第13話 南東諸島・ガッツ島沖海戦 ①
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――ランディス合衆国・首都テリオン
信じがたい情報が次々と大統領公邸に集まって来ていた。
――ポートノワール沖で勃発したユースティア艦隊との決戦にてフォルニア東方艦隊消滅。
壊滅ではなく消滅である。
国防長官のフォラルは第1報を受けて、驚きのあまりポートノワール基地に何度も確認を取ったほどだ。
しかし現実は非情であった。
何度聞いても意気揚々と出撃していったフォルニア東方艦隊は戻ってこなかったと言う。いくら無線を送っても応答はなく、確認の為に海戦があったと思われる海域へ捜索船を派遣したが、それも未帰還とのことだ。
「一体何が起こっているのだ?」
大統領のトーマス・バッハは未だ状況が飲み込めていないらしく、危機感のない疑問の声を上げた。
フォラルが額から汗が流れるのをハンカチで拭きながら、大統領に説明する。
「昨日、中央大陸のポートノワール沖でユースティア艦隊と我が国のフォルニア東方艦隊が激突致しました。その後、艦隊と一切の連絡が取れていない状況です」
「となると何か? 神聖ガリア艦隊をも破った我が国の艦隊が破れたと言うのか?」
「そのように考えられます……」
バッハの問いに絞り出すように答えるフォラル。
国家情報長官のホーランドも話は聞いていたので口を挟んでくる。
「哨戒機を出しているそうですが、1機も戻らないそうですな」
「その通りです。本国からもポートノワールからも出していますが帰還しておらず情報は得られておりません」
「潜水艦はどうなんだね? 他国で保有している国は恐らくないと思うんだがな」
「はい。派遣しております。こちらは定時連絡はありますが、まだ情報は得られておりません」
バッハは彼の言葉に失望して大きなため息を吐いた。
『情報が得られていない』ではお話にならないのだ。
これでは手の打ちようがない。
「迅速な情報共有を頼む。そちらはいい。中央大陸の戦線をどうなっている?」
「ルジナート連邦は聖ルーシ共和国の北部一帯を占領、ホーランドにも侵攻し、我が国の空軍との連携作戦により順調に南進しております」
「それは朗報だ。ドイチェルト帝國がこちらの同盟国になったのは大きいな」
「ですな。お陰でフリーレンス共和国はかなりの損害を出しているようです」
それを聞いてようやくバッハの表情が満足げなものに変わった。
となれば後は陸軍の出番である。
「ふむ。我々も南下を開始する頃合いだな。スタン帝國やバーラデリ共和国とも上手いこと連携することだ」
「計画は立案済みであり、順調に進んでおりますので、間もなく侵攻が開始されることになりましょう」
「我が国の物量で押し潰してやろうじゃないか。足りないなら本国から陸軍を派遣しればいい。カヌール海の制海権は我らにあるのだからな」
中央大陸の神聖ヴァルガリア帝國侵攻作戦は淀みなく進んでいる。
バッハがお気楽なセリフを吐くが問題はないはずである。
フォラルは心に僅かな引っ掛かりを残したまま、中央大陸方面の作戦について話し始めた。
◆ ◆ ◆
同じ頃、南東世界のイネアス王国にガラベルム帝國の大艦隊が攻め込まんとしていた。
イネアス王国はすぐさま少数の木造艦隊を出撃させようとしたが、それに待ったが掛かる。
ユースティア大使が危急を聞きつけて王城に姿を見せたのだ。
すぐに国王は会談の場を設けて、自らユースティア大使を出迎えた。
「これは……来て頂いたこと、感謝致しますぞ」
ユースティアに援軍を打診していたイネアス王国としては、待ちに待った訪問であった。国王は腰を低くして丁重に大使をもてなした。
「いえ、陛下自らの出迎えに加え、過分なお言葉。勿体なく存じております。単刀直入に申し上げますが、我が国はガラベラム帝國の南東世界侵略を座視することはできないと判断し艦隊を派遣しております」
「おおッ!! それは有り難い! 我が国も力の限り戦いましょう」
「有り難いお言葉でございます。しかしガラベルム帝國艦隊は強大です。我が国のみで迎え討ちたいと考えておりますので、ご自重頂きたく存じます」
