなもん持ち上げれるんだ、しかも片手で。


「ちょっとよくわかんない」


首をかしげて間の抜けた顔でそう言われた。


「毎日大切そうに持ち歩いてんだろ」


「だって取られるかもしれないもん」


「取れねえ」


持ち上がりすらしない。


ーーーーーーーーーー


その後も色々ユノンが刀のことを思い出そうと悩みに悩んでいるがやはりユノンの頭では思い出せない。


「んーー」


ユノンは腕を組みながら必死に思い出そうと頑張っている。


「一つでもいいから思い出してみろよ、例えばそうだな、その刀の名前とか」


「あーーーー」


空を見て声を出しながら固まってしまった。


しまった、ユノンの脳に不可をかけすぎた、これは失礼なことをしてしまった。


「おーい、ユノン帰ってこーい」


するとさっきまで虚ろだった目が勢い良く見開かれた。


「思いー出したー!」


「変な思い出し方すんな」


両手を拳にして天に掲げているユノンを宥めてから思い出したことをゆっくりと聞く。


「なにを思い出したんですか」


「えっとね、ちょっと待ってね」


ユノンはゴソゴソと自分のポケット探る。


「あった!これこれ」


その手には薄汚れていて紐が切れそうな巾着袋が握られていた。


「なんだよそれ」


「これの中にはこれが入ってるんだ」


巾着袋から取り出したのは小さな紙切れ、その紙切れには何か書いてあるようだった。


「何が書いてあるんだそれ」


「刀の名前が書いてあるんだよ」


刀の名前だけを書いてある紙を袋に入れて持ち歩いてたのか、どんだけ忘れっぽいんだよ。


「それで、刀の名前はなんて書いてあるんだ?」


「えっとねえ、これは」


やっぱりこの刀知っている、名前も知ってるこの刀の名前は………


「「御魎刀(オンリョウトウ)」」


俺の声とユノンの声はピタリと綺麗に重なった。


「あれ、なんで名前知ってるの?」


あっやべ、声に出てた。


「あっいや紙から透けて見えたからさあ」


「へえ、でもこんな難しい漢字よく読めたね」


確かになんで俺はこの刀の名前が読めたんだ、いやちがう、読めたんじゃない覚えてたんだ、でもいつこんな刀に会ったんだ?


「何となくそうじゃないかなーて…」


流石に無理があるか?


「そっかあー」


馬鹿でよかった。


俺はその日、その刀のことが気になり、色々な人に聞いてみようと思った、まあ色々な人って言ってもフィズとレヴァの事だけど。


そんなことを考えているとユノンがこんなことを言い出した。


「次からこの刀で素振りの練習でもしてみる?」


「え…?」


俺どうなっちゃうんだろ。



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