第10話 ユースティア始動!
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――聖ゼノ暦4216年5月22日(ユリウス歴2570年5月22日)
ランディス合衆国によって失陥したポートノワールには次々と戦略物資が運び込まれていた。
もちろん、戦車を始めとした戦闘車両も大量に輸送されている。
ランディス合衆国政府はこの基地を拠点に南進作戦を遂行し戦線を一気に押し上げるつもりであった。
同時にルジナート連邦方面にも展開させ、聖ルーシ共和国、ユクレイン国へ侵出して挟撃体制を取るのだ。
カヌール海を完全に掌握したことで最早邪魔する国家はないと判断しての大攻勢である。
ポートノワールの司令官となったジェノサイズ陸軍大将は部下たちと共に盤面を見ながら戦略会議を行っていた。
「ここでドイチェルト帝國が参戦したのは大きいな」
ジェノサイズは順調にランディス連合国が増えていることを喜んでいる。
これで中央大陸での動きがかなり楽になるからだ。
「そうですね。それに伴ってジェノヴァ国とルビア共和国もとなっては獅子州も落ちたようなものでしょう」
「背後が気になってルジナート連邦に押し込まれそうですな」
実際にルジナート陸軍は聖ルーシ共和国の北部を完全に掌握している。
現在は重要拠点に空爆しながら南進しており、獅子州連合も何とか押し留めていると言ったところだ。持ちこたえているのは神聖ヴァルガリア帝國の戦闘機が支援に回っているせいもある。
「しかし東方戦線はともかく西方戦線は動きなしとはな……ロライナ西方艦隊も獅子州に乗り込めずに苦戦しているようだ」
「獅子州も頑張っている方でしょう。流石にドイチェルト帝國参戦の影響が出てくる頃ではありませんか?」
「でしょうな。ガリア連合は共闘することはあっても連携することを知りませんし中央大陸も風前の灯でしょう」
「我々もルジナート連邦との連携共同作戦を行った時は成功するか戸惑ったものだが……」
「まさかあそこまでハマるとは思いませんでした」
中央大陸の北部ではランディス連合が圧倒していると判断し、ジェノサイズは盤面の東部に目をやった。
「パトリア帝國は動いておらんのか?」
「一応、バーラデリ共和国軍と睨み合ってはいるようです」
「何だ。戦端は開いておらんのか」
「衝突にまでは至っていないようですが……」
それを聞いたジェノサイズは思わず笑いを噛み殺す。
所詮は他人事か、と。
「まぁまだまだ遠い地の出来事だと思っているのかも知れんな。甘い判断だ。となれば後はオースティン大陸のタイカか?」
「あそこは動きがありませんね。こちらからタイカ国内の軍閥に声を掛けているようですが……」
頼りにならんなと内心毒づきながらも大勢に影響はないと考えたジェノサイズは更に踏み込んだ質問をする。
「確か周辺国の……あー朝貢国家だったか? そこら辺にも声を掛けていると聞いているんだが?」
「奇妙なほどの静けさです。確か連合入りを熱望していた国もあったはずなのですが不思議なものです」
それは確かに奇妙な話であった。
時勢を読める国家がオースティン大陸にあったことがジェノサイズにとっては驚きだが。
「動くタイミングを見計らっているのかも知れんな」
「そう言えばスタン帝國がタイカに仕掛けたと言う話を聞いたのですが、続報がありませんね」
「ああ、俺も聞いたぞ。艦隊で乗り込んだらしいが、ユースティアに負けて撤退したらしい」
それを聞いてジェノサイズの笑みが深くなる。
少しは手応えがありそうな国が見つかったのだ。
「ユースティアか。あのタイカ大帝國の炎龍を落とした国だと聞いている。中々やるようではないか。もしかしたらフォルニア東方艦隊と戦ることになるやも知れんなぁ」
嬉しそうに話すジェノサイズだが、直接矛を交えることはないだろうと思い少し残念に思った。
「陸軍との戦いにはなりそうにないですな」
「それに東方艦隊には勝てんでしょう」
現時点で頓挫した計画はない。
何もかもが上手くいっていることに満足したジェノサイズが嗤う。
釣られるように笑い声が連鎖していく。
軍議室内には愉快げな笑い声だけが響いていた。
◆ ◆ ◆
「国民の皆さん、現在この世界では世界規模の大戦が勃発しております。我が国は世界の盟主たる神聖ヴァルガリア帝國と共に国際秩序に基づく平和の実現を果たすべく動いて参りました。しかし帝國は今や守勢に回っており、中央大陸は平和を乱すランディス合衆国とその連合国によって蹂躙されようとしている状況です。更に戦禍は飛び火しタイカ民主国のあるオースティン大陸にも波及しようとしております。そうなれば国内外に敵を持つタイカ民主国は荒れ、マグナ半島、クレア半島にも影響がでるのは必定であります。つまりこの戦争は他人事ではないのです! 我が国は転移前から国際平和に貢献し地域の安定化に努めて参りました。それはこの世界でも同じなのです。この東方世界と呼ばれる地域が乱れると言うことは我が国も戦争に巻き込まれると言うことであります。中央大陸が危なくなれば、タイカ民主国も危険に陥り、タイカ民主国が荒れれば領有しているマグナ半島や、海を挟んだクレア半島にも混乱が及ぶと言うことをご理解頂きたい! 我が国は集団的自衛権を行使し、戦争に介入することを決定致しました。この世界は旧世界ではないのです。未だに植民地を奪い合う帝国主義の時代であり、覇権国家が乱立する世界と言うことを忘れないで頂きたい」
