あなたの真実
ユノンに殺されました。
目が覚めると目の前は薄い赤で染まっていた。
驚くような気力ももう無い俺は目をこすって目の前の薄い赤が取れるか確認する。
目をこすってとれないと判断した俺は諦めてあたりを見渡す。
するとユノンが体の上にうつ伏せになって乗っていることに今更気づく。
ユノンを起こすためまだ本調子でない喉と体を無理矢理動かしてユノンを起こす。
「おい、起きろよ、おい」
そして数秒ほど経ってからユノンがゆっくりと起き上がった。
「うんんー、おはよー…」
起き上がったと思ったらまたガクンと頭が落ちて眠りに入った。
「おい、寝るな、重い!」
「んー、あとちょっとー…」
「その後ちょっとで俺が潰れる!」
「んもー、わかったよー…」
まだぼんやりとした声でユノンは返事をして起き上がる。
俺は再確認するようにあたりを見渡すとやはり外だった、しかも俺は水溜り上で寝ていたようだった、地面が濡れている。
服が大量に吸った水を絞るため上着だけ脱いで確認する。
「は…?」
それは水ではなかった、嘘だと頭の中で思いつつさっき自分が寝ていた場所を確認する。
するとそこには、決して水溜りなどではない、血溜まりがあった。
脳内をよぎる記憶。
大きな鎧、襲われる、棍棒で殴られる、ユノンに…殺される…
「あ、え?は、あ?」
追いつかない思考を無視して切られたと思われる首にゆっくりと触る、傷は…ない?
でもたしかに切られたはず、ゆめ?
でも、じゃあ、だとしたらあの血は?あの血溜まりは?
「え、なんで、あっ、ユ、ユノンこれどう言うことだよ!」
何が起こったのか把握しきれていない俺はユノンに理由だけを求める。
「あ、まあそれはー……」
ユノンの長い沈黙の後にユノンはその場に立ちながらこう言った。
「君はもう死にそうな状態だったから死んでもらった」
何を言ってる、何を言っているんだこいつは、死にそうだったから殺した?訳が分からない。
「えっ、は?えっと…だから…とう言うことだ?」
「えっと、とりあえず話すと長いから、家、戻ろ」
ユノンは俺の家を指しながらそう言った。
ーーーーーーーーーー
俺とユノンは家に戻って、フィズとレヴァと普通に食事をとった後にいつもの寝室で話した。
「えっと、シウ、よく聞いてね、単刀直入に言うよ、僕は鬼だ」
「え?」
「だから僕は鬼だから君と血族になって君を生き返らせた」
「は?」
「いや、だから――――」
俺はユノンの話を一時間位聞いてやっと理解出来た。
要約するとこうだ。
ユノンは鬼で、人間を鬼の血族にすると鬼と同じ能力を持つことができるそうだ、鬼の血族になった人間はパーツを鬼に適応できるように自動的に作り直すらしい、そのお陰で俺は生きている。
何故ユノンが1回俺を殺したかと言うと、人間が鬼になれる条件という物がありるらしい。
一つ目、人間であること
二つ目、死んでいること
ユノンは二つ目の条件の死んでいることを満たそうとしたが、俺はあの時、鎧に棍棒で殴られた、その結果ほぼ死んでいたらしい。
ということはほっとけば死んでいたのにユノンは俺を殺したということになるが、違うらしい、大量出血で死んだ場合はもう無理だという。
それと鬼は興奮状態になると普通の人間より身体能力が何倍も上回るらしい。
まああと細かいことを言えば、鬼は魔獣を引き寄せやすくなるとか言ってたけど、とりあえずユノンが無事で、俺が無事それでよかった。