放課後と福引き
放課後
部屋に戻って来た始は冷蔵庫を開いた。
「ん?しまったなそう言えば空だったな。」
冷蔵庫の中身を見てみると空だった。
本来であれば昨日買い足す予定だったのだが今日昼食を作って貰う約束をしていた為昨晩と今朝の食事は有り合わせで終わらせていたのを昼食のインパクトで頭から抜け落ちていたのだ。
「仕方ない今から行くか。タイムセールには間に合いそうに無いが……別に良いだろう。」
私服に着替えた始は鞄を持って買い物に向かった。
「お買い上げありがとうございまーす。」
「うっす。」
「こちらお買い物をして頂いた特典の福引き券でーす。」
「ありがとうございます。」
買い物を終えた始は福引き券を片手に福引き会場へ向かっていた。
「期限は今週中だから急がなくても良いが……忘れそうだし今行った方が良いよな。」
会場が見えてきた所で学生服の少女を見かけた。
「ん?あれは蒼野だったか?そう言えばお使いを頼まれてたな。」
声を掛けるか少し考えた後、彼女の手元を見て声を掛ける事にした。
「蒼野、お使いか?」
「え?あ、先輩!」
声を掛けられ首を傾げながら首だけ振り向いた葵は始の姿を見ると笑顔で身体も始の方へと振り向いた。
「はい、お使いです!先輩は……先輩もお使いですか?」
「いや、俺は一人暮らしだからな。普通に買い物だ。」
「あ、一人暮らしだったんですね。」
「ずいぶん量が多いな。一週間分とかか?」
「そうですね。お母さんあんまり買い物に行きたがら無いので1回で纏めて行きたがるんですよね。」
「それを娘に任せているのか?」
「あ、これでもお母さんが買ってくるよりは少ないんですよ?」
「そうなのか?」
「今回はスーパー1箇所だけで終わる様な量だったんですけど普段は4軒くらい回って買い物して来ますから。」
「そ、そうなのか……」
家族を含めての買い物とはそんなものなのかと始が戦慄していると葵が始の手の中にあるものに気付いた。
「あ!先輩も福引きに来たんですね!」
「ああ、忘れそうだからな。」
「私、も……10枚貰ったので引きに来ました!」
「そうか。」
「一緒に行きましょう!」
「ああ。……そうだ、片方貸してくれ。」
「片方?」
「手に持ってる袋だ。短い間だが持ってやる。」
「え!?いやいや大丈夫ですよ!」
「福引きを引くのには邪魔だろ。」
「あ、確かにそれなら……お願い……します。」
躊躇い気味に差し出して来たそれを受け取った始はその重さに驚いた。
(凄い重さだ……これを2個……力持ちだなこいつ。)
「あ、あの大丈夫……ですか?」
「あ、ああ。短い間なら大丈夫だ。」
そんなこんなあり2人は福引き会場へとやって来た。
タイムセールの客が帰った後なのか会場はがらんとしていた。
「すみませーん!福引き引かせてくださーい!」
「いらっしゃい!1枚で1回だよ!」
「はい、これでお願いします!」
葵は担当の男性にスカートのポケットから出した福引き券を渡した。
「10枚だね。それじゃ思いっきり回してくれ!」
「いっくぞーーー!」
葵は思いっきり回した。
結果は白色が7個、青が2個、赤が1個だった。
「なんか悪そう!」
「悪そうだな。」
結果を見た葵と始はいかにもハズレといった結果に少しだけ苦笑いした。
「どうですか?」
「白はハズレ、青は5等、赤は4等だねぇ。」
「やっぱり〜〜」
「白はポケットティッシュで、青は箱ティッシュ、赤はトイレットペーパーだね。」
7個のポケットティッシュと2個の5個入り箱ティッシュと12個入りのトイレットペーパーを出された葵は学生鞄から取り出したエコバッグにそれを詰めていく。
「次は俺だな。」
その様子を荷物を右手に纏めて持ち替え肩を竦めながら始は男性に福引き券を渡す。
「1枚だから1回だね、それじゃお兄さんも思いっきり行っちゃおう!」
「まあ、何でも良いがな。」
ぐるぐるとゆっくりと回す始、少し出が悪いのか中々出てこない。
出が悪い内に荷物を詰め終わった葵がこちらを覗き込んだ。
そうしている内に遂にコロンと中から一つの玉が出てきた。
「ん……?これは……」
「黒……?」
「おお!こいつぁ!」
それを見た男性は思いっきり手にしたハンドベルを思いっきり振る。
「特等大当たり!!!!!」
「わぁ凄いです先輩!」
「おぉ、こういうのって欲望が無いと当たるって本当なんだな。」
「景品はこれ!」
そうして豪華賞品として出されたのは始には見覚えしか無いものだった。
「今欲しい人続出のD-リムギアとネクスト・ライフ・オンラインのリアルカセットだ!」