ユースティアとしてもこのように伝えるのは遺憾であった。
要するに『お前らは邪魔だから出てくるな』と言っているようなものだからだ。
大使の胃は途轍もなく痛んでいた。
「しかし自国の誇りに賭けて戦わぬと言う選択はできません」
「真に申し訳なく存じますが、我が国とガラベルム帝國艦隊の衝突に巻き込まれる可能性が高いと考えられます。我が国が大打撃を与えますので追撃戦まで戦力を温存して頂きたいのです」
物は言い様である。
当然、イネアス国王は大使の本音をすぐに見抜いたが、ここは大人しく従っておいた方が良いと即座に判断する。
実質、足手まといと言われているようなものなので気分は良くないが、以前のガラベルム帝國艦隊との海戦を映像で見せてもらったことがあったため、ユースティアの実力は正確に把握している。
「分かりました。それでは我が国は艦隊と飛龍改の出撃準備を整えておきます」
「ありがとうございます。大船に乗った気でいらしてください」
こうしてイネアス海周辺で、ユースティア第3護衛艦隊群とガラベルム帝國艦隊が激突することとなる。
◆ ◆ ◆
――イネアス海
ガラベルム帝國第3艦隊がイネアス海をゆく。
戦艦3、重巡洋艦5、巡洋艦10、駆逐艦15、空母2、潜水艦3の大艦隊である。
天気は曇りだが時折、雲の合間からは陽の光が射している。
波は少し高いが艦船の揺れはそれほどでもない。
第3艦隊の司令官ルーブリスはユースティアの艦隊が精強だと聞いていた。
ザルツ海海戦で大敗北を被ったと聞かされた時には驚いたものだが、それほどならば是非、戦ってみたいと言う気持ちにもなっていた。
今作戦でイネアス王国を攻めると、ユースティア艦隊が来援に来る可能性があると聞かされた時は思わず武者震いしてしまった。
「もうイネアス海だが……王国は出て来んのか……?」
ルーブリスの呟きを拾った旗艦艦長が気楽な口調で言い放つ。
「イネアス王国の船は木造だと聞き及んでおります。相手になりませんぞ」
お気楽なものだと思いながらも、ルーブリスは本当の敵はユースティアだと自分に言い聞かせる。
「(どうした、ユースティア。出て来ぬとイネアス王国が灰燼と化すぞ?)」
その想いが届いたのか、レーダー士から報告が上がった。
「南東諸島の島陰に艦隊を発見! 国籍は不明。編成は戦艦3、巡洋艦5、駆逐艦8」
「大した数ではありませんな」
「油断は禁物だ」
報告を聞いた旗艦艦長はやはりお気楽な姿勢を崩そうともしない。
しかし恐らくユースティア艦隊だと判断したルーブリスは更に気を引き締める。
「イネアス王国は後回しだ。あの艦隊を先に叩かねば背後を襲われる。例え戦力は少なくともな。目標はその国籍不明の艦隊だ! 最大船速! 距離はどれほどだ?」
「距離100。11時の方向です」
「潜水艦を先行させろ。魚雷を撃ち込んでやれ」
「了解」
淡々と命令を下すとすぐに命令が伝えられる。
ルーブリスは黙考を始めた。
「(潜水艦は確認されておらん。先手でお見舞いしてやる。今回は空を飛ぶ艦隊もいない……が空母もいないのか?)」
「敵艦隊、後退していきます」
レーダー士からの報告が耳に入り、疑問が浮かぶ。
同時に不安もよぎるが、おびき寄せようとしているだけと判断する。
慎重なルーブリスは念のため確認するのを怠らない。
「他に敵艦隊は見当たらないのか?」
「はい。先程の艦隊のみです」
「よし、艦載機を上げろ。念のため周辺を哨戒させる」
もしも敵艦隊に空母がいないのなら一気に艦載機の爆撃で沈めた方が良いかも知れない。
だが仮にも我が国の大艦隊に1度でも土を付けた国なのだ。
空母の重要性に気付いていないはずがない。
ルーブリスはそうと考えていた。
南東諸島は群島地帯となっており、伏兵を置くのにも最適だが……。
「ユースティアめ。何を考えている……」
敵を既にユースティアと確信しているルーブリスは艦橋から水平線を睨むのであった。
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