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システムE ver.2  作者: 八澤
第三話 トイレに入った後のヤ暮ったい女子高生が見せるわかりにくいサインを見逃すな
13/62

ver.013


 階段は一直線に、永遠に続いているのかと思うほど伸びていた。もう確実に五階分は登ったと思った時、やっと、前方から、微かな光が煌めくのが見えた。

 私達はそれを確認すると、一気に足を速める。

 扉があった。

 光は、そこから漏れている。

 先頭で辿りついた私は、扉を開けた。

 その瞬間に、まず私にぶつかってきたのは……音だった。テンポの良いBGMが流れていた。意識しないと、頭の中で無限にループしてしまうような曲だ。

 次に、明るい光が目に差し込む。視界が開けて、二階の様子が、私の目に飛び込んでくる。

 輝いていた。

 それにとても清潔で、ゴミ一つ無くて、巨大な空間が目の前に広がっていた。

 ……巨大な、空間が、目の前に、広がって……? 

 廊下は無い。壁も無い。教室や、その他色々、……ここは創立百年を超えた小学校などではなく、どう見ても、

『遊園地』だった。

 ――遊園地。

 遊園地、もしくはテーマパークだ。ジェットコースターなどのアトラクションが備え付けられている。

 ……えっと、ちょっとタンマ。

 目を瞑る。今さっき、私はモンスターと死闘を繰り広げてきたから、頭が混乱しているんだろう。疲れて、ちょっと頭が馬鹿になったんだ。記憶や何かが混同してしまった……。大きく深呼吸をして、再度目を見開く。あぁ、やっぱり遊園地があった。

 近場には煌びやかに光る馬や人形が備え付けられたメリーゴーランドがあり、その周りに様々なアトラクションが並んでいる。遊園地の中心には、巨大な観覧車があった。……デカすぎる。頂上部は雲に当たりそうなほどの高さを有している。その観覧車を囲むように、路線が宙を走っていた。多分ジェットコースターかな。

「きゃッ」

「うわぁ、はぁ?」

 ミナミとマコはほぼ同時に、この遊園地を目の当たりにして声を上げた。

 そうだよね、私達は今まで小学校の一階に居て、二階へ上がっただけなのに、そこは遊園地が展開されている。面積がどうとか、校舎に入りきらないとか、そういう次元の話ではない。

 ……嫌な予感がして、振り返ると、果たせるかな、扉は跡形も無く消えていた。背後には、派手なペイントが塗られた壁があるだけで――この壁も、一階の校舎を囲う壁と同じく、空高くまで聳えていた。

 閉じ込められてしまった。

「空がある。……色は綺麗だ」このどぎつい原色のどこが? と突っ込む気になったが、まだ口が動かない。

「ここ、本当に学校の中……ですよね?」ミナミは震えていた。

「だと思いたいけど、私にはそれを信じる自信が無い。私達は一体何に巻き込まれたの」

 私は頭を押さえながら近くにある小奇麗なベンチに座った。質感はちゃんとある。もしかして、今、私は夢を見ているのかと、自分の頬をつねってみたけど、痛い。ついでに、マコの頬もつねってみるけど、結果は同じだった。「痛い痛い痛いッ」

 私はポケットからケータイを取り出すと、開く。画面は相変わらず私のステータス画面だ。レベルアップしたから少し変化があったけど、それだけだ。根本的な部分は何も変わらない。


セセラギ

DP            SP

300/300     7/7 ●●●●●●●

 

①閃光 ②ビルドレ ③瞑想ギガドレ

 

 私につられて、二人も自分のケータイを確認している。表情を見るからに、同じく何も手がかりが無いのだろう。

「あー、帰りたい。帰ってシャワーを浴びたい」と呟きながら立ち上がった。「進むしか、無いのかな?」

「うん、扉、消えちゃったし……。ここは、ゲームみたいに言えば、二面だと思う。また、俺達三人でボスを倒さないと、三階への道は開かれない」

 マコは淡々と口にした。その言い方があまりに断定的過ぎて、私の癪に触れた。

「うぅ、お嬢様が頂上で亀甲縛りされているわけでもないし、影がうろつく塔に紛れ込んだわけでもない。明確な理由が無いのに、どうして上に行かなきゃならないのよ」

「もう戻れないんだから仕方ねーよ。もしかしたら、上に行けば、元の世界に戻れるかもしれないじゃん」

 上に行っても、また摩訶不思議な世界が広がっているのでは? それを延々と繰り返すのではないか、と思うと気が重くなる。脱出する方法を頭に浮かべながら、遊園地の中を探索することにした。


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