No.33 避難禁止
ウー! ウー! ウー!
けたたましい警報音が二畳間に鳴り響く。
『火事です! 火事です! 安全を確認して避難して下さい。14階で火災が発生しました。速やかに……』
14階と言われても、この茶室は4階までしかない。
意味が分からず辺りを見渡すと、カルカンが酒瓶を大量に抱えている。
「ヨウ! 急いで避難するのにゃ!」
「……妾がここから動いても良いのかぇ?」
「あ、それはダメなのにゃ。ここに居て避難するのにゃ。私はこの大切な酒瓶たちを避難させなければならないのにゃ。一体何処が安全にゃのか……」
非常事態であれば「まずその酒瓶を置いていけ」とも思うが、敢えて口には出さない。それよりも先ほどの警報音で含まれていた情報が気がかり。
「のぅ、カルカン。14階で火事と言われても、ここは何階なのじゃ?」
「火事はこの真下にゃ! 何をそんなにのんびりしているのにゃーーー!」
多くのビンテージ酒瓶を抱えて身動きを取りづらそうにしているカルカン。
このアホに「のんびり」と言われたくは無い。
「と、言う事はここは15階なのかぇ? これはその酒瓶たちを安全に避難させるための問いじゃ。ここの住所を正確に答えよ」
「ここは異世界銀河系第77太陽系の第三惑星地球、日本国東京都港区赤坂……」
何やらカルカンがとんでもないことを口走った。
ここは異世界のあこがれの地、日本であるらしい。
「ここが赤坂なのは分かった。じゃが、妾はいつ異世界へ渡ったのじゃ?」
妾が捕まったのはカービル帝国であったはず。
気を失っていた時間もあるだけに自信は無いが、移動できるのは隣国までだ。
「こんな非常時に必要なことなのにゃ!?」
「うむ。その酒瓶を助けられるかがかかっておるくらい重要なことなのじゃ」
「にゃんと!? それなら答えるにゃ! 茶室を用意した翌日に異世界転移させたのにゃ! モーニングコールはわざと三日後にずらしたのにゃーーー!」
酒瓶救済の言葉に釣られ、またもカルカンから問題発言が飛び出した。
妾が翌日だと思い込んでいた日は、三日も間が空いていたことが発覚。
「まさか妾が異世界転移のローファン組じゃったとは……してカルカンよ。なして妾は異世界へ渡ることになったのじゃ?」




