No.34 ペットを本気で頑張らせてはいけない
「まさか妾が異世界転移のローファン組じゃったとは……してカルカンよ。なして妾は異世界へ渡ることになったのじゃ?」
「そんなのどうでもいいのにゃーーー! 早くこの愛すべき酒瓶たちを安全な場所へ届けるのにゃ!」
カルカンは抱えきれないほどの酒瓶を抱えて右往左往するだけの状態。
落ち着かせるべく、一つ酒瓶を開けてグラスに注ぎ、カルカンに突き出した。
「ほれ、これでも飲んで落ち着くのじゃ」
「あ、どもども。ぷはーーーなのにゃーーー!」
アホの子すぎる。周囲に鳴り響く緊張感も霧散しそうになった。
「してカルカンよ。お主、神なのじゃろう? 火災を鎮火してきてくれんかの?」
「何言ってるのにゃ? ヨウは全く馬鹿なのにゃ。私にそんな能力ないにゃ」
「おお、そうかそうか。わっはっは」
「そうなのにゃ。ワッハッハーなのにゃー」
一先ず現実逃避で笑ってみた。警報が止まる訳もない。
「と言うことは妾も避難して良いのかぇ?」
「にゃ? ヨウはここから動いたらダメなのにゃ!」
「理不尽すぎるのじゃ!」
この自称「光の神」が使えないことは薄々気付いていた。
でも、ここで焼け死ねとはあまりに酷いではないか。
絶望感に包まれそうになったとき、妾に一筋の天啓が来たる。
「そうじゃ! ラザにどうにかして貰うのじゃ!」
ポンコツアホの子は放っておいて立ち上がり、隣の部屋の襖を全開にした。
「ラザ! 妾を助けてたもれ!」
『う~? ごはんのじかん~?』
「鎮火できたら幾らでも食べたい物を用意するのじゃ! できるかぇ?」
『うん! 消す消す~。どこまで消していいの~?』
妾とラザが笑顔で頷き合っていたら、カルカンが間に割って入ってきた。
「ストーーーップ! ストップなのにゃ!」
「なんじゃ? 鎮火もできん無能な神はすっこんでおれ」
「ラザ様が本気で消しにかかるとヤバいのにゃ!」
じたばたと身振り手振りをしているが説明が要領を得ない。
「構わん。妾が許可する。ラザや、消して良いぞ」
『じゃあ島ごと消す~』
はて? 島とは?
妾が笑顔のまま疑問符を浮かべていたら、カルカンが絶叫した。
「ヨウ! ラザ様は日本を消すつもりにゃ!」
「まてまてーーい! ストップなのじゃラザ!」
『う~? 星ごとの方が良かったござる~?』
乗り気だったラザを二人がかりで必死に止めた。
カルカンが言うには、ラザの本気は天体規模になるらしい。そのような恐ろしい情報は先に教えて置いて貰わないと困る。
「お主らの知り合いでもっと使える奴はおらんのかぇ? 水の神はどうじゃ?」
「水没日本になるのにゃ」
ラザと変わらないな。次。
「なら風の神はどうじゃ?」
「あー……そっちは気乗りしないと言って来ないと思うのにゃー……」
「揃いも揃って使えん神様ばかりじゃの!」




