第23話 オボロ、ガラベルム帝國と折衝する
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――ユリウス歴2569年8月20日
外交官であるオボロ・フジワラは、国際会議の開催を通告すべく、南方世界のガラベルム帝國ラスタル植民行政府・異世界担当局に訪れていた。
対ドゥーリ共和国との講和交渉に当たっていたオボロだったが、急遽ガラベルム帝國の交渉役を任されてしまったのだ。
ガラベルム帝國はザルツ沖海戦でユースティアに敗れて以降、一時は軍事行動の一切を停止していたのだが、再び活発に動き始めたのが理由だ。
ユースティアからの停戦通告をのらりくらりと躱しながら、口実を作っては南方世界の国家群に戦争を仕掛けている状況である。
そんなガラベルム帝國の動きを牽制すべく、神聖ヴァルガリア帝國と共同で進めている国際会議開催の通達を行い、かつ周辺国家への侵略を止めるように釘を刺しておこうと言う考えだ。
異世界担当局ではオボロと、南方世界担当外交官ウェッジが話し合いの場を持っていた。
「態々ユースティアからおいでとは、大変だったでしょう。ご苦労なことです」
ウェッジは不遜な態度を隠そうともせずにオボロへ向けて形式的に歓迎の挨拶を行う。そんな対応を受けてオボロは変わってねーなこの国もと思いつつ、笑顔で言い返す。
「いえいえ、このような僻地まで足を運ぶのも仕事の内です。これくらいは何てことはありませんよ」
「それで何の用事なのだろうか。事前の連絡では重大な案件であると聞いているのですが」
ウェッジは周辺国家を見下しているため、本来はもっと傲慢な態度を取っているのだが、相手がユースティアであるために上から態度を改めるように釘を刺されていたのだ。これでも十分に丁寧に対応しているつもりであった。
「本日伺ったのは、貴国の南方世界周辺国家へ対する侵略に警告するためです」
「警告ですか。それはまた物騒なお話ですな」
然も心外だと言う表情を作るウェッジ。
一方のオボロはそのバレバレな態度に思わずニヤけそうになる。
「我が国が貴国に対して侵略を中止するように以前から働きかけてきたのはご存知のはず。これを無視するのは遺憾の念に堪えません」
「そうは言うがな。周辺国家は無意味な争いを続けている。我が国としてはこの事態に大変憂慮しているところでありまして。特に偉大なる皇帝陛下が慈悲をお示しになられた以上、それに応えるのが政府の意向なのですよ」
「貴国が介入することではない。それに無理やり軍事行動で制圧していることは分かっている。貴国の皇帝陛下の意志と言うのなら責任の所在は陛下にあると考えざるを得ないがどうか?」
ウェッジは自分の失言に気が付いた。
皇帝陛下の命で戦争をしていることにされる訳にはいかない。
責任を負わせてはいけないのだ。
「皇帝陛下はただ憂慮されているだけだ。命令を下された訳ではない。政府としてこの混乱する世界に秩序と安寧をもたらすべく動くと言うのが我が国の方針である」
「何でも力づくで解決しようとする態度を我が国としては見過ごすことはできない。既に何か国からも援助要請を受けている。秩序と安寧をもたらしたいと思うのならばまずは話し合いから始めて然るべきだ」
実際に攻め込まれた国々から、ガラベルム帝國を敗北に追い込んだユースティアには多くの陳情が行われている。ユースティア政府としても国交のある国には、帝國は侵攻していないことくらいは分析している。
戦争を仕掛ける訳にもいかないので(大義名分はあるが)国交交渉を急いではいるのだが、帝國の動きが活発化してきたため、今回、オボロに出番が回ってきた訳である。
「話し合いすら通用しない未開な国家が多いのが問題なのだ。そのため軍事行動を取らざるを得ない」
「そのような言い訳など我が国には通用しないと考えて頂きたい。貴国が仕掛ける相手を選んでいることは分かっている。いずれも我が国とは国交のない国ばかりを選んでいることは把握ずみである」
「それこそ言い掛かりであり、遺憾である。そもそも我が国がどのような行動を取ろうが貴国には関係のないことであり、内政干渉に当たる。背景に軍事力をちらつかせて通告してくるなど、それこそ力づくでなくてなんと言うのか」
