第4話 スタン帝國、動く!
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『セレンティア・サ・ガ』
~ゲーム世界のモブに転生したはずなのにどうしてもキャラと本編が逃がしてくれません~
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中央世界の雄、スタン帝國が動いた。
だが、その軍事行動は神聖ヴァルガリア帝國へ向けてのものではなく、オースティン大陸――タイカ民主国に対するものであった。
国境付近に陸軍を展開させたが中々動きを見せない神聖ヴァルガリア帝國を訝しんだスタン帝國は、ランディス合衆国からの情報提供を受けてその航空戦力が北ほポートノワールに集中していることを知る。念には念を入れて独自の調査を行い、動くことはないと結論付けて海上艦隊をタイカ民主国へと派遣した。
神聖ヴァルガリア帝國に侵攻するのはランディス合衆国やルジナート連邦が北から南進を始めた時。それに呼応して連携を取った方が被害も軽減できるし効率も良いと判断したのである。その刻が来るまでは牽制して一部の帝國陸軍を引き付けておけば良い。
タイカ民主国に侵攻するために大都市セート周辺を牛耳るセート地方軍閥のリュショー総督と連絡を取り合っており、準備は万全だ。
南タイカ海に出たスタン艦隊は艦隊がいるとされているタイト港ではなく、前回の上陸作戦で一時、橋頭堡を作り掛けた地点へ向かう。
戦艦2、巡洋艦5、駆逐艦8、空母2と大規模な艦隊ではないが、南タイカ海の制海権を握るには十分だろう。
何しろタイカ民主国は大帝國時代から海軍を持たなかった国家だ。
そんな国がたかだか1年程度で精強な海軍を創設できるはずがない。
唯一の懸念点はタイト港に駐留していると言うユースティア海軍だけだが、その数は大したことはない。
「閣下、いよいよ前回の借りを返してやれますな! 橋頭堡を築きながらも撤退せざるを得なかったことは悔しくて忘れられません」
「その通りだ。神聖ヴァルガリア帝國が動けない今を置いて、いつ動くと言うのか」
意気揚々と話し込んでいた艦隊司令と旗艦艦長の会話に割り込む形で報告が入った。
「報告、本国からです。神聖ヴァルガリア帝國から警告『すぐに艦隊を撤退させ、タイカ民主国への干渉を中止せよ』とのことです」
「気にすることはない。奴らには何もできんからな。本国もそう言っているだろう?」
「虚勢を張るのだけは超大国なだけあって貫禄がありますな」
「はい。本国からは作戦に変更なしと連絡を受けました」
後は、セート軍閥に負けないように進撃するだけだ。
険しい道のりのエキシュウ地方をどう迅速に制圧していくかが鍵を握っている。
手を結んだとは言え、セート軍閥だけに美味しい思いをさえる訳にはいかない。
そう考えていると、通信士の様子がおかしいことに気が付いた。
普段なら気にも留めていないだろうが、虫の居所が良くて機嫌の良い司令が声を掛ける。
「どうした? 何かあったのか?」
「いえ、ただ今、大出力の通信が入ったものでして……」
スタン帝國艦隊が使っている周波数が知られていると言うことだ。
少しだけ艦隊司令の身に緊張が走った。
「何だと……? どこからだ?」
「ユースティアからです。『直ちに引き返せ。さもなくば撃滅する』と。最後通告だそうです」
それを聞いた旗艦艦長は鼻を鳴らして心底馬鹿にしたように言った。
「所詮は東方世界の新興国家よ。我が国が舐められていると言うことだ。出撃してくるようなら叩き潰してやりましょう!」
「うむ……」
艦隊司令は何処か漠然とした不安感を抱いた。
ユースティアに関する情報はタイカ大帝國に戦争の末勝利したと言うことと、魔導艦隊によって古代龍を落としたことだけ。タイト港にいる海上艦隊は巨大だが、口径の小さい主砲が数門ある程度と聞いている。
だとしたらこの胸に去来する言い様のない感情は何だと言うのか。
彼は初めての体験に困惑していた。
神聖ヴァルガリア帝國とユースティアからの警告を無視してスタン帝國艦隊は進む。
海峡ほどではないが、非常に狭い南タイカ海である。
オースティン大陸は目と鼻の先。
到着は間近で、先程通信したセート地方軍閥のリュショー総督は既に軍を動かしていると言う。領内に多くの火種――野心を持つ軍閥を抱えるタイカ民主国は必ずや混乱し、中央政府は起ち上がった勢力を抑え込むので精一杯だろう。
ユースティアの目もそちらに向かうに違いない。
「杞憂だったか……」
そう小声で呟いた途端の出来事。
艦隊司令の耳に驚愕の報告が入る。
空気を震わせて轟く爆音と共に。
「ほ、報告! 巡洋艦〈クズロ〉が突如、爆発炎上! 原因は不明!」
安心して俯き加減だった顔をガバッと上げた司令がすぐに問い質す。
「何処からだ!? 周囲に敵艦隊はいるのか?」
「レーダーに反応ありません!」
その間にも新たな爆発音が聞こえてくる。
立て続けに攻撃を受けているのだ。
しかも1発で確実に命中弾を当ててきている。
司令はその事実に戦慄していた。
