麦茶
麦茶とは不思議なもので、家庭によって味が違う。
私は小さい頃、友達の家に遊びにいって、冷えた麦茶が出てくるのが楽しみだった。いま思えばなんでそんなことが楽しみだったのだろう。
みんな揃って自分の家の麦茶が一番美味しいという。私だってそうだ。
夏はよく縁側でスイカと一緒に飲んでいたせいでみずっぱらになってた。
中学高校と部活のお供に持っていった冷えてきんきんのそれは頭がしびれるほど美味しかった。少し頭がいたくなったけど。
あとはやはり風呂上がりに飲む麦茶。
お父さんのビールジョッキに氷をごろごろ入れてなみなみと麦茶を注ぎ、「ぷはーっ!!」とか「この一杯のために学校にいってる」とかよくある台詞を言ってみるのが好きだった。
そしていま、私は麦茶が大好きだ。
大学生になって早二年、アルコールを摂取することが多くなった。しかし、お酒は確かにとってもとっても美味しいし、酔って楽しい気分に浸るのは悪くはなかった。だけど、麦茶をたまに飲むと、あまりの懐かしさに、時にはどんなに強いお酒よりも気分が良くなる。
麦茶は私の家族のようなものだ。これから先、なくては生きていけなくなるほどに。