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混沌なる異世界(カオス・ワールド)~様々な異世界国家が集まる異世界の坩堝~  作者: 波 七海
第三章 世界大戦勃発編

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第7話 再戦!カヌール海海戦 ③

いつもお読み頂きありがとうございます。

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 フォルニア艦隊旗艦ではオマージュ提督が「我が事為れり」と心の中でほくそ笑んでいた。だが表情には一切出ることはなく、いつも通りの無表情だ。


 神聖ガリア艦隊の戦艦を2隻轟沈、更に1隻が大破で機関に影響が出たのか動きが止まっている。


「(敵の魔導砲では戦艦の装甲は抜けない……海では我が軍の勝利だ)」


 後は撃ちまくれば良い。

 至近距離からの砲撃は神聖ガリア艦隊の装甲を容易く突破して轟沈に追い込むだろう。


 現在も大時化おおしけで波が荒れ狂っている中、あちこちに大きな水柱が上がっている。

 外してはいるが、確実に命中率は上がっているとオマージュ提督は考えていた。


「しかし帝國も引くことを知らないようですな」

「あれほどの数を揃えたのだ。奴らからすればこの1戦は引くに引けないのだろう」


 ランディス合衆国としては世界大戦を仕掛けた側の盟主として総力を持って神聖ヴァルガリア帝國を叩き潰すと決定している。

 帝國側に総力戦の意志が伝わる前に、一気に形勢をこちらに傾けたい訳だ。


「戦艦〈ディアナ〉が猛烈な砲撃を受けております。あッ戦艦〈ニョーク〉が更に被弾! 爆発炎上……轟沈します!」


「何ッ!?」


 オペレーターの報告に意表を突かれて驚きの声がオマージュ提督の口からついて出た。想定外の出来事だけに何が起こったのか理解できず、一瞬体が硬直する。


「今まで抜けなかった装甲を抜いてきた……弾種を変えたのか?」

「確かに可能性はありますが、魔導砲にも種類があるのでしょうか……」


 予想を超えてきたことは素直に称賛するが、それならばロングレンジの撃ち合いにもつれ込めば良い話だ。すぐに頭を切り替えたオマージュ提督が動揺など感じさせない強い言葉で命令を下す。


「よし! 全速で前進! 南から敵の背後に回り込むぞ! 敵艦隊から距離を取れ! 射程は同じでも魔導砲は威力の減衰が避けられない」


 それはすぐに全艦隊に通達されて、天候がますます悪化の一途をたどる中でも一糸乱れぬ艦隊機動を取る。


「さて。次はどう出る?」


 神聖ガリア艦隊は大所帯のため小回りが利かない状態だ。

 急な艦隊機動を見せるフォルニア艦隊についてこれていない。


「敵艦隊は乱れている。駆逐艦の魚雷で文字通り奴らを駆逐してやれ!」


 背後に回り込む動きを見せるフォルニア艦隊から駆逐艦8隻が、横っ腹を食い破るべく急に進路を変えた。




 ◆ ◆ ◆




 その頃、上空でも激戦が繰り広げられていた。


 神聖ヴァルガリア帝國のエースパイロットであるジュドーは既に42機もの敵戦闘機を落としていた。乱戦の中でこの数である。しかも見えない部分で彼は間接的に部下たちの命も救う機動をしている。