総理大臣のスレインがテレビの前で演説を行っていた。
これは開戦の理由を国民に納得してもらいたいと言う強い想いからくるものであった。
「総理、中央大陸が戦争でどうなろうと、ユースティアに影響があるのでしょうか? 果たして参戦する意味はあるのか疑問です」
記者から質問が飛ぶ。
メディアはいつも極左側であり、政府が少し中央に近づいただけで極右だと叫び出す。
「影響はあります。ランディス合衆国を中心とした連合国は皆、覇権主義国家であり未だに海外領土に拘っているのです。彼らは国家総力戦が自国にどれだけの被害を与えるのか理解していない。我が国は既に多くの国家と友好関係を構築し、安全保障条約こそ結んでいないが通商を行っている。それに海外には多くの邦人も進出しているのです。国家としてユースティア国民を護る義務があるのです」
「それならタイカ民主国が乱れた場合に介入すれば良い話では? 態々遠い中央大陸まで出しゃばる必要はないでしょう?」
スレインと記者の会話が白熱し始める。
「貴方はユースティアを再び泥沼の戦争に引きずり込みたいのですか? あの広大なオースティン大陸に現在の規模の陸防隊を派遣して何ができると言うのですか? 幸いタイカ民主国は共産化していませんが、未だ地方政府、軍閥が好き放題しているような場所なのですよ? 下手をすれば戦線は崩壊し兵站の維持もままならず泥沼化すると死ぬのは陸防隊員なんですよ? となれば我が国最大の強みを生かせない。上陸される前に空と海で防衛するのが最善策であります」
「しかし集団的自衛権など認められない! そもそも戦力を保持すること自体が間違いなのだ! もう過ちは繰り返しませんから!」
集団的自衛権については未だ憲法の改正すらできていない状況のため多少苦しいが、生の情報をメディアに出し続けている現状でこの発言は最早現実逃避に近い。
状況をまるで理解していないのだ。
「我が国が敗戦後から現在に至るまで生き延びて来れたのは、平和憲法のお陰ではなく陸海空防隊がユースティアを護っていたからです。過ちを犯したのは我々ではない! 国際情勢も読めずに我が国を戦争に引きずり込んだアマリア帝國ではないのですか!」
「それはなすりつけているだけですよ。責任逃れだ!」
「どうせ大戦が終わって国際組織を創設したら俺、総理を辞めるんだ……」と思っているスレインに怖いものなどない。
言いたいことを言ってから退こうと考えての発言である。
「私はたかが1度負けたくらいでそこまで卑屈になるその根性を疑う! 責任逃れ? 敗戦後、碌な裁判もせずに処刑された先人がどれだけいたと思っているのですか! もちろん責任を取らずにのうのうと生き延びた者がいることは知っています。ですが我が国のした戦争は大義のためのものであり、国家として何ら恥ずべき行為を行った訳でもない。もう当時を現在の価値観で裁くのは止めにしませんか? あの時代は帝国主義の時代であり、ユースティアは僅かに遅れて出ていった。あの時代は悪ではなかったんですよ。しかも領土を得ても他国のような過酷な収奪をしたこともなければ、他国民を奴隷のように扱ったこともない。それどころかインフラを整備して列強国からの独立を促し、勉強を教え、軍隊を組織させて抵抗させようとしたのです。当時、共産化からの防波堤だったユースティアを気に喰わないから戦争に陥れた国家にいつまで尻尾を振り続けるのか! この世界に来てもまだ目が覚めないのですか? 我が国が何度侵略目的で侵攻されたと思っているのですか!」
「しかし現に我が国の軍政下にあった国々からは略奪や虐殺を受けたと言われているではないですか?」
「そりゃ、植民地化されて奴隷根性が染みついた現地人は宗主国側に味方して、ユースティアに攻撃してくる訳ですから自衛するのは当然でしょう。しかし独立を望んだ現地人は我が国に味方したではありませんか。共に旧宗主国と戦ったではないですか? 同じ国の中に親旧宗主国と親ユースティアがいたんですから当然でしょう。まぁそれも我が国の敗戦が濃厚になると寝返った人々もいるようですが。我が身は可愛いですからね」
「それは現地人に対する侮辱だ!! 発言を撤回しろ!!」
「同じ国で親ユースティアの発言をする方と反ユースティアの発言をする方が同時に存在する時点でおかしいと思って頂きたい。それより今は旧世界のことで時間を浪費する訳にはいかないのです。これは世界大戦であって対岸の火事なのではないッ!!」
「そうやって侵略の口実を作りたいだけでしょう! またユースティア国民を騙すつもりなのだ!」
「私はユースティアを2度と敗戦国にする訳にはいかないのです。そして世界平和を希求する者であります。ランディス合衆国に大義はなく、神聖ヴァルガリア帝國を気に喰わないからと言う理由だけで滅ぼそうとしている。彼らは領土と権益を得たいだけなのです。力のない場合なら私も涙を呑んで戦わない道を選んだかも知れません。だが我が国には自国のみならず世界の平和を護る力がある。これを機会に国民の皆様には危機感を強く持って頂きたい」
そう言うとスレインは記者会見を打ち切った。
既に裏ではユースティアは動き始めている。
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