第8話 決着!カヌール海海戦
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――フォルニア東方艦隊
旗艦〈ディスール〉の艦橋内では次々と神聖ガリア艦隊に極炎が上がる様子を確認していた。
相変わらずの悪天候。
艦橋からは爆発炎上していることは分かるが撃沈しているかまでは分からない。
だが、この豪雨の中でも観測員が必死に動向を注視しているため、報告は確実に上がってきている。
「空母も落としたか!」
「敵艦隊、魚雷により轟沈多数。残存は半数を切っております」
旗艦艦長の歓喜の声にオペレーターの無機質な報告の声。
オマージュは一気に戦況をランディス側に傾けるために顎に手を当てて考えていた。
「このまま押し切りたいな。空の決着はつきそうもない」
「そうですな。全艦隊での突撃に切り替えますか?」
それでも良いが、出さなくても良い犠牲が出る。
流石に急に強くなった神聖ガリア艦隊の魔導砲で思わぬ被害が出る可能性を考えると、むやみに突撃する訳にもいかない。
そう考えていたオマージュ提督であったが、決断を下してすっくと立ち上がる。
「空母から爆撃機を出す。魚雷を装備させて全機上げろ!!」
「提督! 正気ですか!?」
驚きの声が旗艦艦長から上がるが、オマージュ提督は既に決断していた。
その眼には一点の曇りもない。
「もちろんだ。中央大陸の北に存在する神聖ヴァルガリア帝國の戦力は殲滅せねばならん。それにはこの流れを掴みとる必要がある」
この天候のせいで空を飛んでいる戦闘機はほとんどいない。
その多くが雲上で空戦しているのだから当然だ。
隣の旗艦艦長も納得したようでオマージュ提督と目を合わせると頷いて見せた。
「すぐに命令を伝えよ。ここが勝負の分かれ目だとな」
この悪天候の中、空母上で爆装が開始される。
下手をすれば荒波の中に真っ逆さまで落ちれば命はないだろう。
「無線をくれ」
オマージュは全艦隊と無線を繋げると訓示を行うことにした。
死の瀬戸際へ向かってくれる者たちへ言うべき言葉がある、命を賭ける者たちへ伝えるべき言葉がある。
やがて無線が繋がり、全艦の乗組員が聞ける状況が整った。
『ご苦労様である。フォルニア艦隊提督のオマージュだ。現在、空戦は一進一退の攻防を繰り広げているだろう。この天候の中、空からは戦闘機は降りて来ない。我が艦隊は神聖ガリア艦隊の半数を撃滅した。後はトドメを刺して完全に殲滅するだけだ。パイロット諸君に告ぐ。魚雷を持って敵艦隊を殲滅せよ。特に戦艦を沈めてしまえ! この難事を成し遂げられるのは優秀な諸君らだけだと私は信じている。この1戦を制する者が今回の戦争を制するだろう。諸君らの奮闘に期待する!!』
この命令に参戦したくても待機させられていたパイロットたちの心に火が付いた。
空母内では彼らの喊声があちこちで上がっていた。
「俺たちが戦艦を沈めるんだ! 戦況は俺たちが決める!」
「そうだ! 戦闘行動中の戦艦は戦闘機に落とせないなど世迷い事だ!」
「ひゃぁ!! そのでかい図体に風穴開けてやんよぉ!!」
「空戦してる奴らにゃ悪いが、手柄を取ってやるぜ!」
「やっと出番が来たようだな……必ず沈めてやる!」
そして彼らは準備ができた機体に乗り込むと、この悪天候を物ともせずに天空へと飛び立った。無事に飛び立てたのは彼らの士気と練度からくる物だろう。
『ロスエンゼ300型』は神聖ガリア艦隊の方角へと消えて行った。
「全機発艦を完了したとのことです」
「うむ。しかし本国にはもっと戦闘機を配備してもらわねばな……この天候でなければ負けていたやも知れん」
「最早、航空機の時代ですな」
いくら西方艦隊にも多数の戦闘機を割いているとは言え、東方艦隊にもしっかりと回して欲しいものだ。
敵連合の盟主である神聖ヴァルガリア帝國に大打撃を与えれば、連合国にとって大きな痛手となるし、士気は下がり、連携も上手くいかなくなって不信感すら生まれる可能性が高い。
「それほどアトランティスの獅子州上陸を重視しているのだろうが……」
そう呟くオマージュ提督にレーダー士から報告が入る。
「報告。敵艦隊の速力が落ちているようです」
「何? 戦艦だけか?」
「いえ、全艦隊です」
機関の不具合か?
隊列を組み直して体勢を立て直すつもりか?
まさか空戦に決着が?
