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第2話 悪い事は重なる

「美樹!!パス!」

体育館のフロアにボールが跳ねる音、シューズがこすれる音が響き渡る。

「任せて!!」

美樹は、チームメイトから渡されたボールをしっかりと構え、ボールを放つ。

ボールは美しい放物線を描き、

ゴールに吸い込まれた。

「やったーーーー!」

「さすが、美樹!!」

チームメイト達は美樹のもとに駆け寄り喜びを分かち合う。

すると

「美樹!!ちょっとこっちに来い!!」

体育館の入り口に現れたバスケットボール部の顧問の先生が叫んだ。

「もしかして、次の試合レギュラー決定とか…。」

美樹は他の人には分からないようにガッツポーズをすると急いで先生のもとへと駆け寄った。

「なんですか?吉沢先生。」

吉沢先生と呼ばれたジャージ姿の先生はおとこという文字が似合いそうな体育会系熱血教師だった。

「中谷先生から話は聞いた。」

そう言って美樹に一枚の紙を渡す。

「なんですか、これ?」

中谷先生という言葉に嫌な予感を感じながらも聞いた。

「化学のプリントだ。学生の本分は勉強!!部活との両立ができない人間に部活をやらせるわけにはいかない!そこで中谷先生が作ったそのスペシャルプリントの問題をすべて正解するまで部活には来なくていい!!」

ふんと鼻から息を吐き吉沢先生は美樹を見た。

「……し…試合は?」

驚愕の事実に声を震わせながら美樹は聞いた。

「無論、試合もだ。」

「うそーーーーーーーーー!!!」

体育館には美樹の悲鳴が響き渡った。


「綾香~だずげで~。」

廊下を歩いていた綾香は聞き覚えのある声に振り返る。

「ヒぃ!!」

そこに居た綾香の顔を見ると短く悲鳴を上げた。

「あやか~」

「一体何があったの!?」

美樹は体育館での出来事を説明するとプリントを渡した。


        中谷先生のスペシャルプリント

1.原子の構造について波動関数により証明した人物は?

2.1に関し、一つの軌道にはいくつの原子が入るか。

3.アセトアルデヒドを酸化させると酢酸が生成されるがその反応には中間体であるビニルアルコールが存在する。アセトアルデヒドからビニルアルコールへの変化をとくになんと言うか。


「分かんない。」

プリントを見た綾香は言った。

「そんな~。」

がっくりと首を落としながら美樹は言った。

「分かるわけないじゃない。私化学の授業受けてないもの。」

美樹のもとにプリントを渡しながら綾香は言った。

「そんなこと言わないで、助けてよ!!」

美樹は顔を上げ綾香を見る。

「私じゃなくて、化学受けてる人に聞きなさいよ。」

綾香はため息をつきながら言った。

「聞いたわよ!!でも、誰も分からないって言うの…。」

「なによそれ…そんなに難しいのそれ。」

綾香はプリントを指差しながら言った。

「簡単そうなのに…。」

美樹はツンツンとプリントを突っつきながら言った。

「まぁ、インターネットでも使えば良いじゃない。」

綾香が言うと

「ダメ!!私は早くバスケしたいの~バスケ~。」

駄々っ子のように言う美樹に対しため息をつくと綾香は閃いた。

「美樹!彼には聞いたの?」

「ん~?」

幹の指差した先を見ると黒髪にいかにも真面目そうな髪型の生徒が廊下をこちらに向かいながら歩いていた。



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