No.25 大人気シリーズ
「のぅ、カルカンよ。妾は漫画を書いてみたいのじゃが……何から揃えれば良いのじゃ?」
「なんでまた漫画なのにゃ? 封印には関係が無いのにゃ」
「大ありじゃ、たわけ」
妾がどれだけ漫画を書きたいかを懇々と語って聞かせる。
都度、カルカンからは「封印に必要かにゃ?」と問われるが、煙に巻きつつ、大仰な身振り手振りを添えて迫真の演技を重ねる。
「そ、そこまで言うのなら協力するのにゃー」
「おぉ、分かってくれるかカルカンよ。して、お主、アシスタントは出来るかぇ?」
「ドン、と任せるのにゃ。これでも私は幾つもの修羅場の締め切りを乗り越えたにゃ」
カルカンは、妾の母親やその友人の同人漫画のアシスタントをしていたらしい。
今も自慢げに両手を掲げてガッツポーズしている。
腐った漫画も慣れているとも語るが、そこを自慢されても反応に困る。
「妾は漫画が書きたいのであって腐っている方向は特に求めておらんのぅ」
「んにゃ? 普通の恋愛物も先代の影響で手慣れているのにゃ!」
「ちなみに妾の母はどのような漫画を書いておったのかぇ?」
カルカンが母の漫画を持っているとのことで、借りることにした。
「なんじゃカルカン。お主、妾の母のファンじゃったのか? サインまでついておるぞ?」
「サインを欲しがって気分よくさせると、お酒が貰えたからヨイショを頑張ったのにゃ」
「さ、さようか……」
母がウキウキでサインしたであろう弾むような文字を見ながら、カルカンとの温度差にしょっぱい気分になった。
「では早速読んでみるのじゃ」
◇◆◇◆◇
数時間後。
「のぅ、カルカン」
「なんにゃ? 今、梅酒作りで忙しいのにゃ」
「母の漫画が理解できんのじゃが……」
あまりに独特すぎる内容。カオスすぎて理解が追い付かない。
カルカンはコテリと首を傾げた。
「何をいまさら……ヨーコ様はカオスを体現したような御方にゃ。ちなみにどこが分からないのにゃ?」
「この錠 藩新と河畔 伸のライバルの話なんじゃが……」
四コマ漫画で錠 藩新と河畔 伸のW主人公。
何故かそれぞれ同じような展開で、モブから色々と言われるのだが、その意味が分からない。
そもそも作者自らが手書きの煽り文で「大人気シリーズ」と書いている。
丁寧に質問をしていたら、カルカンがおもむろに立ち上がった。




