No.29 無価値な延べ面積
「入らんのぅ」
「どう考えても入らないのにゃ。さっさと諦めて封印されるのが吉と出てるにゃ」
カルカンが胡散臭い手作りのおみくじを差し出してきた。
自称「光の神」であるカルカンが言うにはご利益があるらしい。
だが、封印されてしまう妾の未来は真っ暗。
「一先ず、スピーカーを置きたいのじゃ。八畳間なら置けると聞いたのに」
「だから二畳間の4階建てで合計八畳間なのにゃ。各階にスピーカーを置くにゃ?」
「それでは7.1chサラウンドにならんじゃろうがーーー! ふがーーー!」
合計では足りるからとスピーカーを注文してみたが、配置が決められていてとてもではないが二畳間に全てのスピーカーを入れるのが難しい。
仕方が無いのでラザの部屋に置くことにした。
『う~? ナニコレ~? 食べ物じゃないならいらないござる~』
「いいのぅ、それでそろそろラザはこちらを向いてはくれんかぇ?」
「まるで動物園で振り向いてくれない小グマに語り掛けているOLなのにゃ」
スピーカーに囲まれて佇む小グマの絵。
ここでカメラ目線さえあればベストショットが撮れるというのに。ぐぬぬ。
相変わらず食べ物以外には興味を示さないラザをどうにかして振り向かせたい。
これはもう戦争である。
「カルカンや。作戦会議をしようぞ」
「また碌でもない相談かにゃ? 聞くだけは聞くにゃ」
訝し気な表情をして妾の顔を見上げてくるカルカン。
「で、今回の相談は何にゃ? 相談1分毎に相談料としてビール一杯分を所望するにゃ」
「それではビール1杯/minになるでは無いか。飲みすぎじゃぞ?」
大量のビールを思い浮かべ鼻歌交じりになり始めたカルカンに釘を刺しておく。
先払い分を渡し、徐に口を開いた。
「妾は……ラザをなんとしても振り向かせたいのじゃ」
「無理にゃ。あ、いやいや、無理じゃないにゃ。無駄な努力を頑張るにゃ!」
コヤツ……即答で終わらせようとしたな?
しかもそれだとビールが一杯で終わると思って、慌てて引き伸ばしにきている。
だが、それはそれで好都合。こちらも利用させて貰おう。
「先代の光の神以外でラザの気を引けそうなものを教えるのじゃ」
「うーん、うーん、中々思い出せないから二杯目を貰えれば思いつきそうな気がしているのにゃ。追加で支払うにゃ?」
背に腹は変えられん。先行投資と思って支払うことにする。
「で、随分とハイペースで飲んでおるが、相談内容は耳に届いとるかぇ?」




