No.50 くるぶしからの悪魔の三択
「ギルティなのじゃ!」
妾は尻尾で何度もカルカンの頭をペチペチと打ちおろす。
「にゃ にゅ へぶし あべし くるぶし」
「カルカンや。悲鳴なのにくるぶしは違わんかぇ?」
「おまゆうなのにゃ!」
カルカンはお冠だが、そもそもKYな方が悪い。
「カルカン……お主、生前にKYと言われたことは無いかぇ?」
「なんで分かったのにゃ!? 良く言われたのにゃー」
何故かカルカンは照れて体をモジモジくねくねさせ始めた。
カルカンの照れポイントが全く分からない。
気を取り直してラザに褒めて貰おうと襖を前回にする。
「ラザよ。妾の水着は似合っておろう?」
『う~? ごはんのじかんござる~?』
「似合っておるか答えてくれたら(カルカンが)肉まんを百個用意するのじゃ!」
『似合ってるござる~!』
部屋に届ける約束をして笑顔で襖を閉じる。
振り返ると孫のままごとを眺めるような優しい目でカルカンが妾を見ていた。
「な、なんじゃその目は? カルカンがそんな目をするのはキモいのじゃ」
「あさはか。あさはかなのにゃー」
「ええぃ! その目をやめんか!」
暫くドタバタとやり取りをした後、約束通り水風呂の刑に処されることに。
機械式駐車場のように二階を入れ替え、ナイトプール部屋に切り替える。
梯子を登って確認したが、かなりラグジュアリーな出来に顔が綻んだ。
「うむ。完璧な仕事じゃの。ところでカルカン。ビーチボールと浮き輪じゃとどちらの方がより映えると思うかぇ?」
「こっちのイルカさんの方が映えるにゃ」
「それはシャチじゃたわけ」
意外にバランスが難しいシャチの浮き輪を選択。
プールサイドで暫しの撮影タイム。
しかし、プールが狭すぎて掘りごたつのスペースも無い。
しかも水が入っていなかった。
「カルカン、プール……じゃのうて、水風呂なのに水が入っておらんぞぇ?」
尋ねたときのカルカンのニヤニヤ顔にとても嫌な予感がした。
色付きのプラカードを五つ取り出すカルカン。
「どの色が良いのにゃ? ん?」
「その五択は鬼畜じゃのぅ……」
おしおきの意味を始めて知った。そして今の水回りの事情も思い出し、涙する。
赤だけは選べない。カレー染みは水着が使えなくなるし、何より煮込まれている気分になるのは嫌だ。
茶色も無理。こんな量のモルトウイスキーへ浸かったら、急性アルコール中毒にでもなってしまいそう。
「悪魔の三択なのじゃ……」
「さっさと選ぶにゃ!」
妾が選択し、狭いプールには文字通り溢れんばかりの泡だらけとなる。
ジャグジーバスと思えば多少はマシかも知れない。
一先ず片手を突っ込んでみる。そして一言。
「カルカンや。せめてノンシュガーのコーラにしてたもれ」




