No.23 駄々をこねるとグレードは下がる?
「たまにはラーメンを食べに行きたいのじゃ」
「猫飯亭の出前じゃダメなのにゃ?」
「悪くは無いのじゃが、妾は別の味が食したいのじゃ。色々と食べ比べて見たいのじゃ」
カルカンはあまり食事には頓着しておらず、お酒が飲めれば満足なのだろう。
だが、妾は猫が好む味に調整されたラーメンよりも、ガッツリ体に悪そうなのが食べたい。あの背徳感をモロモロ込みでラーメンの醍醐味というもの。
「じゃから出かけたいのじゃが、一緒にいくかぇ?」
「うーん、私はここで飲んで……ハッ! ダメダメダメなのにゃ! ヨウは動いちゃいけないし、封印されるのを待つ身なのにゃ」
「チッ、そろそろ忘れてくれるかと思うたがダメか」
どれだけ呑んだくれていても妾の外出だけはガンとして認めない。
それほどに妾が出かけるのはダメなのだろうか。
ほんの少し肩を落としつつ、シティページにずらりと並ぶ中華屋の店。
出前の時間を確認していると、いずれも出前だけ早い時間に終わってしまう。
「のぅ、カルカン……今は何時じゃ?」
「ぷはーーうぃっく、んにゃ? 21:40なのにゃ」
「あちゃー、残念じゃ。猫飯亭以外の出前は21:30がラストなのじゃ。これは直接お店に食べに行くしかないと思わんかぇ?」
ザ・なし崩し作戦。
いざとなったら新しい酒でもチラつかせて勝利をもぎ取る!
カルカンは無言でパントリーの方へ向かい、何かを物色して戻ってきた。
「なら、これにするにゃ」
そう言って手渡されるカップ麺。
いつもの店が嫌だとゴネていたらグレードダウンしてしまった。
だが、出前は飽きていたから、妾の目にはカップ麺も新鮮に映った。
しかし、大きな問題がある。
「してカルカンよ。この部屋には蛇口が5つもあるのに普通の水が無い。その点はどうするのじゃ?」
「カレーを入れればいいのにゃ!」
「それではどんなカップ麺でもカレー味になってしまうではないか! 妾は普通の豚骨ラーメンがよいぞ」
食い下がって抗議を続けていたら、隠し持っていた秘蔵の水を差し出してきた。
「ワガママでうるさすぎるのにゃ。ほれ、これでいいのかにゃ?」
「どうして今まで隠し持っておった?」
「二日酔いが酷いときに必要な秘蔵の水なのにゃ。大切に飲むのにゃ」
偉そうに腕を組んでドヤ顔をするカルカン。
このアホの子にはその前に酒を控えるという選択肢は無いのだろう。残念なことだ。アホにつける薬は無いと聞くが全く持って至言だと思う。
「心の声は聞こえているにゃ。ぐぬぬ、覚えてろなのにゃ!」




