表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

過去の男とめくるめく散文たち

取立て屋

作者: 水岡きよみ

借金返せと取り立てるやくざのように

あの人を返してって私は叫ぶ


誰でもない、相手もわからない、

過去の私に

あのとき彼に別れを決断させてしまった私に

それを引き止めることをしなかった私に

最後なのに言いたいこと、伝えたいことなにひとつ

ぶつけようとしなかった私に


いまだに憤っている



返せと言われたって元から彼は貴方の所有物じゃないよって

こころの私が言う


かつては所有物と見なされるのが嫌だった私が

かつては独りがお気楽だと心の底から思っていた私が

かつては恋人なんかいらない、用途別に愛人を数名用意してあればいいと語っていた私が

かつては惚れ込んで尽くしてくれたのに今じゃ空を自由に飛ぶ鳥のような彼に


いまだに嘆いている



万引きした商品返せと追いかけ回すドラマのおばちゃんのように

お願いだから戻ってきてと私は泣きじゃくる


私の部屋からはどこからか彼の匂いがする

誰も呼んだことのないはずの私の部屋から大好きな香りが漂う

私は匂いフェチで足の指の間を愛でるのが好きだ

そんな私にさらに特殊性癖の芽を植えていったのが、彼

そんなことまで思い出したくないのに、思い出させる匂いで


いまだに彼を愛している

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