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混沌なる異世界(カオス・ワールド)~様々な異世界国家が集まる異世界の坩堝~  作者: 波 七海
第二章 変わる世界編

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第31話 ランディス合衆国の暗躍 ①

いつもお読み頂きありがとうございます。

本日は12時の1回更新です。

現在、今作品はコンテストに参加しております!

評価★★★★★とブクマをして頂けると嬉しいです!


こちらも読んで頂けると嬉しいです。

ゲーム世界に転生したモブが色々とやらかします。


『セレンティア・サ・ガ』

~ゲーム世界のモブに転生したはずなのにどうしてもキャラと本編が逃がしてくれません~

https://ncode.syosetu.com/n3022kp/

 ――スタン帝國


 ランディス合衆国の在スタン帝國大使であるホリッジは、外務卿クリフ・ナザルタンの元を訪れて面会をしていた。

 

 これは本国の重要な戦略の第1歩目であり、何としても成功させるべき交渉であった。だが無論、成功する目算がなかった訳ではない。


 通された応接室には、ナザルタンを筆頭に外務文官3名が椅子に座って待ち受けていた。


 ホリッジの姿を見ると、彼らは立ち上がって出迎える。


 今回の交渉はランディス合衆国側から要請したものだ。

 神聖ヴァルガリア帝國に惨敗したスタン帝國からすれば、まさに願ったり叶ったり――渡りに船であった。


「よくぞ参られました。ホリッジ大使。本日は神聖ヴァルガリア帝國に関する話だと聞いておりますが……さぁお掛けください」


 大仰な態度で迎えたのは、外務卿のナザルタン。

 他の外務文官も立ち上がって応対している。

 彼の言葉を聞いたホリッジたちがソファに腰掛けると、礼をして早速と言わんばかりに話し始める。


「まさしく。実は我が国は、帝國に攻撃を受けてしまいました。彼奴らは卑怯にもカヌール海上で演習していた我が艦隊を大艦隊を持って奇襲したのです」


「それは遺憾ですな。しかし何もしていない国に対して問答無用で攻撃してくるなど、超大国を自称する国の行為ではない!」


 ナザルタンはその事実を知っていたが、も初めて聞いたかのように振る舞う。

 知っているのはランディス合衆国がそう喧伝しているから当然なのだが。


「我が国の国民もこれには大変怒りを覚えており、世論は報復に傾いております」

「それも詮無きことかと。カヌール海となると東方艦隊ですかな? 被害の方は如何ほどでしょうか?」


 これまた掴んでいる情報を敢えて聞き出そうとするナザルタン。

 そう。これは単なる茶番であった。

 お互いがする確認作業でありバフォーマンス。


「帝國は奇襲したにもかかわらず、我が国の反撃を受けて大打撃を被りました。こちらの被害は軽微なものです」

「なんと! それは素晴らしい! 流石は列強国と呼ばれるだけありますな。貴国の勇敢な兵士たちには敬意を示したいと思います」


 それに対してホリッジは礼をすると、ようやく本題を切り出した。


「ありがとうございます。そこで本題なのですが、帝國はちとやり過ぎた。そう思われませんかな?」

「恥ずかしながら我が国も突如攻撃を受けて損害を被ってしまいました。情けないことです……確かに帝國の軍事行動は目にあまる!」


「自らを世界の中心だと考えているのでしょう。そこで我が国は帝國ともう1戦交えようと考えております。しかし我が国だけとなるとちと荷が重い。そこでこの世界で帝國に力で抑えつけられてきた各国の力を糾合しようと考えているのですが、貴国は参戦の意図はおありかな?」

「我が国は帝國に報復する準備があります。貴国のお考えは素晴らしいものと考えます」


「賛同して頂けるとは頼もしいものだ。我が国は他国とも交渉を持っております。帝國は敵を作り過ぎたのです」

「それは心強い! ですが我が国が役に立てるかどうか……陸軍を派遣することは可能でしょう。しかし空軍では帝國に優位性を取られてしまいかねません」


「そこを何とかするのが世界各国との連携です。我が国としては神聖ヴァルガリア帝國の包囲網を作り出そうと既に交渉を開始しております」

「なるほどなるほど……帝國は世界を相手にして戦わねばならない。そう言うことですね?」


 お互いにニヤリと邪悪な笑みを浮かべて笑い合う。

 遠目に見れば、ただただ歓談していうように見えることだろう。


「連携する国はどちらでしょうか」

「貴国、ルジナート連邦、アトランティス帝國、神聖トールドル帝國、大ザナーク帝國、パトリア帝國、トナム共和国、タイシン、コウシン、そしてタイカ民主国の地方軍閥と言ったところでしょうか」