「乗組員が高速で飛来する何かを見たとの報告が上がっております!」
それを聞いた司令は未知の攻撃であり、脅威であると判断して命令を下す。
「艦載機を全て上げろ! すぐにだ! 空母が狙われるかも知れん」
「ぜ、全機ですか?」
「全機だ! とにかく上げろ!」
通信士が命令を伝える中、次々と入る攻撃報告。
「駆逐艦……4隻続けて轟沈しました!」
「い、1撃だとぉ!? そんな高威力の砲を撃つのに近くにはいないと言うのか?」
艦長も事態の異常性に気付いて顔付きが変わっている。
艦橋内は先程までの緩んだ雰囲気は吹き飛んでいた。
「く、空母〈テミル〉に被弾多数! 爆発大破炎上しています!」
「クソッ……やはり空母の重要性は理解しているか……その飛んで来たもの、砲撃の方向は分かるな? それを艦載機へ伝えろ! 直ちに敵艦隊に攻撃を仕掛けろとな! 爆装している機は爆撃に当たれ!」
駆逐艦によって護られていた空母にも命中弾が当たってしまった。
しかも外れた弾はなさそうなのが信じられない。
「空母〈テミル〉轟沈……。空母〈リータウ〉にも被弾している模様」
「何機上がった?」
「およそ40程度かと」
心の中で舌打ちをした司令が必死でアラートを鳴らし続ける脳内で思考を続ける。
攻撃が尋常ではないほど速い上、命中精度が極めて高い。
と言うか全弾命中している可能性すら考えられる。
しかも長距離の砲撃と思われるので、超ロングレンジ砲を備えているのかも知れない。
沈黙が支配し艦橋内は緊張感と歩み寄ってくる死の恐怖で満たされていた。
「砲弾が飛んで来た方角へ全艦を向けろ! 装甲の厚い戦艦に賭ける! 抜かれれば負けだ!」
艦隊司令は鬼気迫る表情でそう言い放った。
◆ ◆ ◆
『おいおいおいおい、これはヤベーんじゃないのか?』
『我が国の艦隊がこうも一方的に……』
『つべこべ言うな! 早く敵艦隊へ急行して攻撃を加えるぞ!』
既に戻るべき空母は轟沈してしまった。
返るべき場所はない。
これではあまりにも理不尽な特攻ではないか。
パイロットたちの胸に去来したのは虚しさ。
だがそれだけではなかった。
友軍を助けるために一刻も早く敵艦隊を撃滅して見せる。
祖国のためになるのであれば、諦めも付くと言うものだ。
遠く――南東方向には敵艦隊が見える。
『あれほどの距離から当ててきただと!? 有り得ないだろうがよ!』
各機と無線を繋いだままで、そう叫びながらフルスロットルで敵艦隊へと向かう。
そうでもしないと不安に胸が張り裂けそうだからだ。
そうでもしないと本国へと逃げ帰ってしまいそうだからだ。
自らを奮い立たせるには無線越しとは言え、衆人環視の状況を作り出してお互いを監視するしかない。
『おのれぇぇぇ!! ユースティアと言ったか! 必ず沈めてやる! 沈めてやるぞ!』
ようやく接近できて一矢でも報いることができそうな状況に彼らの胸に「やってやるぞ」と破れかぶれの意志が宿った。
のだが――近くで起こる爆発音。
空に咲く紅蓮の花火。
『な、何だ? 対空砲か? 今のはたまたまだ! あれは中々当たるものではない!』
まるで自分自身に言い聞かせるかのように彼らは叫ぶ。
しかし現実は非情であった。
ユースティア艦隊の54口径127mm連装速射砲が火を噴くや、次々と爆散していく僚機。
『何故あれが当たるのだぁぁぁ!!』
『距離を詰めろ! 仰角の届かない位置から攻撃するんだ!』
死にたくないので極めて迅速に艦隊の真上方向へと上がると、機関銃を撃ちまくる者、垂直爆撃の体勢に入る者などようやく反撃できそうな状況となる。
その時、敵艦――イージス型護衛艦の甲板が火を噴いた。
『なんだ?』
『あん?』
『爆発か?』
瞬間――射撃統制システムによって制御された対空ミサイルが空から全てを消し去った。
◆ ◆ ◆
「全機、応答ありません……」
通信士から沈痛な面持ちで報告が上がる。
ユースティアの巨大艦の姿は見えている。
見えてはいるが手も足も出ない状況。
「こちらの射程に入りさえすれば……」
悔しげに呟く艦隊司令であったが、それでも果たしてどうかと考えさせられていた。超高速で飛来する砲撃、百発百中を思わせる命中精度、超長距離からの攻撃、攻撃速度の速さ。
どれをとっても勝てる想像ができない。
何も浮かばない。
「撤退だ。全艦、直ちに反転し本国へと戻る。敵が逃がしてくれるのならばな」
それに異を唱える者は艦橋内に誰1人として存在しなかった。
そもそも生き残っている艦は戦艦1、巡洋艦1、駆逐艦2のみであったのだ。
全員が目に見えない攻撃に士気を喪失している。
「戦闘機も多数同時に撃墜されたようだ……あれは魔導なのか?」
反転したスタン帝國艦隊は結局、追撃を受けることはなく、無事に本国へとたどり着くことができた。
これによりスタン帝國はタイカ民主国への侵攻を一時断念。
しかしこの影響はランディス合衆国の命を延命させることになる。
逆に言えば神聖ヴァルガリア帝國が甚大な被害を受けることが決定した瞬間でもあった。
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