『お前ら! ちょびっと押されてんぞ! もうちょい気張れや!』


 敵機に追い掛け回されながらも、勘と経験で連射される機関銃から逃げ回っている。

 背後につかれた瞬間に、閃きのような物が頭に走る。

 まるで周囲が全て見えているかのようだ。

 ジュドー自身も自機を後方上空から俯瞰しているかのように感じられ、何処をどう飛べば敵機の弾が当たらないか、追い詰められないかが理解できる。


 自分を護るのは当然として第3部隊の仲間たちのフォローも忘れない。

 決して部下を死なせる訳にはいかないと八面六臂の大活躍を見せていた。


 だが合計で1000機もの戦闘機が入り乱れる形で始まった空戦の形勢は、今やランディス合衆国側に傾いていた。

 圧倒的な数的優位があったにもかかわらず、である。

 ただ海上の天候が大荒れのため、ランディス側の『シアトー655型』が空母との連携が上手くいかず補給が難航しているので何とかもっていると言ったところなのだ。


 魔導機関銃と違い、機関銃には弾数制限がある。

 神聖ヴァルガリア帝國の『ガルガンダMKⅢ』は最悪、大気中のマギロンからも魔力を集めることができるため、長時間補給せずとも戦えるのは大きな利点であった。


『落ちろ! この野蛮なる侵略者たちめ! 列強国の名が泣いているぞ! この卑怯者の騙し討ちランディスめが!!』


 ジュドーは前回のカヌール海の海戦で神聖ガリア艦隊が敗北したのは突如として奇襲を受けたせいだと思っている。もちろんそれは神聖ヴァルガリア帝國の流したプロパガンダなのだが、多くの兵士たちが信じているのが実情だ。そもそも、味方の士気を下げないために情報を秘匿したり、都合の良い情報のみを流したりすることなど、何処の国家もやっていることだ。


 例えば敗戦後のユースティアでもあったことだが、自国が敗戦したからそれを叩きたいだけの自称評論家が「ほら国は嘘しか吐かない」と批判している様子の何と滑稽なことか。彼らは他国の汚いことからは平気で目を逸らす根っからの敗北主義者である。