「それは壮大な包囲網になりましょう! 我が国としてはバーラデリ共和国も参加すると考えております。交流もございますので我が国から打診してみましょう」

「ありがとうございます。ですが交渉は我が国が行いましょう。貴国には仲介して頂きたい」


 この言葉には少しばかりムッとしたナザルタンであったが、ランディス合衆国を盟主とするならば交渉は1本化しておいた方が良いと判断する。


「よろしいでしょう。ところでその中で参戦しそうな国はどれほどになりそうでしょうか?」

「今のところ、全ての国から色よい返答を頂いております。問題はありませんな」


 ホリッジが自信を覗かせて不敵な笑みを見せる。

 果たしてそれが事実かどうかはスタン帝國側も掴んでいない。

 蓋を開けてみれば味方がほとんどいなかったではお話にならない。

 それを見越したかのようにホリッジは続ける。


「敵となるのも帝國の同盟国ドラゴニア、獅子州連合ですな。恐らく中立を決め込むのがムー連邦。ゼムリア大陸の諸国も様子を見てこちらが優勢なら参戦してくるでしょうな」

「バーラデリ共和国の魔導艦隊を破ったと言うユースティアなる国家はどうなのでしょう?」


 流石に隣国に対して圧倒的大勝利を収めたと聞いているだけに、スタン帝國としては未知の国家であり、不安になるのは仕方のないことであった。既に調査は開始しているが、ユースティアは東方世界にあり露骨な接触は相手の警戒感を高めるだけだ。しかしランディス合衆国は既に情報を持っているようで、ホリッジは安心させるように言い含める。


 まるでナザルタンの心中を見透かしたかのように。


「あの国は領土的野心も持たぬ平和主義国家です。我が国の国家情報局は介入してもタイカ民主国へ程度だと分析しております。心配は無用かと」

「承知しました。ではこれからも情報交換を密にしていきたいと思いますがよろしいか?」


 相手の空軍の強さを見誤って負けたスタン帝國としては慎重にならざるを得ない。

 それに国家の威信もあるのだ。

 例え交渉相手のランディス合衆国が列強国であっても面子と言うものがある。


「もちろんです。掴んだ情報や敵味方に関する情勢は共有すべきと考えております。今後も詰めていきましょう」


 事もなげにそう言ったホリッジに少し拍子抜けしながらも、今のところは信用するべきだと判断する。とは言え、もし包囲網が成った場合でもスタン帝國が最前線となるのは間違いない事実。


 ただの駒として使い捨てられる訳にはいかないのだ。

 ナザルタンはランディス合衆国に対して頼もしさを覚えると同時に警戒度も高めた。




 ◆ ◆ ◆




 ――ルジナート連邦


 ランディス合衆国と海を挟んですぐ南にあるルジナート連邦にも、交渉のために政府高官が派遣されていた。

 外務長官のリハネス・ジェキンスである。

 長く敵対関係にある両国には国交がない状態であった。


 ルジナート連邦は先日のカヌール海海戦の結果を聞いて、ランディス合衆国を脅威と見なし国家警戒態勢デフコンを1段階引き上げて5段階中の上から2番目――レベル2としていた。

 如何に神聖ヴァルガリア帝國が大敗北したとは言え、超大国であり残存戦力は大きいとの認識を持っていたルジナート連邦は南北からの攻撃の可能性に備えることになったのだ。


 仮に帝國側が動かなかったとしても、この好機にランディス合衆国が動かないはずがない。獅子州連合とも対立している上、協力要請できそうなスタン帝國も神聖ヴァルガリア帝國に敗れたと言うではないか。

