No.21 吞んだくれの音楽講師、現る!
ボン……ボンボボンボボボボ……。
指先を何度も痛めつつ、多少は弾けるようになってきた。
あとは身の丈にあった挑戦に切り替え、簡単な曲をローテンポでコピーするところから始めるようにしたら、通しでも弾けている。
カルカンは昨夜酔い潰れ、畳に突っ伏して寝ていたが起きて頭を振り出した。
「うぅ、うるさいのにゃー……頭に響くにゃー……」
「二日酔いじゃろ? 少しは酒を控えよという妾の計らいじゃ。有難く受け取れぃ!」
ボボン!!
「頭が割れるにゃ! 騒音で訴えるのにゃ!」
さっきからカルカンがうるさい。
やれヘッドホンを使えだの、微妙にリズムがずれているから余計イライラするだの、好き勝手文句をいってくる。
仕方がないのでカルカンの酔いが醒めるまではゲームをすることにした。
「フンフンフン~♪ もう少し素材を狩りにいこうかのぅ」
「何にゃ? もう音楽は飽きたのかにゃ?」
二日酔いから復活したアホの子が何か戯言をほざいている。
肉球でゴマすり仕草をしているのはビールの催促だろう。
「ふむ、今朝のことをもう忘れたのかぇ?」
「今朝? 何かあったのかにゃ? それよりも蛇口の鍵を渡して欲しいのにゃ。すぐに飽きるくらいなら音楽に手を出さない方が良かったと思うにゃ。けど、余計なことは言わないでおくのにゃ」
「今、思い切りゆうておろうが」
カルカンが求めているのはビールの蛇口の鍵。
あまりに飲みすぎるから蛇口には鍵をつけて、勝手に飲めないように改造した。
「ほれ、鍵は貸してやろう。じゃが2時間までじゃぞ? それに妾に音楽を教えてたもれ」
「にゃっにゃにゃっにゃ♪」
鍵を渡した瞬間から尻尾を弾ませスキップで蛇口へ向かってしまうカルカン。
数杯飲み終えてほろ酔いになった頃を見計らい、話を持ち掛ける。
「カルカンよ、さっさと約束を果たさんか。それからの、良いスピーカーを置きたいから部屋を増築したいのじゃが……」
「ぷしゅる~! うぃっく、なんにゃー? 楽譜のみかたらー? スピーカーにゃー……スピー……」
「コラ、寝るでない。一先ず鍵は没収じゃ。延長を望むならこれに同意せぃ」
さりげなく部屋の拡張への同意書と朱肉を差し出す。
半分寝ぼけたカルカンが肉球の捺印をした。
「良い良い。ありがとうなのじゃ」
「にゃー? 何気持ち悪いニヤけ顔してるにゃー?」
「して、はよぅ音楽講座をしてくれんかの?」
「仕方ないにゃー。私が講師をしてやるのにゃー」




