第6話 再戦!カヌール海海戦 ②
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『セレンティア・サ・ガ』
~ゲーム世界のモブに転生したはずなのにどうしてもキャラと本編が逃がしてくれません~
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初撃で優勢に立ったのは神聖ヴァルガリア帝國の方であった。
『ガルガンダMKⅢ』の速攻で速度で勝る『シアトー655型』が多数、撃墜されてしまった。
『落ちろッ! 俺の魔導砲でな! 優しく殺してやるから掛かって来い!』
ジュドーが高度5000mで吠える。
最初の組織だった攻撃も『シアトー655型』の性能の前にすぐに通じなくなっていた。『シアトー655型』1機に対して『ガルガンダMKⅢ』3機で当たるように厳命してあるので、これが徹底されれば早々に決着がついてしまう可能性は低いと考えられる。
既に敵味方が入り乱れて飛んでいる様子を確認した神聖ガリア艦隊のトゥルクス提督は、空が互角の内に艦隊決戦で勝負を決めるべく全速力を持ってフォルニア艦隊へ向かっていた。
「敵艦隊まで距離50kmを切ります」
「よし! 艦隊決戦用意! 砲手は腕の見せどころだぞ! 今こそその業を披露する刻だッ!!」
フォルニア艦隊は相変わらず空母を後方にして、戦艦を全面に押し出してきている。前回は砲塔を犠牲にして大出力の魔導砲を撃ったと聞いているが、今回はそこが強化されていることを考えると、いくら装甲の厚い戦艦でもダメージは確実に入るものと考えている。
「照準合わせろ!! 各艦、前方の敵戦艦に集中砲火を浴びせてやれッ!! 出力の大きく増した魔導砲をなぁ!!」
各艦から次々と淡い緑色の砲撃が戦艦へと向かっていく。
その内の何発かが、照準通りに吸い込まれていった。
巨大な爆音と共に爆裂の術式が起動して、ド派手な爆発が起こる。
外れた砲は海に落ちて大きな水柱を上げた。
元々魔導砲の方が命中精度は高いのだ。
問題は威力なのである。
「敵艦の被害を確認!! 外した砲手は再計算してすぐに発射せよ!」
「煙晴れます。効果を認める。船上の構造物が破壊されています。副砲などにダメージあり」
それを聞いたトゥルクス提督は、ホッと胸を撫で下ろしながらも自分でも双眼鏡を覗いて状況を確認する。
しかし装甲に穴を開けた訳ではない。
轟沈させるには更なるダメージが必要だ。
「撃ちまくれ!! 命中はしているのだ! 必ず沈められると信じるのだ!」
「敵艦隊、東側から回り込んできます。現在2時の方向」
「こちらも敵の背後を取るように回り込め! 空母は射程に入り次第沈めろ!」
命令が全艦に伝えられると、射程内に捉えた巡洋艦が曲射で魔導砲を放ち始めた。しかし、命中弾が1つもなく周囲に水柱を上げるのみ。
訓練する時間がなかったからしょうがないとは言え、本当は魔石由来の術式型魔導砲は曲射の方が向いているのだ。
ちなみにユースティアの魔導艦は魔導炉によるエネルギーを使用しているため射撃は直線的である。そのための角度調整可能な側面砲であり、多くの仰角をカバーできる砲塔の数を持っている。
次々と至近弾が海上に落ちて大きな水柱が上がる。
それは敵艦隊の姿を覆い隠すほどだ。
このままでは何発撃っても当たらないと判断したトゥルクス提督は、方針を変えることを決断した。
「直射に切り替えろ。空母を護っている駆逐艦から撃破する!」
降りしきる雨の中、艦隊決戦が行われているが、空では雲上に出た空戦になっていた。
あまりの豪雨のため視界がまるで利かないためである。
だが、高度が上がったことで、ここでも性能差が影響を与え始めていた。
空気抵抗が小さくなるのはお互い様だが、エンジン効率は全く異なる。
それは推力などの性能差が更に広がることを意味していた。
空でも海でも互角の戦いが続く。
◆ ◆ ◆
「命中。敵巡洋艦大破炎上中です」
相変わらず神聖ガリア艦隊の魔導砲の命中精度は高かったが、威力はそれほど上がっていない。
前回の戦いを経験しているオマージュ提督としては、有り難い話であった。
戦艦を盾にした布陣を敷いて、敵の左舷側から砲撃を放つ。
かと言って巡洋艦クラスなら装甲を抜いて来るので油断は禁物だ。
神聖ガリア艦隊は魔導砲の拡散による威力減衰を避けるために、距離を詰めてきている。大艦巨砲主義が主流の世界で、ここまで接近するケースは少ないが、全ては威力を上げるための苦肉の策であった。
「命中弾が増えてきているな。このまま沈め続けるぞ」
戦艦を単縦陣にして右舷からの魔導砲に対する盾となっているため、旗艦〈ディスール〉にも多くの命中弾が出ていた。
甲板の上位構造物で脆い物から順に破壊されていく。
オマージュ提督は神聖ガリア艦隊が十分に近づいたと判断し、決断を下す。
「駆逐艦を出す。邪魔な戦艦の横っ腹に魚雷を撃ち込んでやれ」
命令は速やかに空母を護っていた駆逐艦へ伝えられた。
それを受けて喜び勇んだのは駆逐艦の艦長と乗組員たちである。