 現状では近隣諸国で味方になりそうな国がいないのだ。

 背後を脅かしてくれる友邦国もない。


 なのでランディス合衆国側から交渉の話が舞い込んだ時には、皆疑問に思ったほどであった。だが、そのお陰で思ったより帝國はダメージを負ったのではとの意見が出始めた。


 ランディス合衆国の外務長官のリハネス・ジェキンスが会談のためにセッティングされた部屋に足を踏み入れた。

 かつては世界に誇ったルジナート文化を見せ付けるかのような豪奢な室内である。到着を今か今かと待ち受けていたルジナート連邦、外務大臣のコルスフクが立って出迎える。


「これはこれは……遠路遥々ご苦労なことだ。歓迎しよう」

「それは有り難いことです。このような歓迎を受けたとなれば来た甲斐があったと言うもの」


「それで我が国に一体何用なのかな? 両国にとって素晴らしい話だと良いのだが……」

「ふふふ……そう警戒なされぬよう。これはお互いにとって必ずや国益に繋がると確信を持ってお伝えしようか」


「ほう。それは興味深い。是非聞かせて頂こう」

「貴国との関係も長い……では単刀直入に話そうか」


 お互いに、戦い続けてきた間柄なのだ。

 相手ののやり様は理解している。


「先日、我がランディス合衆国海軍の東方艦隊がカヌール海において、神聖ヴァルガリア帝國の最新鋭艦隊、神聖ガリア帝國及び東方艦隊を撃滅した」

「そのことに関しては聞き及んでいる。大戦果だとな。まずは戦勝をお祝い申し上げる」


「貴国のような大国にそう言って頂けるとは有り難いことだ。この勝利に当たり我が国は、神聖ヴァルガリア帝國とも伍して戦えると言うことを認識した。そこで提案があると言う訳だ」

「なるほど。海では流石のランディスと言っておこう。だが、果たして陸でも彼の国に勝てる目算があると?」


 コルスフクは初めこそ自国に対する圧力かと思っていたが、確信に至る。


「無論である。我が国は決して単独ではないのだから。今や我が国に味方する国は多い。それが意味することが分からない貴国ではあるまい」

「興味深い話だ。神聖ヴァルガリア帝國にどう勝つのかを聞かせて頂こうか」


「簡単なことだ。彼の国に対して包囲網を作り同時侵攻を行う。既に多くの友邦国があり、彼らには参戦の用意がある」

「だが帝國にも同盟国は多い。獅子州連合、ドラゴニク、パトリア帝國などがな。特に我が国だけでなく、貴国に対しても牽制の動きを見せる獅子州連合の存在は厄介だろう」


 連合によって対抗するのは理解できるが、敵もまた連合国を作ってくるのは目に見えている。特に獅子州連合は、ランディス合衆国と並んでルジナート連邦にとっての目の上のたんこぶであり続けている。結束力も強く、連携力も高い。


「大丈夫だ、問題ない。獅子州連合にはアトランティス帝國が当たるし、奴らとて決して一枚岩ではない。ドラゴニクは列強国とは言え、国家規模はそれほどでもない。物量で攻めれば勝てる。パトリア帝國は南東方世界と睨み合っていて動けないだろう。いや動けないのはムー連邦の方か。パトリア帝國は我が国の味方になる予定だからな」

「アトランティスが? 万年内戦をしているような国だが信頼できるのかね?」


 コルスフクの疑問は多い。

 アトランティスの海上戦力が脆弱であることくらいは情報として掴んでいる。

 それで獅子州連合にいつも敗退しているのだ。


「あそこは既に内戦が終わっている。上陸さえできればアトランティスの機械兵器が獅子州で暴れ回るだろう。我が国が海軍を動かせばそれも可能だ」

「確かに海軍の強い貴国なら何とかなりそうだが……陸で戦えるのかな? いや戦う気はあるのかね?」


 味方にだけ戦わせて、利だけを持って行くのは十分考えられる。

 ランディス合衆国とはそう言う国だ。


「連合する国だけに戦わせるような真似などせぬよ。我が国は帝國北のポートノワール軍港を陥落させて上陸し侵攻する予定だ」

「神聖ヴァルガリア帝國も陸軍は決して弱くはないが問題はないのかね? 奴らは北に強固な大防衛線を築いている」


「我が国の空軍を持ってすれば地上の防衛線などどうとでもなるだろう。制空権は我が国にあると言っておこう」

「……」


 ルジナート連邦としては全面的にランディス合衆国を信用することはできない。

 しかしここで断れば、神聖ヴァルガリア帝國、獅子州連合、そしてランディス合衆国の圧力を一身に受けると言うことになる。

 それは避けなければならない。

 強大な陸軍を持つとは言え、三正面で戦うのは危険は冒せないとコルスフクは考えていた。


「よいでしょう。上で検討はするが今後も交渉を続けると言う方向性で行きたいと思う」


 それを聞いたジェキンスは相好を崩した。

 ルジナート連邦の陸軍の強さを知っているだけに是非とも味方に引き入れたいところであったのだ。


「今後とも細かい詰めを行っていきたい。よろしくお願い申し上げる」


 まだまだ交渉する国は残っている。

 だが、千載一遇の好機を逃す訳にはいかないのだ。


 ジェンキンスは祖国の企てが上手く運んでいることを強く確信して、コルスフクと固い握手を交わした。

ありがとうございました。

また読みにいらしてください。

明日も12時の1回更新です。


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