No.65 窒息死してしまう!
「カルカン! カルカンや!」
「一体朝から何を騒いでるのにゃ?」
のんびりと欠伸をしているカルカンの肩を必死に揺さぶる。
「そんなに揺らすと昨夜のお酒が頭に響くにゃ……」
「そんな悠長なことをゆうとう場合では無いのじゃ!」
妾としては切実で一刻を争う事態なのに、カルカンは暢気なものだ。
一先ず尻尾で往復ビンタを叩き込む。
「痛い痛い! 何するのにゃ!」
「このままでは妾は死んでしまう! はよう助けてたもれ!」
「落ち着いて最初から説明するにゃ」
妾は順を追って説明することにした。
昨夜、カルカンと二人で飲み明かす。お酒が切れそうだったのでネット注文をした。ここまでは生存を確認。
カルカンが酔いつぶれたあと、SNSをチェックしたら繋がらなかった。けれど、一時的なものかと思い、その場はスルーした。
深夜、トイレを催して起きてしまい、トイレの中でSNSを確認しようとしたら繋がらなかった。まだ酔いが回っていてうまく頭が働かなかったので、そこでもスルー。それが夜の間に3回繰り返された。
早朝、ソシャゲのログボを回収しなければとアプリを起動するも「ネットワークに接続できません」の文字。慌ててSNSに繋ごうとしても繋がらず、Wi-Fiは応答するのに何故かインターネットには繋がらない。
「だから妾は死ぬのじゃ!」
「頻尿は直した方が良いのにゃ」
「そうではない! ログボが途切れてしまうのじゃ! SNSの更新皆勤も!」
「たかが一日くらいで大袈裟なのにゃ」
カルカンは普段ネットをしないからか、気持ちが全然伝わらない。1時間の内に5回はSNSをチェックしないと気が済まない妾としては死活問題だ。
酒を人質に交渉を持ち掛けたらあっさりカルカンは手のひらを翻し、業者を呼んで調べてもらうことになった。
「ハードウェアの寿命ですね。部品取り換えには3日必要です。もしお急ぎでしたら新しいWi-Fiにすれば即日にでも……」
「今すぐ新しいWi-Fiにするのじゃ!」
「ヨウ! 何を勝手に答えてるのにゃ!? そんな予算はもう無いのにゃ!」
カルカンの大反対を押し切り、新規契約をした。
それ以降、カルカンとの仲が険悪になってしまう。
ラザの背中ショットを撮影しながら喧嘩の件の愚痴を零す。
「ちょっとくらいの浪費、あのように怒らんでもええじゃろうに。そもそもアヤツの酒代の方がかかっておるわ。そうは思わんかぇラザ?」
『う~? ケンカ良くないござる~』
「そうかそうか。ラザも妾の味方をしてくれないのじゃな」
『う~? ボクの話聞くござる~』
ラザが振り向いた瞬間、大地震が発生した。