しかも魚雷で戦艦を仕留めろと言う大役だ。
駆逐艦が隊列から離れてフォルニア艦隊に晒している右舷方向へ向かって舵を切る。
旗艦では敵艦隊にダメージを与えている報告が次々と舞い込んでいた。
オマージュ提督としても手応えを感じていた。
海では形勢がランディス合衆国側に傾きつつある。
「敵重巡洋艦轟沈。駆逐艦2隻轟沈しています」
それに対してフォルニア艦隊には小破あるが、戦闘不能に陥った艦は未だない。
「戦艦〈ニョーク〉に被弾! 装甲にダメージを認める。損傷は中破程度」
オマージュ提督は考えていた。
神聖ガリア艦隊には恐らく魚雷と言う概念がない。
先の獅子州連合艦隊とのスピナス海海戦では、そのような情報が上がっていた。
それにいくら装甲が厚く魔導の力で強化されていようと魚雷の波状攻撃からは逃げられない。
これで戦艦を轟沈させられれば、如何に大艦隊と言えども残りは烏合の衆である。空母も沈めておきたいがガリア艦隊の奥深くに布陣しており、流石に駆逐艦だけで特攻させるのは危険だ。
「よし。距離も近いことだし我々の攻撃は何処までも届くと言うことを教えてやれ」
「そうですな。殲滅してやりましょう」
魔法の強化などどの程度の物なのかは、解明されていないが、装甲の強度と合わせて考えてもフォルニア艦隊の砲撃威力の方が上回っている。
前回の戦いと今日の今までの戦闘からオマージュ提督は確信していた。
海上での戦いは徐々にランディス合衆国側に形勢が傾いていく。
◆ ◆ ◆
「敵艦隊に動きがあります。駆逐艦が前に出てくる模様」
そう報告を受けたトゥルクス提督が疑問に思う。
今まで空母の護りに徹していた駆逐艦がここに来て動き出す意味は何なのか。
被害は神聖ガリア艦隊の方が多く出ており、フォルニア艦隊で轟沈した艦はない。よくて大破である
「駆逐艦に集中砲火を喰らわせてやれ。敵艦を轟沈すれば士気も上がるだろう」
命令はすぐに伝達されて魔導砲が接近する駆逐艦へと向かう。
駆逐艦程度の装甲なら労せず抜けるとの判断だ。
「空はどうなっている?」
「数で優勢なため、今のところは互角ですが、被撃墜数が増えている模様です」
電波状況が悪い状況だが魔導通信を使えば天候などにも左右されにくいため、神聖ガリア艦隊では把握できる。
「おのれ! あの数でも押せないと言うのか……」
空戦では中々優位性を得ることは難しいとは考えていたが、それでも圧倒的な数を揃えておいてようやく互角かと思うとやはり思うところはある。
しかも海上での艦隊決戦でもまだ1隻も沈められていない。
苛立つトゥルクス提督であったが、そんな彼の元にようやく朗報が届けられる。
「敵戦艦にダメージ確認! 大破にて速力が落ちています!」
「よし。その調子で……いや、魔導砲の術式を爆裂より貫通に比重を多く割け。術式変更だ!」
神聖ヴァルガリア帝國は魔法立国であり、科学はユースティアのように成熟した発展はしていない。
魔法も魔導に昇華しきれていないため魔導砲も中途半端な強さなのである。
これも古代兵器の解析によって発展してきたことの弊害であるが、今はそんなことを言っている場合ではない。
「……? 敵駆逐艦が何かを発射した模様です。恐らくですが……対象は戦艦かと思われます。敵艦は退避していきます!」
「何? 何がしたいのだ? 発射だと? 砲撃ではないのか?」
「不明です。観測員が海中に何かを発見したと報告が……」
「何か? 何かとはなんだ……」
不運なことに海は大荒れで海上は波がうねり白波を立てていた。
目視で魚雷を確認するのは難しかっただろう。
海中を悪魔がひたすら戦艦に向けて進み、今まさにその手が届こうとしていた。
「敵巡洋艦、穿孔から浸水しているようです! 轟沈します!」
トゥルクス提督が喜びを口にしようとした。
その瞬間――船体が大きく振動した。
「な、何だ? 何が起きた? 被弾したのか?」
バランスを崩しかけるも何とか踏み止まり、疑問の声を上げた。
続けて連鎖的に起こる衝撃に更に旗艦〈ガリア〉が大きく揺れる。
そして魚雷はその威力を如何なく発揮して船体に穴を穿ち、爆発が天を衝く。
「側面に穿孔。浸水を認める」
「なッ!? 注水だ! すぐにバランスを保て!」
旗艦は命中弾3発を喰らいながらも、幸運なことに重要区画にダメージが少なかったことで轟沈を免れる。しかし同時に入ってくるのは、凶報ばかりであった。
「せ、戦艦〈ルナレーン〉轟沈……戦艦〈ムーンフィア〉大破……」
「何だと……」
トゥルクス提督の脳裏に敗北の2文字が過った。
「(少しでも魔導砲の威力を上げようと距離を詰めたのが間違いだったのか? 頭を失えば大艦隊とは言え統率を失う……下げるべきか?)」
この日の為に戦闘機の投入について何度も話し合って計画を立案した。
しかし肝心な艦隊決戦で負けては意味がない。
味方艦隊の轟沈の報告を聞きながらトゥルクス提督は、ギリリと奥歯を噛みしめた。
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