『隊長おぉぉぉぉ!! ヤバい! ヤバいッス! 背中につかれたぁ!!』


『おいおいおいおいぃぃ!! 今はまだ攻勢落ちてる方だぞ! 死ぬなァ!!』


『俺に任せとけ! 俺の目の前に現れた者は叩き落とす! 全てな!』


 ジュドーは発射管を強く握るとトリガーを引く。

 魔導機関銃を撃ち出すだけなのに、いちいち力が入ってしまうのはそれだけランディス合衆国が憎いからなのか。


『ウオラララララララララァ!!』


 僚機を狙っていた敵機に正確無比な射撃で魔導機関銃を命中させる。

 両翼を撃ち抜かれた『シアトー655型』は爆発しながら雲海に消えた。


『来援機はまだかッ!!』


 空戦による決着はつかないかも知れない。

 この海域にいる者の脳裏にはその考えが浮かんでいた。


 今回は海上の艦隊決戦のみで勝敗は決しそうだ。




 ◆ ◆ ◆




「貫通型の魔導砲の効果を認める。敵戦艦は大破炎上中!」


 その報告を受けてトゥルクス提督はホッと胸を撫で下ろしていた。

 このまま前回と同じ轍を踏む訳にはいかなかったのだ。


「何と……貫通の方が威力があるとは……」

「重要区画を抜いたか、艦内の爆薬にでも引火した可能性もあるだろう……何にせよ現在の出力の爆裂型では抜けんと言うことだ」


 驚く艦長にトゥルクス提督が予想していたことを告げるが、それでも彼の表情は優れない。


「(しかし装甲を抜けたとは言え、恐らく距離が空いては貫通型でもキツいやも知れぬ……このまま――)」


「敵艦隊、回頭! 速力を上げて我が艦隊の背後に回り込もうとしている模様!」


 トゥルクス提督の思考はオペレーターの報告によって中断を余儀なくされた。


「いかん! これ以上離される訳にはいかん。全力で追うのだ!」


「おーもかーじいっぱーい!!」


「敵戦艦に命中弾を認める! 敵艦炎上しております! ああ、敵巡洋艦中破!」


 お互いがお互いの背後を取らんと、時計回りに回っている状況だ。

 先頭に戦艦を並べた神聖ガリア艦隊と、右舷を見せて戦艦で他艦を護り単縦陣になるように配置しているフォルニア艦隊。


 大艦隊である神聖ガリア艦隊は速力の違いと大荒れの天候による荒波によってから足並みが揃わない。徐々にではあるが艦隊機動にバラつきが見え始める。


「て、敵艦隊の一部が回頭……側面から突撃してきます!」


「うぐぅ……横っ腹を食い破るつもりか……」


 その時、トゥルクス提督の脳裏に過ったのは、あの時の光景。

 戦艦が敵駆逐艦のよく分からない攻撃によって撃沈された件であった。

 すぐにピンときた彼が慌てて悲鳴に近い声で指示を出す。


「あれを近づけさせるな! 見えない攻撃が来るぞ!! 全艦を持って迎撃して沈めるのだ!」


 右翼に配置されていた重巡洋艦、巡洋艦、駆逐艦の魔導砲が次々と火を噴いた。

 しかし未だ距離があったようで駆逐艦と言えど1発では沈まない。

 チャージの間に距離はどんどんと縮まっていく。


 視界不良のため、最早直接視認することは不可能だ。

 後は魔導通信により状況を把握するしかない。


『敵駆逐艦、1隻を撃沈!』


 旗艦〈ガリア〉の艦橋内でどよめきが起こる。


「いける! いける!」


「ランディスなんぞ魔導砲の餌食にしてやれぇ!」


「飛んで火にいる夏の虫よぉ!」


 撃沈の報告を聞いて湧き上がる歓声。

 トゥルクス提督も心に希望が湧いて来て、心の中では声援を送っているほどだ。


 しかし――


『じゅ、巡洋艦〈テノル〉轟沈……』


 途端にシーンと静まり返る艦橋内。

 先程までの騒ぎが嘘のようである。


『重巡洋艦〈ガルラ〉轟沈、駆逐艦〈ヴァルダー〉轟沈』


 そして無慈悲な撃沈報告が始まった。


「攻撃は……攻撃は砲撃か!?」


『いえ、急に船体が爆発した模様です……』


「これは不可視の攻撃ですな」

「またあの攻撃かぁ!!」


 トゥルクス提督が苛立ちの混じった叫び声を上げて取り乱したことで現場も騒然となる。


 何処から攻撃を受けているのか分からないのは、恐怖心を煽るものだ。

 未知とは恐怖。恐怖心は伝播する。


 次々と味方が撃沈されていく中、とうとう腹は食い破られ内部に陣取っていた空母が捕捉される。


『く、空母が……空母〈ガレラル〉轟沈……』


 トゥルクス提督と旗艦艦長の表情からは色が失われていた。




 ◆ ◆ ◆




 ――南タイカ海


 スタン帝國海軍を撃破したユースティア護衛艦隊群はすぐに補給して北上を開始していた。


 何としても神聖ヴァルガリア帝國の敗北を回避させなければならない。

 政府首脳と国防隊の考えは一致している。


 現在、行われているカヌール海での海戦に参戦すべきだと言う意見が多数派を占めていた。このまま、ポートノワールの軍港が陥落すれば、神聖ヴァルガリア帝國はカヌール海に出られない。


 ただ政治的に帝國は中央世界への介入を良しとしない方針を断固として取り続けており、恐らく戦闘海域に到着しても参戦を拒否されるだろう。

 それで敗退に次ぐ敗退となれば、より致命傷となるのだが、超大国としてのプライドが邪魔をして対局が見えていない。


 ユースティアとしては足を引っ張られて共倒れになるのが、考えられる最悪の状況である。


 よって傷の浅い内に介入する。

 第1目標はランディス合衆国のフォルニア艦隊をユースティア単独で撃滅することだ。


 考えられる戦線は3つ。

 東方世界、タイカ国内の内乱――魔導艦で地方軍閥軍を屈服、もしくは滅亡させる。

 南東世界、ガラベルム帝國との海戦――圧倒して反撃不可能になるまで叩く。

 そして中央世界、カヌール海での海戦――制海権確保である。


 神聖ヴァルガリア帝國が崩れれば、中央大陸の獅子州連合、ドラゴニア、パトリア帝國も連鎖的に戦線崩壊する可能性があるのだ。


 大戦激化を防ぐためにもユースティアはここで動かなければならない。

ありがとうございました。

また読みにいらしてください。

次は来週になると思います。


大切なお願いです。

少しでも面白い!興味がある!続きが読みたい!と思われた方は是非、

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感想やレビューもお待ちしております。

モチベーションのアップにも繋がりますのでよろしくお願い致します。

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