No.44 ざまぁお試し体験
「それってほぼ一択なのにゃー!」
ジョッキン!! ジョキジョキ!
「こんなの虐待にゃー。神様虐待にゃー……」
髭を短めに切り揃えてやった。
妾だって光の神の再生能力は最近知ったので、すぐに伸びるのは判明している。
「ちっとは反省せい!」
「神様愛護団体に訴えてやるのにゃ!」
カルカンがジタバタと暴れながら架空の団体名をあげて抗議を続けている。
それを聞き流しつつ新たな焼酎の一升瓶を取り出しておく。
するとカルカンの目付きが変わった。
「それは鹿児島の芋焼酎! くれるのかにゃ?」
「さすがに目ざといの。妾の夢を叶えてくれるのなら考えてやらんでもない」
ゴマすりモードに突入したカルカンはあざとい媚びを見せている。これが神で良いのか不安に思うが、妾には関係ないからスルーして話を進めた。
「妾は念願の婚約破棄からのざまぁというのを体験してみたいのじゃ」
「にゃ? 相手はいるのかにゃ?」
「じゃからそれをどうにかせぇゆうことなのじゃ」
カルカンは「叶えられない夢だったにゃ!?」と大変失礼なことを口走っている。
一先ずチョップをかまして、改めて焼酎の酒瓶を見せびらかした。
「ほれ、妾はこんなに魅力的な女なゆえ、色香に惑わされる者もおるじゃろうて」
酒瓶を右に動かせばカルカンも右に、逆も然りで体ごと動く。まるで磁石だ。
「飲むと焼けるような焼酎のような存在であろう?」
「か、必ず婚約破棄されるにゃ?」
今回はすぐに飛びつかないカルカン。
そこまで妾の婚約相手はハードルが高いのだろうかと、肩と目線が下がる。
「婚約破棄とざまぁはセットじゃ。それで条件に見合う高貴な相手はおるかぇ」
「私が婚約者を務めるのにゃ」
「は?」
「にゃ?」
互いに暫く固まる。妾としても少し思考がフリーズしてしまった。
額に手を当て、もう片方の手はカルカンへ向けて突き出す。
「いやいやいや、カルカンよ。妾にも選ぶ権利があるのじゃが……」
「それは私も同じなのにゃ。でも消去法で焼酎のために仕方なくにゃ」
妾の婚約者の座は焼酎一升瓶と対等とでも言うのだろうか。目はマジのようだ。
詳しく話を聞いてみると、妾の傍に居続けて生きられるのは神クラスしか居ないと言う話。
そのほとんどが山や海のように巨大なので、妾とはサイズ感がまるで合わない。
しかも独身という条件が付きまとう。それで絞り込みをかけるとカルカンとラザの二人まで絞られてしまうのだ。
「ラザ様にざまぁをするのは可哀想なのにゃ」




