第26話 カヌール海海戦 ①
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――聖ゼノ暦4215年8月25日
今まさに神聖ヴァルガリア帝國海軍とランディス合衆国海軍による艦隊決戦が行われようとしていた。
神聖ヴァルガリア帝國は東方艦隊と神聖ガリア艦隊の混合艦隊で、その数は海を埋め尽くさんほどである。
一方のランディス合衆国はファルニア東方艦隊のみでその数も少ない。
神聖ガリア艦隊、戦艦5、空母3、重巡洋艦10、巡洋艦12、駆逐艦20。
東方艦隊、戦艦3、空母3、重巡洋艦6、巡洋艦10、駆逐艦15。
フォルニア東方艦隊戦艦2、空母2、重巡洋艦5、巡洋艦8、駆逐艦10。
勝利は刻の運。
だが、この圧倒的なまでの物量差に神聖ヴァルガリア側は既に勝利を確信していた。
――神聖ガリア艦隊・東方艦隊
既に東方艦隊との合流を果たし、艦隊の再配置は終えた。
統合艦隊でも旗艦となる〈ガリア〉の艦橋では艦隊提督の海軍大将デルムドが不審に思っていた。
「先制攻撃してくると思ったのだがな。ランディスめ、何を考えている?」
「我が国の圧倒的な艦隊に腰を抜かしたのでしょう」
艦長がそう言った途端にレーダー士から報告が入った。
「レーダーに感あり。敵艦隊から多数の物体が接近中。恐らく戦闘機と思われます。その数200」
「200だと? 全力攻撃か……よし、こちらも艦載機を上げろ! 油断などせん。隙を見せずに物量で押し潰すのだ」
すぐにデルムドが命令を下す。
戦力を出し渋って余計な損害を被るよりも、最初から大戦力を当てて一気に壊滅に追い込むつもりだ。
通信士によってその命令は即座に伝達され、統合艦隊からも大量の戦闘機が青天の空へと舞い上がっていく。
その雄姿はとても壮観で、見る者にどれほどの勇気を与えたことだろう。
「我が艦隊も全速力で敵艦隊へ向かえ。射程に入り次第、沈めていくぞ」
このまま進めばすぐにでも接敵するだろう。
それだけ両艦隊は近距離で牽制し合っていたのだ。
魔導砲の充填が開始される魔石のマギロンエネルギーの使用により公海上でも魔導砲が扱えるようになった。流石に、減衰による威力の低下などはあるものの、それでもかなりの高威力を誇る。
やがてカヌール海空域ではガリア最新鋭戦闘機『ガルガンダMKⅢ』がランディス合衆国戦闘機『シアトー655型』と会敵し、有視界戦闘に突入した。
神聖ガリア統合艦隊の空母6隻から吐き出された戦闘機は500機にも及び、天が濃紺の機体の色で染まるほどであった。
デルムトは双眼鏡で眺めつつ、通信士に戦闘機パイロットからの魔導電磁通信を逐次情報として上げるように指示。
早速だが上空には爆発による赤色の華が咲き乱れている。
「間もなく距離40kmです。戦艦の射程に入ります!」
「よし。各戦艦は砲撃用意。釣瓶打ちにして沈めてやれ。全てな」
「我が国を舐めたツケを支払わせてやりましょう」
そして戦艦主砲から魔導砲が次々と発射されていった。
魔石の色と同じそれをした魔導砲が空を飛び一直線にランディス艦隊に迫る。
曲射ができれば飛距離も伸びるのだが、現在の魔導砲は威力を減衰・拡散しながら進んで行く。だが、光線の如き速さで撃ち出されるために着弾自体は速い。
遠くで色とりどりの爆発が起きており、ダメージが入っているように見える。
神聖ヴァルガリア帝國の魔導砲はとにかく派手であった。
「当たっているようだが……戦況が分からな――」
その時、船体が大揺れに揺れる。
何事か?と聞くまでもない。
至近距離に大きな水柱が複数上がっているのだ。
「敵が撃ち返してきたぞ! 撃ち負けるな! 充填を急げ! 巡洋艦クラスは全て前面に押し出して集中砲火を喰らわせろ」
神聖ヴァルガリア帝國では魔導砲ではない砲弾など命中精度が低いと考えられている。
平面である世界で一直線に進む魔導砲。
照準にズレは少ない。
「提督閣下、戦闘機部隊がかなりの乱戦状態になっているようです」
「何ッ!? 500だぞ? しかも最新鋭機だ」
「魔導電磁通信により、敵戦闘機の性能が良いのではと疑問の声が上がっております」
「なんだと?」
―――
その頃、両艦隊の中心空域では大規模な空戦が繰り広げられていた。
最早、空前の規模と言ってもよいだろう。
『敵さんがやってきたぜ! お前ら準備はいいなぁ!!』
部隊長の言葉に勇猛果敢な空の覇者たちから威勢の良い返事が返ってきた。
『よし! 数の上では圧倒的だが万が一がある。油断せずに落とせ!』
12.7mm連射魔導砲が音もなく発射され淡い緑色の砲撃が早速1機を撃墜させる。ますます士気が上がる中、一斉に魔導砲が放たれて空が緑に染まった。
だが――
『敵戦闘機、散開!』
『乱戦に持ち込む気か! お前ら、こちらはほとんどが最新鋭機だ。神聖ガリアの名の下にその力を見せつけろ! 魔導砲の射線にだけ注意して同士討ちなどするなよ!』
『ははッ……何度も訓練してきました。同士討ちなど有り得ませんよ』
そして敵味方が入り乱れて戦う大乱戦が始まった。
