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混沌なる異世界(カオス・ワールド)~様々な異世界国家が集まる異世界の坩堝~  作者: 波 七海
第二章 変わる世界編

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第20話 団結のタイカ民主国

いつもお読み頂きありがとうございます。


本日は12時の1回更新です。

 タイカ大帝國が極東の新興転移国家ユースティアに敗北して、その国名をタイカ民主国に変えた。


 皇帝のシンキは譲位までに猶予が与えられたため、国の再建への気力を取り戻していた。宰相のリッカによる説得も功を奏したを言えよう。


 国政の政府首脳陣も一新し再出発を果たすべく動き出したはいいが、課題は山積している。それでもかなりの温情を与えられていることを考えると東方世界を気にする必要がないのは運が良いと言えた。

 そのまま丞相から宰相の任を継続することになったリッカからすれば、相手がユースティアではなく、列強国や覇権主義国家であったならこうは行かなかっただろうと考えている。


「ランディス合衆国の海上艦隊がカヌール海に現れて挑発行動を繰り返しておる。同時に在留民保護のために軍を入れさせろと通告がきた」


「見え見えではないですか。我が国の混乱に付け込んで干渉する。これが列強国でしょう」

「まぁな……我が国もやって来たことだ……」


 会議場が一瞬静寂に包まれる。

 この場にいる全員が心当たりがあり過ぎて、ぐうの音も出ないのだ。


「神聖ヴァルガリア帝國からは合力の用意があると外交ルートで話がきております」

「それはそうだろうな。あそことしてもランディス合衆国がオースティン大陸に進出するなど到底許すことなどできまいよ」


「早急な海上艦隊の創設と魔導艦隊の再建が急務ですぞ! 上陸さえさせなければ負けることはありますまい!」


 新設された軍務大臣リュウユが外圧からの脅威をいの1番に主張する。

 彼の立場で言えばそうだろうが、そもそも海軍を一から創設するとなると莫大な投資が必要となるし、同時に壊滅した魔導艦隊までも再建するとなると不可能に近い。

 いや不可能と言い切れるレベルだろう。

 そのことを理解している内務大臣テイクはすぐに反論する。


「言いたいことは理解できますが、現状、抱えている問題は外圧だけではないだろう。まずは内政に注力し内憂を無くすべきかと」


「となるとランディス合衆国海軍には神聖ヴァルガリアの海軍で牽制してもらうしかないでしょうな」


「その間に地方の軍閥の動きを止める。もしくは滅ぼすべきです」


 リュウユも自分で言っておきながらも国内状況を十分に理解しているので食い下がるような真似はしなかった。


「そうしたいのも山々なのですが陸上戦力は竜騎兵5万ほど……これを各地に分散させるとなると正直無理筋でしょう」


 そもそも現時点で地方軍閥が挙兵していてもおかしない状況なのだ。

 彼らはただ圧倒的敗北を喫した中央政府を見て、ユースティアの動向を窺っているだけであった。もしも肩入れされたら二の舞になりかねないからだ。


「私はユースティアに頼るべきだと考えている。普通ならクレア半島で戦力の大半が壊滅した時点で、我が国に軍を派遣して領土を切り取ろうと考えるはず。しかし彼の国はそうしなかった。賠償も土地ではなく具体的には資源で代替化としたのは領土的な野心がないのだと思われる。混乱することが確実な我が国の領土を切り取って余計な火種を抱え込みたくなかったのだろう。後は、広大なタイカ領を他国からの緩衝地帯にしようと考えているのだ」


「し、しかしそれでは介入してくれないのでは!?」

「いや私は領土的野心がないだけで、我が国が混乱する事態は歓迎していないと考える」


 確信を持って断言するリッカ。

 それにすぐさま賛同を意を示す者がいた。

 外務大臣のショーエンだ。


「私も賛成でございます。ユースティアは神聖ヴァルガリア帝國と共に世界各国に使者を送っております。理由はゼノにおける国際機関を創設し国際法なるものを定め世界平和を実現するため……崇高な理念だと思われませぬか? 我が省も現在話し合いに向けて準備に追われている状況です。皆様方も聞き及んでおられるはず」


「確かにわしもそれを聞いた時は馬鹿げたことをと思ったものだが……国家は領土を巡って相争うものだとしか考えていなかったからな。世界平和を目指すと本気で調整していると知った時は驚いた……」


「その通りだ。その試みが上手くいくかどうかは分からぬ。だがどのような結果になろうとも我が国にとって時間稼ぎになり得ると言うことだ」


 リッカはユースティアの先進的な考え方に畏怖を抱いていたが、それはそれ、これはこれで、あくまでも国益を追求する覚悟があった。

 ここで今まで黙っていたシンキ皇帝が発言する。

 その姿は炎龍を撃ち落とされた直後のものとは一線を画していた。

 彼も覚悟を持って成長したと言うことだ。

 惜しむらくは譲位までの期限が5年しかないと言うこと。


「朕もそのような考えを持ったことなどなかった。これまで我が国こそが世界の中心と教えられてきたのだからな。まだまだそう思いたい部分もある。しかし彼奴きゃつらは何処か価値観そのものが違う。これまで滅ぼしてきたどの国家とも列強国ともだ。必ずやこの世界で台頭してくるのは間違いないと思うておる。リッカやショーエンの言う通り、ユースティアの言動に注視し見習うことも考えねばなるまい」