様々な考えがオマージュの脳内を巡っていく。
現状、電波状態が悪く、戦闘機との連絡はずっと取れていない状況だ。
戦闘機と共に反転攻勢を仕掛けてくる可能性も考えられるのだ。
「遅くなったのなら好機だ。引き続き砲撃しつつ敵艦隊と距離を取れ。それだけで魔導砲の威力が落ちるからな」
オマージュ提督は艦隊決戦が最終段階に突入したと判断し、その行方を見定めるのであった。
◆ ◆ ◆
――神聖ガリア艦隊
次々と入る撃沈報告。
最早、艦隊は半数ほどにまで減っていた。
「(これだけの物量を持ってしても勝てんのか……しかし天も奴らに味方している)」
トゥルクス提督は焦りに焦っていた。
栄えある神聖ガリア艦隊に2度目の土を付けることなど決して許されない。
「敵駆逐艦に命中を認める。規模は中破」
神聖ヴァルガリア帝國の魔導砲は天候によってもその出力が左右されることが多い。通常時より減衰の比率が大きくなってしまうのだ。
ユースティアは科学的にこれを解決しているのだが、そんなことは帝國が知る由もない。
「よしよし。その調子で当て続けるのだ。当てれば沈められる。砲撃手は焦るな」
「敵艦隊、更に速力を上げています。追いつけません!」
「くそ! 空母と連絡を繋いでくれ」
「了解です。ご命令を」
「空母に戻って敵艦隊に爆撃を敢行するようにと伝えろ」
トゥルクス提督も馬鹿ではない。
このまま艦隊のみでの決戦となれば神聖ガリア艦隊は壊滅的な打撃を受ける。
貫通型にしたお陰で今は何とかなっているが、元々出力が弱いところへ、この天候の悪さである。
魔導砲の威力は落ちており、射程も短くなっているのだ。
戦況を覆すには航空戦力に介入してもらう以外方法はないと考えたのである。
「この天候では無理だとの返答です」
「生きるか死ぬかの瀬戸際なのだ! やってもらわねば困る!」
「兵士に死んで来いとは言えぬとの返答です」
「このままではいずれにしろ艦隊ごと壊滅は必至なのだぞ! 行動を起こして生き残るか、何もしないで死ぬか! その2択だと知れ!」
「報告! ……空母〈ガルール〉轟沈! 空母〈ガレオン〉轟沈……!」
割り込むようにオペレータ―から報告が上がる。
その声は最早、悲鳴に近い。
「ええい! 先手を取られた! 後手後手に回っている……周囲の艦船は何をしていたッ! 敵の駆逐艦など早く沈めてしまうのだ!」
「レ、レーダーに感あり! て、敵が……」
「どうした!?」
「恐らく艦載機多数……空母、戦艦方面へ向かっている模様です……」
やること為すこと全てにおいて機先を制されていることにトゥルクス提督は戦慄していた。
このタイミングで戦闘機投入と言うことは爆撃機だろうか。
しかもこの悪天候の中強行してくる決断力。
こちらの空母は出せないと言っているのに、躊躇なく出撃させてくる敵艦隊の士気の高さと勇気に敬服せざるを得ない。
その時戦艦が大揺れに揺れる。
「旗艦〈ガリア〉にも被弾! もう船体が持ちません!」
「船内で火災発生! ああ! 浸水が――」
既に数発の命中弾を喰らっていた旗艦〈ガリア〉はもう限界のようだ。
恐らくは注水しても焼け石に水だろう。
沈む――
トゥルクス提督は敗北を悟った。
立って俯いたまま動かなくなった彼を見て部下たちが指示を求めている。
「戦艦〈フラクス〉轟沈しました!」
「最早これまで……総員急いで退艦せよ! 無事な艦は直ちにこの海域を離脱しろ!」
屈辱であった。
不退転の覚悟で挑んだ決戦のはずだった。
それが2度目の艦隊喪失になりそうな状況。
トゥルクスは2代目の戦艦〈ガリア〉と共に果てることを選択した。
更なる衝撃が艦を襲い、爆発音が連鎖的に発生している。
既に多くの区画が海中に没し、爆発で船体が真っ二つに折れる。
「結局はランディスを舐めていたのだ……我が国の魔導技術に慢心した結果、この敗北は決定事項であった。せめて連合国と連携できていれば……」
後悔してもしきれない無念を味わったトゥルクス提督は爆発に巻き込まれて戦死。
神聖ヴァルガリア帝國の象徴たる戦艦〈ガリア〉と共に海の藻屑と消えた。
◆ ◆ ◆
――ユースティア第3護衛艦隊群
戦闘指揮所内は静まり返っていた。
神聖ガリア艦隊の消滅の報がもたらされたのだ。
これで中央世界の東側に神聖ヴァルガリア帝國の艦隊はいなくなり、カヌール海の制海権は完全にランディス合衆国のものとなった。
西方艦隊が再びカヌール海へ行こうとするならスピナス海、大北海を通ってロライナ西方艦隊を破り、東進して中央大陸とジーランディア大陸の間を通過する必要がある。
東側の航路で反時計回りに進み、南タイカ海を通ってカヌール海に出ることもできるが、かなりの距離があり多くの時間を要するだろう。
それに神聖ヴァルガリア帝國が獅子州連合艦隊を単独にするとは思えない。
「本国からです。新たに護衛艦隊群と魔導艦隊を増派する。直ちに転進しタイト港へ戻るようにと指示が来ています。後日、3つの護衛艦隊群と戦闘機を使ってランディス合衆国をカヌール海から叩き出すとのことです」
その指令を聞いた1等空佐が困惑顔で不安そうに意見する。
「増派して大丈夫なのでしょうか? ガラベルム帝國も動くだろうし不安がありますが……」
「問題ないだろう。南東世界方面には4つ展開しているようだし、本土へ向えば魔導艦隊の餌食だ」
第3護衛艦隊群の司令官は、正直安堵していた。
これで何の気兼ねもなく兵器を使用することができる。
神聖ヴァルガリア帝國には悪いが、誤射の危険性もなくなるのだ。
だが、彼らの存在は世界秩序のために必要であるのは間違いないので、急激に力を落とされても困る。
「では帰還する」
その指示の下、第3護衛艦隊群は帰路へ着いたのであった。
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