No.45 婚約成立のシャンパン祭り
「ラザ様にざまぁをするのは可哀想なのにゃ」
「そうじゃのぅ。追放された上、呪いで孤独死なんぞラザには体験させられぬわ」
「それって私が代わりに受けるにゃ? だとしたら今回の縁談はお断りなのにゃ」
カルカンはぺこりとお辞儀をしてUターンをしようとしたが、逃す訳がない。
背中から抱きしめて耳元で囁く。
「大丈夫じゃ。酒はたんまりつけてやるぞぇ、旦那さま」
「うわぁゾワゾワするにゃ。変な声をやめるにゃーー」
そういう流れで色々と契約面を盛り込んだ婚約が成立した。
何故かげんなりしているカルカンが祝ってくれないので妾が祝うことにした。
「おめでとう妾! コングラチュレーションなのじゃ!」
「こんな秒で破棄される契約婚約に祝い言葉が必要なのにゃ?」
「祝い事には酒が不可欠じゃろう? ほれ、シャンパンを開けるぞぇ」
「にゃっにゃにゃっにゃ♪ 盛大に祝うにゃ!」
やはりアホの子なだけあって、これからざまぁが待ち受けるというのに無邪気にはしゃいでいる。
カルカンがグラスを取りに行こうとしたので肩を掴んで止めた。
「な、何するのにゃ? シャンパングラスを取りに行くだけにゃ。旦那が傍を離れるからってそんなに寂しがらなくても大丈夫なのにゃ」
「グラスは要らん。今日はシャンパンファイトじゃからの」
「婚約破棄最高なのにゃーーー!」
そして始まる酒池肉林。もとい酒池酒塔。
念願のシャンパンファイトとシャンパンタワーを思う存分堪能していく。
「む? これでは畳がもう使えんのぅ。張り替えもこの際にお願いするのじゃ」
「にゃー? 了解にゃー、うぃっく!」
「ほれ、これが請求書じゃ」
シャンパンでビショビショになってしまった畳とシャンパンの請求書を渡す。
ほろ酔いで頬を赤らめていたカルカンの顔が、みるみる内に変化していった。
「どうしたカルカン? 青い顔をしおってからに」
「け、けけけけ、桁が2つ違うのにゃ」
「あれだけシャンパンを使えば妥当な金額じゃろう? そうそう、婚約に関する費用は全額旦那持ちの契約になっておるから宜しくなのじゃ」
カルカンが立ったまま白目剥いて気絶した。
無駄なところで器用だなと感心してしまう。
「婚約のキャンセルをお願いするにゃーーー! こんな金額怒られちゃうにゃ!」
「そこは婚約破棄じゃろう? ほれ、破棄に関しても旦那が全額負担じゃ。しかと書いておるわ」
「キャンセルでお願いするにゃーーー! クーリングオフにゃーーー!」
その日は一晩中カルカンの絶叫が響いた。




