No.6 VRも完備の快適空間
ニヤリと不敵な笑みを浮かべるカルカン。
「シアターを用意しているのにゃ」
プロジェクタースクリーンが天井から降りてきた。
「リクライニングシートが無ければ腰が痛くなるわい」
「それも完備にゃ。ポチっとにゃ」
カルカンが何やらボタンを押すと畳がパカッと開き、小型の椅子が出てきて、パタパタと展開して見事なリクライニングシートへ変化を遂げる。
「ぐ……ぐぬぬ」
「ほれほれ、次はなんにゃー? にゃ~~~?」
この光の神。大人げない。
だが、これは戦争だ。こちらも引くことは出来ぬ。
「スクリーンでは物足りぬのぅ、360度どこを見ても映像が見れんと満足できんわい」
「HMDを用意してあるのにゃ。遠慮なくVRの世界を堪能するのにゃ」
「お寿司というのを食べながらで無いとお茶を飲んだ気がせんのぅ」
「そこの備え付けの電話から出前を取れるのにゃ」
差し出された出前表をしげしげと見る。ピザも蕎麦も頼めるのか。中華もある。
これ……ここで全部賄えそうな気がしてきたぞ。
「タイ料理やエジプト料理でもOKかぇ?」
「明日までに用意するのにゃ」
「最新ゲーム機が欲しいのじゃ」
「その茶釜の下にあるのにゃ」
茶釜がせり上がって、下には過去の名機から最先端のゲーム機までが全て揃っていた。なぜここまで先回りができる?
「カルカン。お主、妾の心を読んだのかぇ?」
「読めるのにゃ」
「ほーん……」
コヤツ……腐っても神だったのだな。
「腐ってないのにゃ。私は男同士の漫画を読む趣味は無いのにゃー」
思考は駄々洩れか。どうする?
それにしてもこのリクライニングシートは気持ちが良いな。まずは寝てから明日考えるか。
「眠くて頭が働かないから明日にするのじゃ」
「この紐を引くとロフトへの梯子が降りてくるにゃ。ロフトには最高級羽毛布団を用意しているから、明日までゆっくり休むのにゃ。モーニングコールはいるかにゃ?」
フフンとでも言いたげな顔がムカつきはするが、サービスには満足できる。
「うむ。正午にお願いするのじゃ」
◇◆◇◆◇
「にゃーにゃーにゃー! 朝にゃー起きるにゃー!」
「うーん……むにゃむにゃ。正午は朝で無いから起きなくても問題ないのじゃ」
「そう言われると思ってAM7:00に起こしてやったのにゃ」
「なんで勝手に5時間もまいてるのじゃ? そんなに急がんでもよかろ?」
そのまま横になって無視していたら、尻尾でバシバシと顔を叩かれるので仕方なく起きてやった。
欠伸をしつつ、目配せをする。
「その片目瞑りは何のマネにゃ?」
「これは麗しい乙女のウインクというものじゃ。ほれ、分かるであろう? せっかく早く起きたのじゃ。ロイヤルなモーニングを食して見たいぞぃ」




