葬式
ある日の午後。町外れの祭儀場で
葬式が行われているところに遭遇した。
花輪がもくもくと飾られ、鯨幕が掲げられ、
提灯もある。いかにも葬式 ー
参列者と言うものだろうか?
人々も白と黒の衣装に身を固め、
顔色も優れず、涙を流したり、しかめたり…
参列者達は[哀しみ]に挨拶を交わしていた。
それからだろうか、式場から、線香の高貴な
香りと共に、棺が運ばれてきた。
大勢の男達に背負われて…
やっとの思いで、棺は霊柩車に入れられた。
近くにいる、お坊さんは、
線香の香りと共に念仏を唱えている。
煙は、死者を優しく包み込むように、
霊柩車に這いつくばっていた。
[パーー]
車はクラクションを甲高く上げた。
…最後のお別れだ。
ゆっくりと霊柩車は走り出した。
参列者達は、しっかりと霊柩車を見送った。
ゆっくりと霊柩車は、見えなくなっていた。
参列者達は、それを終わると、ぞろぞろと帰って行く。
あるものは、遺族に軽い会釈をしたり、また、
あるものは、無言で帰っていったり。
葬式ほど、しんみりした終演はない。
人々がほとんど、帰っていくと、
一人だけ、ポツンと少女が空を見ていた。
少女は空に向かって、手を振り、
(またね。)と優しくつぶやいた。
少女は母親らしい女性に、手を引かれ、
帰っていった。
僕は、空を見上げた。
夕暮れの日差しが雲の隙間から、
明るく照らしていた。
(故人は幸せだったんだな)




