No.64 ゴミ出し記念未遂
「ヨウ、またAV撮影をしてるのにゃ?」
「なんじゃカルカン! 人聞きの悪い言い回しをするでない!」
妾がラザを撮影していたら、半分眠気眼をしたカルカンから野次られる。
相変わらずラザはピクリとも動かない置物状態で、動画撮影なのに静止画と思えるほどの静寂が流れていた。
カルカンが尻尾をダスキンモップ替わりにして掃除しながら汗を拭う。
「ふぅ、ここも汚れているからしっかり掃除しておきたいのにゃ」
「おい、カルカン」
「なんにゃ?」
掃除の手を止めずに怪訝そうな瞳をこちらへ向けてくる。だが冗談ではない。
「お主、掃除をするときはちゃんとダスキンモップを使うか若しくはお主自身の尻尾を使えとゆうておろうに」
「ちょうどそこにあって手ごろなサイズだからついなのにゃ」
何が「ついなのにゃ」だ。勝手に妾の尻尾を使って埃取りをするなぞ言語道断であるし、何より妾の誇りが吹き飛びそうだ。
ちなみに掃除当番制を採用していた。
当然ながらラザは免除となっている。地球を掃除されては敵わないから。
しかし中々計画通りにはことが進まない。
「カルカンや。お主も負担であろう? 月曜日か、せめて土曜日だけでも妾が代わってやろうぞ」
「余計なお世話なのにゃ。ヨウは火曜日と日曜日だけしっかり掃除をするのにゃ」
妾は綺麗好きをアピールしつつ、あわよくばを狙って掃除の当番制を願い出た。だが、どうしてもゴミ出しの日は任せて貰えない。2:5では比率がおかしいだろうと是正を提案しても取り付く島もなかった。
(ぐぬぬ。こうなったら意地でもゴミ出しをしたいぞ)
最初はゴミ出しのついでに茶室の外がどうなっているのか見れるかもという好奇心だけだったのだが、ここまで頑なに守られるとこじ開けて見てやりたくなるのが人情というもの。
「そうそう、カルカン。今週の金曜日はオールで飲み明かすのはどうじゃ?」
「んにゃ? 賛成なのにゃーーー! 何かお祝い事かにゃ?」
「(妾のゴミ出し記念だから)そうじゃよ」
カルカンを酔い潰し、資源ごみの日をジャックしてしまおう作戦。
言わばその前祝いと言えよう。
──金曜日の夜。
「では高級ブランデーで乾杯をするのじゃ!」
「にゃっにゃにゃっにゃ♪ あ、そうだそうだ。先に資源ごみをまとめて出しておくのにゃ」
「は?」
いつもは酒とあれば何を放り出してでも飛びつくのに、何故か準備万端で挑んだ今日に限って明日の準備を始めてしまうカルカン。
「……か、カルカンや。それは明日で良かろう?」
「飲みすぎて明日のゴミ出しを出来なかったら困るのにゃ。あ、あとラザ様にも伝言しておくのにゃ」
するとカルカンは立ち上がってラザの元へ。
「ラザ様。私が潰れた後にもしヨウが部屋を出ようとしたらプチっと潰しちゃって欲しいのにゃ」
『う~? プチっと~? うんつぶすつぶす~』
うほぉ。何やらプチトマトになりそうで悪寒が走った。