 威厳に満ちたその言葉に一同が恐縮し頭を下げる。

 皆が皇帝の変わり様に驚きながら。


「皇帝陛下の仰る通りでございます。通商交渉は大詰めを迎えており、何とか技術供与なども引き出せるように一層励みましょうぞ!」


「現在、ユースティアから来た通告に対処致しましょう。化外の地にちょっかいを出している軍閥を討伐致します。ユースティアにも協力を打診してみます」


「うむ。元朝貢国などに対しては融和政策を取り、まずは敵を作らない道を探すのだ。国内を纏めることを優先せよ!」


 会議場にシンキ皇帝の大音声が響き渡った。




 ―――




「我が国はタイカ民主国として生まれ変わった。貴殿らにも新たな国家の一員として協力を要請する」


 帝都ホークキンの北東部に勢力を広げ影響力を持っている軍閥のトップのエン総統に外務大臣のショーエンが直接、直談判していた。

 通常の外交なら、まずは外交官による協議が行われて様々な根回しの後に直接交渉が行われるのだが、民主制になったばかりの彼らにはまだ荷が重い。

 ユースティアに次世代の国家エリートを留学させた上に、現在のショーエンたち首脳もそうすべきだとの意見が上がったのだが、未だ古い思考に囚われている軍閥の者にその考えは通じない。

 故に昔ながらの交渉をするしかない状況だ。

 強気に出ねば付け込まれるだけ。


「もちろん聞き及んでおる。我が国もとんだ戦争をしたものだ。前代未聞の大敗北だったと言うではないか」


「恥ずかしながらその通りだ。しかしこれから世界は動く。この国はその潮流に乗り遅れる訳にはいかないのだ」


「世界が動くだと……? 私を舐めんことだ。既に様々な情報は掴んでおる。強い国が栄え、弱い国は滅びる。これが世界の摂理なのは変わらぬよ。現に周辺国家は盛んに動き出してろう。北方世界ではランディス合衆国が、中央世界ではスタン帝國が動き出し我が国へ攻め込まんとしている。流石に神聖ヴァルガリア帝國は他列強の好き放題にはさせぬよう動くだろうが、自らの血を流してまで我が国を護ろうとするかな? 国内を見ても同じことだろう。各地で民衆が蜂起する兆候が見られるし地方軍閥も動き出している」


「他国もまだ理解しておらぬのだ。世界が変わると言うことをな。我が国を破ったユースティアにはそれだけの力があると我々は考えている。政府はこれから内政に注力することが決まった。民あっての国だと言うことだ」


「ユースティアとか言う国が強いのは確かだろう。だが1国で何ができる? 既に世界各国は覇権を得ようと動き出している。高々東方世界の島国がどうにかできるとは思えぬな。それに内政だと? 現状を理解しておらぬのは中央政府ではないのか? まずは武力だろう。武力がなくては攻めることも護ることもできんのだ!!」


「ユースティアは1国ではないし、我が国も1国ではない。世界統合へ向けた動きが世界各国へ波及しておるぞ! 世界の秩序を破る国が現れれば、世界がその国を裁くだろう」


 ショーエン外務大臣とエン総統の激論が続く。

 中央政府としては武力を喪失している今、なるべくなら交渉で事態の解決を図りたいと考えている。最悪、ユースティアに借りを作ることにはなるが、力を借りる必要性も検討していた。


「世界に秩序をもたらすのも武力による序列だ。私に権力を移譲せよ。立ちどころに国内の反勢力を討ち果たして見せようぞ!!」


 エン総統としては、夷を以て夷を制す腹積もりがあった。ランディス合衆国と神聖ヴァルガリア帝國、更にはユースティアをぶつけ合い自らの損耗をさけて乗り切る。


 ユースティアはタイカ民主国に対して影響力を持ちたいと考えているはずなので、いくらか領土を租借してやれば言うことを聞くだろうと算段をつけていた。


 今回の争いは時間が掛かるだろうと予想しており、その間に魔導艦隊と竜騎兵部隊を立て直すのだ。この考えこそが未だ華夷秩序に縛られていると言っても良い。


「中央政府は交渉の窓口を常に開いている。貴殿の考えは分かったつもりだ。最早、帝政などではやってはいけぬのだよ。そのことに気付いて頂けることを期待する。我々はまずは交渉と言う手段を取るつもりだ」


 何を言っているのか?

 まずは交渉?

 武力がないから交渉しかできぬのではないか?

 それに交渉するにも武力を背景にして行うのが一番効率的だろう。

 エン総統の考えはこんなところだ。


 ショーエン外務大臣が退席した後、残されたエン総統は好機とばかりに不敵な笑みで顔を歪ませた。


「ふんッ……理解しておらぬのはどっちかすら分からんようだな。一気に中央政府を滅ぼして実権を握ってしまうか……」

ありがとうございました。

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明日も12時の1回更新です。

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エン総統の慌てふためきボロボロにされる未来が見えるっ見えるゾ
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