ランディスの戦闘機は『シアトー597型』と言われており時速にして600kmと分析されている。ほぼ同等の速力で充填時間も短くなった魔導砲、更に威力も上がっており生半可な防御装甲では防ぎきれない。
対する『シアトー597型』は機関銃の弾数にも限りがあり、撃ち尽くせば撤退するしかないのだ。
部隊長が散開した敵戦闘機の1機に照準を定めると後方を取るべく旋回する。
その速度も、そして上昇速度も全て改良されている。
発射される緑の光線。
敵戦闘機の『シアトー597型』は魔導砲の威力に耐えられない。
この事実に否が応にも士気は上がる
部隊長が放った攻撃により、また1機が空の藻屑と消えた。
『じっくり焦らずに追い詰めるんだ。速度は我が国の戦闘機と同等だ。慢心するな!』
何も問題はない。
部隊長はそう考えていた。
しかし――
戦況は刻々と変化する。
ランディス側が、神聖ヴァルガリア帝國の最新鋭機である『ガルガンダMKⅢ』を撃墜し始めたのだ。
部隊長の周囲では機関銃を浴びて爆散する機体、きりもみ状態に陥って海上に叩きつけられる機体、バラバラに空中分解し爆発を起こす機体など被害数は増える一方であった。
『な、何が起きている……『ガルガンダMKⅢ』が振り切られている? そんな馬鹿な!』
『こいつ、速いぞ! 後ろに付かれた! くそがッ……何がどうな――』
『上から来るぞ! うわぁぁぁぁ!』
『上昇して回避する! 何ッ敵の方が速いぞ!? どうなってるんだ――』
敵が少しずつだが、順応し始めていただけだと部隊長は考えていた。
それがどうだ。
見る限りでは落とされているのは『ガルガンダMKⅢ』の方。
しかも一方的に。
『何が起こっている? 誰か報告せよ!』
部隊長の命令に答える者はいない。
答える余裕がないと言うべきか。
『くそう……せっかく栄えあるガリア航空隊に入れたのに……畜生ぉぉぉ――』
そんな最期の言葉を残して次々とこの世から退場していく仲間たち。
部隊長は僚機を助けるべく動こうとするが、それを阻む者がいた。
中々落ちない戦闘機に2機の敵、戦闘機が張り付いたのだ。
『こちらガリア航空隊! 敵機の性能は想定を遥かに上回っている! 本当に『シアトー597型』なのか!?』
悲鳴にも似た絶叫を上げて報告を上げる。
既に余裕などない。
如何に背後を取られずに相手を落とせるか。
相当な犠牲が出るだろうが、数的には優位な状況。
部隊長はとにかく生き残るために操縦桿を強く握った。
―――
緒戦の空中戦など鎧袖一触で終わるものだと考えていた神聖ヴァルガリア帝國側には動揺が走っていた。
通信士から上がってくる報告は悲報ばかりだ。
「何が起きている。性能が良いと言うのか? 倍以上の数でも苦戦するとはな……」
「もしやランディス側も新戦闘機を実戦配備したのではありませんか?」
「となると情報省は何をしておったのだ……職務怠慢ではないかッ!!」
海軍大将デルムド提督の脳裏に情報省長官であるインフォータルの顔が浮かぶ。
情報戦で負けたら、そのしわ寄せは現場に回ってくるのだ。
その結果、大事な部下たちの命は失われていく。
そうこう考えているデルムドを怒りから解放したのは通信士の痛切なる報告であった。
「重巡洋艦〈ヴァリース〉被弾! ああ! 爆発炎上……轟沈します!」
「巡洋艦〈ヴァルル〉轟沈しました! 重巡洋艦〈ヴァ・ノル〉大破炎上中です!」
ランディス東方艦隊との距離は30kmを切った。
魔導砲の威力を少しでも保ちたい神聖ガリア艦隊、東方艦隊としてはなるべく近くまで接近したい。だが、ランディス側からすれば、それだけ命中率が上がることを意味している。
「戦艦にダメージはあるか?」
「戦艦〈ヴァルス〉に穿孔ありと報告が来ております。轟沈はありません」
それを聞いたデルムドは耳を疑った。
魔力強化装甲とは比べものにならないほどの強度を誇る魔導強化装甲すら抜かれたことを意味するからだ。
内心では動揺しているが、それを外に出すほど愚かではない。
すぐに状況把握に努めるべくレーダー士に尋ねる。
「敵の動きはどうだ?」
「重巡洋と巡洋艦を前面に押し出しているようです。戦艦2隻はその背後5km地点から攻撃してきていると思われます。空母は後方で駆逐艦に護られているようです」
「まずは前面を抜かねば敵、戦艦に魔導砲を与えられんか……」
神聖ヴァルガリア帝國としても曲射可能な魔導砲の開発に取り組んではいる。
まだ現場には情報は降りてきていないが、かなりの段階まで進んでおり、艦船への搭載は間もなく可能になるだろう。
「敵艦隊の被害状況は分かるか?」
「重巡洋艦2、巡洋艦2隻を大破させた模様です」
ランディス合衆国の戦艦、侮りがたし。
後はただただ神聖ガリア艦隊の新鋭戦艦の主砲が、敵戦艦の装甲を抜けるように信じるしかない。
味方の艦隊数はまだまだ多いのだ。
焦ることもなければ、心配するこもはない。
「まだだ……まだ勝負はこれからだ!」
デルムド提督はそう言い放つと奥歯をギリリと噛みしめた。
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