その物言いにオボロは確信しウェッジを煽る。
彼の言葉はユースティアの軍事力を恐れている証拠だ。
「詭弁だな。軍事力をちらつかせる? 貴国は随分と我が国の力を過大評価しておられるようだ。そもそも貴国は我が国にも問答無用で攻撃を仕掛けてきたことがあったな。そんな貴国の言動を信じられるとでも?」
「あれは残念な行き違いからくる衝突であった。我が国としても残念に思い、講和交渉を打診しているはずだが貴国が応じないのは何故か?」
ウェッジがいけしゃあしゃあと言ってのける。
よくもまぁ平然と嘘を並べ立てられるものである。
「応じない? 貴国が講和をちらつかせてきたのは1度きりだ。その後は曖昧な態度でのらりくらりと誤魔化して時間を稼いでいるのは明白である。我が国は何度も講和再開を打診しているはずだが?」
「何やら誤解しておられるようだ。我が国の交渉の窓口は常に開いている。話し合いを拒む者は我が国にはいない」
「傲慢な国は皆同じことを言う。そう言いながら応じないのだからな。我が国には貴国に報復する準備があるとお伝えしておこう」
オボロの強い言葉にウェッジは思わず内心で舌打ちしていた。
もう少しで本当に口から漏れるところだったので少しばかり焦る。
ユースティアは敵に回すなと強く言われている。
「報復など野蛮な国家のすることだ。我が国としては一貫して話し合いの場を持ちたいと考えている」
どの口がほざくのかとオボロは内心で呆れていた。
流石は脳筋覇権国家。
ブーメランになっていることにすら気付いていないのか、それとも自覚しているが苦し紛れに言っているだけなのか。
「やれやれ。宣戦布告もせずに、火事場泥棒的に突如侵攻してきた貴国がそれを言うとは片腹痛い。だが、そちらが交渉をしたいと言うのなら伝えておくことがある。我が国は中央世界の神聖ヴァルガリア帝國と共に今から8ヵ月後に国際会議を開催する準備を行っている。貴国にもその会議に出席して頂きたい。秩序と安寧をもたらしたいと考える貴国のことだ。必ずや応じて頂けると信じているが、如何か?」
「国際会議だと?」
思わずウェッジが素で答えてしまう。
まさかそんなことを考えているとは露ほども思っていなかったからだ。
覇権主義国家に国際協調と言う言葉はない。
「地が出ていますよ、ウェッジさん。言葉の通り国際会議だ。この世界『ゼノ』は戦乱が絶えない。よって国際秩序を構築しこれを保つ。そうすることで平和な世界を作り上げることが目的だ。どうやら貴国の理念にも合致しているようだし参加して頂けますよね?」
「……8ヵ月後と言うが、暦の上では開催はいつ頃になる予定なのか?」
「聖ゼノ暦4216年5月1日を予定している」
「承知した。我が国に持ち帰って検討させて頂く」
「即答はして頂けないので?」
オボロは分かっていながら問い掛けた。
内心で笑いながら。
「私の一存で決めて良い話ではない! 回答は後日改めてさせて頂く。何処へ連絡すればよろしいか?」
思った通り、ウェッジが苛立っていることにオボロは大いに溜飲を下げる。
見下した態度を取る傲慢な者が、ご自慢の力に屈する様は痛快の一言だ。
「イネアス王国の我が国大使館にご連絡願いたい」
「承知した」
オボロは他国を見下す覇権国家が何をやってくるのか、嫌と言うほど理解している。日本でも、転生後のユースティアでも歴史がそれを教えてくれた。
故に警告する。
このような国を相手にする場合、力を見せつけなければならないと知っているから。
「開催前までは何をやっても良いと捉えられては困る。貴国が軍事行動を起こせば我が国としても座視する訳にはいかないと通告しておく」
「……!!」
「(まぁ俺たちも傲慢にはならないことが肝要だ……同じ土俵に上がるのは愚行。ユースティアはあくまで平和を希求するのみ)」
会談を終えたオボロはそう考えながらラスタル植民行政府・異世界担当局を後にした。
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