No.69 虚しい勝利
「相変わらず弱すぎるのぅ」
「んにゃーーー! 卑怯者なのにゃーーー!」
対戦格闘ゲームでカルカンと対戦をしているのだが、これで通算999戦999勝。
「お主、二択をことごとく読み間違うのは何故じゃ?」
「二択に引っ掛けるのが卑怯なのにゃ!」
カルカンはゲームは何をやっても弱い。トランプ、オセロ、そういったものでも妾は無敗となっていて、これでは少々物足りないというもの。
「そもそも、せめて考えを口走るのはやめたらどうなのじゃ?」
「にゃ? 私は何か呟いていたのかにゃ?」
どうやら無自覚のようだ。
先日、オキノたちを呼んで麻雀をしたときにも、「リャンソーまだかにゃー」とカルカンが呟いたことで最後のリャンソーを待っていることが発覚した。
格闘ゲームでもコマンド入力する予定の必殺技を叫ぶのだ。どこぞのロボットアニメでもあるまいに、これでは駆け引きもへったくれもない。
「ほれ、しゃがみか中段の二択ぞ」
「むむ、これは!」
「残念、実は投げなのじゃ」
「にゃーーー!」
実に弱い。ついに勝ち星が4桁になってしまった。
そこで妾はカルカンの勝負弱さについて少し矯正をしてみることにした。
「お主、生前では防衛大臣を務めておったと豪語しておったが、このような体たらくでどうやって務めておったのじゃ?」
「んにゃ? 私は実戦では恐ろしく強いのにゃ!」
カルカンは胸をドンと叩いて自慢げな顔をする。
最初は嘘だと思っていたのだが、ラザから伝心して貰った内容でもカルカンが防衛大臣を務めていて、国の中でも上澄みの強さだったのは間違いがない。
「それでお主はどのぐらいの強さだったのじゃ?」
「上から数えて五番目だったのにゃ」
「当然、ラザがトップよのぅ」
「ラザ様は二番目なのにゃ」
なんと、妾からすれば絶対に勝てそうにもないラザより強い存在がいるとカルカンは言う。それが先代だと何故かカルカンが自慢げに語っていた。
「まぁ良い。妾としては退屈なのじゃ。ブラフに引っ掛かるその素直さからどうにかせんとじゃな」
そうして色々とやったがダメ。今はババ抜きで残り二枚の状況にしているのに、このアホの子はブラフに必ず引っ掛かる。
「カルカン、この左がババじゃぞ? ええか、左じゃからな!」
「なんと、左がババだったのかにゃ。だったらこっちにするのにゃ!」
「どうしてそうなるーーー!」
アホすぎて話にならない。二択まで絞ってもこれなのだ。必ず勝つ相手との勝負ほど虚しいものは無かった。
「と、言う訳でカルカンの二択判断だけでもせめてまともにする特訓を開始する」
「にゃー? そんなことよりビールのお代わりが欲しいのにゃ」
「なお! この特訓メニューを合格で乗りきらぬ限り一切の禁酒とするのじゃ!」
「にゃ!? にゃんだってーーー!?」




