第27話 カヌール海海戦 ②
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――ランディス合衆国・東方艦隊
東方艦隊及び、飛び立った戦闘機『シアトー655型』、200機は、圧倒的な敵軍の攻撃に晒されていた。
艦隊司令のオマージュ海軍少将は旗艦〈ディスール〉上でジッと戦況を聞いて何か考えている。
旗艦艦長も彼の思考を妨げるようなことはせず、同じように戦闘を眺めていた。
「敵、魔導砲により重巡洋艦、巡洋艦に被害あり。損害は中破。火災が発生しているようです」
オマージュは航空優勢が取れれば、いかな大艦隊だろうと勝てると踏んでいた。
空を制する者が海戦を制するのだ。
そしてそのための新型戦闘機『シアトー655型』なのだ。
「空の状況はどうか?」
「ガリアの航空部隊は500でしたが、お味方が善戦しております。かなりの打撃を与えている模様」
空戦の状況を鑑みるに敵はランディス合衆国の戦闘機の性能を見抜けていない。
新型戦闘機『シアトー655型』は時速720kmにも達し、旋回性能がかなり強化されている。それに対して神聖ヴァルガリア帝國の戦闘機は『ガリアンヌMKⅡ』で時速550km程度。その数さえ何とかできれば、勝負にならないだろう。
「今頃、敵パイロットたちの顔も青ざめておりましょう」
彼らは勇猛果敢な素晴らしい猛者たちである。
常に強い相手との戦いを望んでいた。
今頃は圧倒的な数の敵戦闘機との空戦に心が躍っていることだろう。
「我が隊に被害が出始めております。重巡洋艦2隻、巡洋艦2隻が大破、航行不能との報告が上がっております」
「魔導砲は直線的な攻撃しかできん。絶えず動き回って攪乱するように通達せよ」
オマージュの言葉が一言一句間違うことなく各艦へと伝えられる。
「(意外と威力が高いな……敵は危険を承知で距離を詰めてきている。減衰による威力の低下を恐れているからだ。ここは戦艦を前に出すか……)」
「司令閣下、少し距離を取った方が良いのではありませんか?」
「ああ、私もそう考えていたところだ。取り舵いっぱい! 回り込みつつ距離を取れ、もちろん砲撃は引き続き行うように。それと戦艦を盾とする。前に出るぞ」
魔導砲の威力に関して言えば少々想定外だったが、400mmを超える装甲を持つ戦艦を盾にすれば、抜くことは不可能と判断する。それに戦艦を前に出せば、これ幸いとばかりに狙い撃ちしてくるであろうことは予想が付いた。
編隊を変えて攻撃を続け、ガリア艦隊には砲弾の雨が降る。
同時に魔導砲による攻撃を受けて旗艦〈ディスール〉の艦橋が激しく揺さぶられた。
「被害確認急げ」
魔導艦による魔導砲は意外と命中精度が低い。
と言ってもそれはタイカ民主国のような魔導艦の話であって、神聖ヴァルガリア帝國の魔導砲は力場の調整などにより命中率は各段に向上している。
そのため、当たる。当たる。当たる。
ましてやユースティア魔導艦は威力も命中精度も射程距離すら圧倒的なのだが、それは彼らが知る由もないことだ。
「被害軽微です。いくつか小口径の副砲が破損」
「よろしい。距離も近い。片っ端から沈めてやれ」
ランディス海軍が誇る戦艦主砲42cm砲が発射される。
砲術長もベテラン揃いであり、オマージュは彼らに全幅の信頼を置いていた。
「司令閣下、命中しておりますぞ」
「そのようだ」
その後も前面に押し出された戦艦は全砲門を持って攻撃。
着実にガリア・東方統合艦隊に打撃を与えていた。
―――
その頃、空では――
『遅い! 敵は遅いぞ! 数の多さにビビるのではない! 冷静になって機体を操るのだ! 敵の魔導機関銃が当たることはない! ここが踏ん張りどころなのだ! お前たち、帰ったら勝利の美酒を味わわせてやるぞ!』
ランディスの戦闘機を率いる大隊長が無線で全軍を鼓舞していた。
初めに、空を埋め尽くすほどの戦闘機の群れを見た時は、驚愕して不安に駆られたものだが、戦いに慣れてからは撃墜される僚機は格段に減っていた。
『オラッ落ちろ! 我が国に逆らったことを後悔しながらなぁ!』
『傲慢にも世界の調停者を名乗る者たちが落ちていくぞ! この戦いは我が国の勝利だ!』
『何が世界の超大国だ! その自信過剰なところを打ち砕いてやる!』
部下たちの声が無線を通して入ってくる。
それを満足げな顔をしながら大隊長が、敵戦闘機の背後について機関銃でまた1機撃墜した。
『威力はあるが、当たらなければどうと言うことはない! 機動力で上回る我々に負けはないのだ! 焦らず追い込め!』
1機、また1機と『ガリアンヌMKⅡ』が為す術もなく落とされていく。
こうして神聖ヴァルガリア帝國の圧倒的な航空優勢が崩れ始め、ますますパイロットたちの士気が高揚する。
『友軍の第2陣がくるぞ。合流した後に弾薬の補給に戻る。そして総攻撃だ』
ランディス東方艦隊は全機を出撃させていた訳ではなかった。
