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一人でいる現実と自販機前の出会い

家を出た始は一人通学路を歩いていた。

周りには同じ制服を身に纏った少年少女達が歩いており挨拶をしたり世間話をしている。

だが始に声をかける者は誰もいない。

それを始は気にかける様子も無く欠伸をしながら今晩のゲームの事を考えながら学校まで歩いていくのだった。

教室に辿り着いても始は何も変わらない。

誰とも挨拶をせず自分の席に着きスマホを開きSNSでNLOの情報を調べていく。

始と同じ最前線の最新情報からエンジョイ勢の新発見クエスト等色々な情報を見ていく中一つ気になる情報があった。

とあるエリアでまるでプレイヤーの様に会話の出来るノンプレイヤーキャラ、NPCが居たという。しかも一箇所に留まっているわけでは無くエリア内を動き回っているらしい。

その気になって探せば見つかるらしいが特にアイテムを貰えるわけでは無いので話したい人だけが探すらしい。

「ふむ……」

始はそれを見て少し思案する。

特にメリットがあるわけでは無いが物珍しいそれをみたいという興味が少し湧いた。

「今週中はイベントがあるから難しいが来週には暇になるし行ってみるか。」

来週の予定が出来たと少し満足気な声を始が出したところで始業のチャイムが鳴り教室に教師が入ってきたのだった。


昼食の時間持ってきた昼食を食べ終わった始は喉が渇いた為小銭入れを片手に自販機へと向かっていた。

「さて何を飲むか……ん?」

自販機のラインナップを頭に浮かべながら歩いていると目的地の自販機に変な少女がいた。

頭と手を自販機の下に必死に突っ込んでおり制服が汚れるのを気にしていない様子だ。

それを見た始はため息をつきながら少女に話しかけた。

「おーい、どうしたんだ?」

声をかけられた少女はビクッと身体を震わせた。それと同時にゴンッという音が鳴り頭を抱えた。どうやら頭を打ったようだ。

「いたた……」

「悪かった、大丈夫か……?」

「だ、大丈夫です。ここ使われますよねすいません。」

「いやまあ、確かにここを目的に来たんだが……」

始はその打ったであろう部分を撫でて場所をあける少女を見る。

始の学校は男子ならネクタイ女子ならリボンを胸元に着けるようになっているのだがそれは学年事に色が違う。

始の学年である2年生は青だ。それで目の前の少女のリボンの色は赤色、赤色は1年生の色の為彼女は1年生のようだ。

「何があったんだ?」

「あーその……ちょっと500円玉を自販機の下に落としちゃって……」

「なるほど。」

普通の高校生にとって500円は大金だ。全身がホコリまみれ土まみれになろうと何が何でも取りたいだろう。

「でも手が届かなくて……」

「細長いもの……なんて持ってるわけもないしそりゃ手を入れるしか無いか。」

「うう……私の500円……」

「はぁ、仕方ない少し待て。」

「え?」

始はそう言うとなんの躊躇いも無く彼女の様に地面に伏せ左手にポケットに入れていたスマホをライトを光らせながら右手を自販機の下に突っ込んだ。

「ええ!?ちょ、ちょっと?」

「んー、あ、これか?」

指に当たりを見つけた始はそれを引き寄せる。引き寄せたそれは500円玉、今年作られた物である事からまさに彼女が落としたものであろう事を確認した始は立ち上がり彼女にそれを渡した。

「これで間違い無いか?」

「あ!今年作られた500円玉、これです!ありがとうございます!」

凄い喜んで頬擦りまでする少女を片目にホコリを払った始は麦茶を買った。

「あ、お礼は何か欲しいものありませんか!私に出来ることなら頑張ります!」

「いや別にいいよ。君1年生だろ?俺は先輩だし後輩を助けるのは当たり前だろ?」

「そうは言わずに何かありませんか?」

「うーん……」

「あ、そうだ!お昼ご飯はまだですか?」

「いやもう食べた後だよ。」

「なら明日ここに来てください!」

「何があるんだ?」

「明日私がお弁当作ってくるのでそれをお礼として受け取ってください!」

「あー」

これは面倒くさいタイプを助けたなと始は思った。恐らくお礼をするまで満足出来ないタイプだ。下手をするとしばらく付きまとわれかねない。なら彼女の申し出を受けてとっと終わらせる事が1番だと思った始は頷いた。

「分かった。明日ここに来るから頼む。」

「はい!とびっきり美味しいのにするので楽しみにしててくださいね!」

そう言った少女は紙パックのイチゴ牛乳を買って教室に戻っていくのだった。

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