No.42 ハーバードの卒業
「おい、そんなあざとい誤魔化しは通用せんぞ?」
「なら、ヨウはどうすれば満足にゃ?」
カルカンの問いに暫し顎に指をやり考える。
「お、さすヨウさすヨウ! その仕草って港区女子っぽいのにゃ」
「ん? おおそうかの? お主も良いところがあるでは無いか。褒美をやろう」
褒められて悪い気はしない。秘蔵のコニャックを与えてやった。
カルカンがそれを有り難がって堪能している間に、妾の考えも纏まっていく。
「決めたぞ。妾はここに帝国を築くのじゃ!」
「なんか頭残念なことを言い始めたにゃー……酔ってるのにゃ?」
「シラフじゃたわけ!」
常時アルコールを摂取しているどっかの誰かと一緒にされるのは心外だ。
カルカンから高級な酒瓶を取り上げ、睥睨しつつ圧もかける。
「わ、私一人で楽しんでしまって申し訳ないのにゃ。当然一緒に飲むから許して欲しいのにゃー!」
相変わらず空気が読めていない。妾がどの部分に怒っているのかすらこの酔っ払いには判別不可能なのだろう。
カルカンは酒瓶を取り返そうと妾の体によじ登ってきた。
「ええい! 離れんか鬱陶しい! 建国じゃ! できんのかぇ?」
「出来るのにゃ。でも、そうすると日本国民じゃ無くなるから港区女子でも無くなるのにゃ。それでいいのにゃ?」
妾も思わぬ盲点に目を丸くしてしまう。
だが、より高みを目指す為に立ち止まってはいられない。何かひねり出せ!
「そこは何とかならんのかぇ? ほら、ホームステイで来ておるとか何とかテキトーな理由をでっち上げるのじゃ」
カルカンが光る板を生み出して見ているが、全てが金色でよく分からない。
暫くするとカルカンが板を仕舞って視線をあげた。
「ホームステイ云々はちょっと難しいかも知れないけど、キャリアウーマン扱いで就労ビザなら取れるのにゃ」
「おぉ、そうか。どれどれ……」
妾は日本の法律やビザに関して詳しく無かったのでインターネットで調べてみる。
すると幾つかの項目が目に留まり、心に引っ掛かった。
「のぅのぅ、カルカンや。妾は学校に通っておらなんだが、大卒という条件はどうするのかぇ?」
「いまデータを改竄完了したのにゃ! これでヨウもハーバード大卒なのにゃ!」
「ようやったカルカン! いつの間にか妾は大学を卒業しておったのじゃな!」
念願のハーバードを手に入れた。
「しかしこれは捏造とか学歴詐称というのとは違うのかぇ? 市長もアウトぞ?」
再び手にした酒瓶へ大事そうに頬ずりをしながらカルカンがこちらをチラ見。




