No.39 ドローン回遊 in 赤坂
「ところでカルカンよ。妾の住所は東京都港区赤坂で間違いないのじゃな?」
「そうにゃ。住民票もそちらになってるのにゃ」
どのような違法取引があったのか。既に住民登録も済ませているようだ。
しかし、そんなことはどうでも良い。
「と言うことはじゃ、妾は憧れの港区女子というやつなのかぇ?」
「そうとも言えるかも知れないにゃ? 私には魅力が分からない領分なのにゃー。居酒屋系女子とかの方が親近感あって好きにゃ!」
「誰もカルカンの好みなぞ聞いておらんわ! なんじゃその神田か新橋で飲んだくれてそうなイメージの女子は! 妾はもっと格式が高いのじゃ!」
しかしネットの中で憧れるだけの存在だった港区女子にいつの間にかジョブチェンジしていたとは思わなかった。この機会に色々と夢を叶えてみたい。
「のぅ、カルカン。ちょっとだけ出かけて街のテラス席で優雅なブランチやお食事会というものをしてみたいのじゃ。どうにかならんかぇ?」
「出前を取るのにゃ! それからテラス席風の映像をVRで観るかにゃ?」
「それは切なすぎるのじゃ。妾は念願の『あ、次のお店までワンメーターでリピしちゃお♪』と、言いながらタクシーを梯子してみたいのじゃ」
聞き終える前から明らかにドン引きの表情で、カルカンは一歩後ずさる。
「ひくにゃー……マジひくにゃー。そんな無理してきゃるるんしているのが痛すぎるにゃー」
「しみじみゆうな! 恥ずかしくなって来たではないかぇ!」
妾は熱くなった頬を擦る。そして手の冷たさで天啓を閃く。
「なら、ナイトプールはどうじゃ?」
「浴室ルームにブラックライトで光る物を配置してブラックライトを当てるにゃ」
「それで構わんが、他の人は?」
「二畳間に入れる訳が無いのにゃ。ヨウ一人で入るにゃ!」
妾は目を閉じ、その光景を思い浮かべてしょっぱい気分になった。
「き、却下じゃ。のぅ、もう少し港区女子の気分を味わえる方法は無いのかぇ?」
妾の目元の涙に気付いたのか、カルカンは腕を組み真剣な様子で考え込む。
「むむむ……ドローンで街を撮影してそれを見ながら食事をするのはどうにゃ?」
「仕方ないのぅ。今日のところはそれで勘弁してやるのじゃ」
さっそくドローンのセットアップを終え、VRHMDを被ってスタンバイ完了。
「いつでもいけるのじゃ!」
「しょうがないから私も付き合うのにゃ。楽しい赤坂グルメ旅にするにゃーー!」
カルカンと二人、和気藹々と赤坂の街をドローンで散策していく。
「のぅ、カルカン。妾と同じくらいの背丈の子供たちが大勢いるのじゃ」
「それは小学校なのにゃ。寄ってみるにゃ?」