神聖ガリア艦隊・東方艦隊が制空権を取るべく、空の大軍を送り込んでくることはオマージュからしてみれば当然の選択であり、これを馬鹿正直に迎え討ったとしてもいずれ弾薬が尽きるのは目に見えていた。
そこで『シアトー655型』の性能を信じて、敢えて部隊を分けて補給する機会を設けたのである。
初撃で大打撃を与え、その数を徹底的に減らし、第二撃で押さえ、最終的に全機による総攻撃を掛けるのが計画されていたことであった。
そこへ予定通り第2陣が一糸乱れぬ編隊を組んで戦闘空域へとやってきた。
空の攻防は、今のところ互角。
補給へ空母へ戻った部隊が再度、出現した時、勝負は決まる。
―――
――神聖ガリア艦隊・東方艦隊
「敵軍、回頭しております。戦艦を前に押し出す模様です」
観測士からの報告とレーダーによる情報が艦橋にいる旗艦〈ガリア〉内に報告が上がった。
「デルムド提督閣下、これは好機ですぞ!」
「ああ、各艦に通達。前面に展開している敵戦艦に集中砲火を浴びせる。艦隊左の部隊はそのまま重巡洋艦や巡洋艦を狙え!」
贅沢を言えば、ランディス東方艦隊の空母にも打撃を与えたいところだが、かなりの後方に陣取っているようだ、
圧倒的優位と考えていた空戦で苦戦している現状を鑑みると、爆撃機を送るのは難しいと言わざるを得ない。
「我が国の魔導砲は最強の龍の咆哮とまで言わしめたもの。提督閣下、戦艦2隻など造作もありませんぞ」
「うむ」
「戦艦〈ガリレオ〉に被弾多数! 大破です!」
そこへ突然放たれる衝撃。
乗組員たちが硬直する。
神聖ガリア艦隊が誇る最新鋭の戦艦に打撃を与えるなど信じられないのだ。
「魔導強化装甲を抜いてきただと……? しかも戦艦だぞ……」
デルムドの口からは苦々しい声が漏れるのみ。
しかし――指揮官が呆けていては士気に関わると判断した彼は乗組員へ告げた。
「砲撃などそうそう当たるものではない。それに我が国は大艦隊だ。決して負けぬ!」
そうやって鼓舞するが、同時に旗艦の周囲に大きな水柱が上がった。
超至近弾で、その着弾点の水は天を衝かんばかりに噴き上げられている。
その衝撃が巨大な波となり船体を大きく揺らした。
思わずよろめくデルムド。
身近にまで迫る死の恐怖に冷や汗が止まらない。
「敵戦艦への攻撃はどうなった!? 観測員!」
「報告、敵戦艦、魔導砲多数を受けた模様……損害は認められません……損害は軽微かと」
オペレーターは戸惑いの色を隠せずにいる。
彼女としても想定外なのだ。
「何だとッ!?」
「重巡や巡洋艦クラスなら抜けますが、戦艦はかなりの装甲を持っているようですな……」
艦長も焦りからか声に余裕がない。
老練な彼らしくない態度を目にして逆に冷静になるデルムド。
「魔石から得るマギロンエネルギーを増やせ。出力を上げる必要がある」
「充填に時間がかかります!」
「構わない! 当たってもダメージを与えられないのならいくら撃っても同じこと。ならば出力を挙げた魔導砲に賭けるしかないのだ!」
「砲塔に掛かる負荷が甚大です!」
「構わんと言っているッ! 今、勝って生き残ることだけを考えろ! 後のことは後で考えればよいのだ!」
デルムドは頭を切り替えてすぐに決断を下した。
やって意味がないことはやらない。
とにかく可能性が少しでも上がることをやるべきだと彼は考えている。
「戦艦〈ガリレイ〉……轟沈しました!」
「……!!」
「巡洋艦〈ヴェリー〉轟沈……重巡洋艦〈ヴェルノー〉轟沈……」
その後も悲報ばかりが舞い込んでくる。
吉報など1つもなかった。
上空では敵味方が入り乱れての空戦が続いている。
そこへランディス合衆国海軍、フォルニア東方艦隊の後方から戦闘機が編隊を組んで飛んでくる。
「まだ航空戦力を隠していたか!」
戦力の逐次投入など考えられない。
となると何か意図があるのか?
デルムドはランディス側の考えを測りかねた。
ランディス側としてはあくまで事前からの計画通りであり、大した意味などないのだが、それが彼に余計なことを考えさせてしまう。
「充填完了しました。大出力です!」
「よし! 照準合わせろ!」
「照準よーし」
「撃ってぇぇぇぇぇ!!」
旗艦〈ガリア〉の主砲が火を噴いた。
淡い緑色が深い緑色に変わっている。
通常よりも野太い光線が目標の戦艦へと迫ると大爆発を起こした。
望遠で確認した観測員から通信が入る。
それをオペレーターが報告した。
「敵戦艦、小破……いえ中破程度の模様、艦橋、装甲の一部に破損が認められます。穿孔がある可能性も考えられるかと」
「よし、各艦に通達。魔石のエネルギー充填を増やし大出力を持って攻撃せよ。今は勝つことを考えろ」
デルムドの言葉通りに各艦が動き始める。
これで一方的に撃ち負ける心配はなくなった。
「後は空だが……」
制空権さえ取れれば爆撃で敵艦へ攻撃できる。
デルムドは戦いの趨勢を案じて信じてもいない神へ祈りを捧げた。
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