No.27 横が無理なら縦
「さて、カルカンよ。この紋所が目に入らぬか!」
宣言と同時にカルカンの顔へ同意書を押し付ける。
「痛いにゃ。何するのにゃ。目に入る訳無いのにゃ。ヨウはお馬鹿なのにゃ?」
「じゃからこの同意書を見よ!」
以前、どさくさに紛れてカルカンからもぎ取った肉球の捺印が載る同意書。
それを目にしたカルカンはガタガタと震えだした。
「わ、私は何て大それたことをしたのにゃ……」
「部屋をちょいと広くするだけで、んな大袈裟な」
カルカンの上司にあたる法則の男神とはどれほどの存在か。
カルカンやラザを見ていると神と言っても大したことがない気がする。
そう思っていたらカルカンが隣のラザの部屋へ。
「ラザ様、ヨウがイジめてくるのにゃ。このままだと法則の男神様に怒られちゃうのにゃー……」
『う~? 怒らせたらダメござる~!』
ラザにアドバイスを求め泣きつくカルカン。
何だか妾が悪いことをしている気分になってきた。
「部屋を広くする同意書が用意されてしまったのにゃ。でも、広さは決まってるのにゃ」
『う~? もっとわかりやすく説明ござる~?』
食べ物にしか興味のないラザに説明をするのは難しそうだ。
カルカンもそう考えたようで、腕を組んだまま唸っている。
「う~ん、ケーキのサイズが3号までって決まっていたのに、5号を出す約束をしてしまった感じかも知れないにゃ」
『簡単ござる~! 横に増やせないなら、縦に増やせば良いござる~。タワ~~~!』
カルカンは呆けた顔をして徐に肉球で納得の槌を打った。
そしてこちらへ戻ってくる。
「ヨウ、広くしてやるのにゃ」
「聞いておったから知っておるわ。妾としては横を広げて欲しいのじゃが?」
カルカンからは満面の笑顔で無視された。
そして現れる男たち。急ピッチで工事は進み、ものの数分で完成した。
何やらやりきった雰囲気を醸し出したカルカンが胸を張る。
「ふぅ、オーダー通りの八畳間にしたのにゃ。ご確認をヨロにゃーー!」
「お主が働いた訳でも無いのに何故汗を拭う仕草をしおる? あとやっぱり広さは二畳のままかぇ……」
「4階まであるし、ロフトもあるから実質九畳間なのにゃ!」
梯子で繋げて4階まで増築された。フロア辺り二畳しか無いから階段すら置けず、苦肉の策で梯子になっているが、上り下りするのは大変だと思う。
耐震性の問題から窓もつけて貰えていない。
ダメ元で天窓をリクエストしてみたが、そちらも却下された。
「これでは全く外の様子が見られぬでは無いか。妾に外の風景を一切見せないのは意図的かぇ?」




