第14話 戦乱のアトランティス帝國
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アトランティス帝國に統一の動きが見られ始めた。
大陸中央部を抑えていたノルナーガ侯爵が大きな動きを見せたのだ。
南部との緩衝地帯となっていたムーリ子爵を大量の人工魔導オートマトン、アンドロイドの派遣によって滅ぼした。
戦力は圧倒的なまでの開きがあり、僅か1週間で戦闘は終結したと言う。
勢いに乗ったノルナーガ侯爵軍はそのまま南部へと攻め込んだ。
最初に標的となったのはオードモル公爵家であった。
陸上戦力としてまずはオートマトンとアンドロイドを投入し、その前線を削る。
生命を持たないオートマトンの特攻はまさに死兵であり、人間主体のオードモル公爵軍では為す術もなかった。
仕上げはアンドロイドとサイボーグ化された老練な強兵が務める。
アンドロイドはナノマシンとの融合により生きる凶器と化して敵兵に襲い掛かり、サイボーグ兵は手から魔導砲を放ったり魔導障壁を張って攻撃を防いだりと、まさに無双の活躍を見せた。
一方のオードモル公爵軍も輸入した魔導銃を組織的に使って対抗したが、どれだけダメージを与えてもコアを破壊しない限り動き続けるオートマトンの攻勢に耐え切れず潰走した。
敗退に敗退を重ねた公爵軍は離散し各個撃破されることとなる。
ゲリラ戦を行おうとしても、その生体反応を感知され1人残らずいぶり出されて殺されてしまう。無抵抗の領民たちもその攻撃に巻き込まれ多くの人間が大地にその屍を晒した。
城に立て籠もったオードモル公爵は流石に堅牢な城を落とすには日数が掛かると読み、今まで対立していたリュージ伯爵家とイマヅ伯爵家に恥を忍んで援軍を依頼。城内から魔導砲を放って攻撃したが、それを上回る威力を持つ大出力の魔導砲により城は無惨にも破壊されることとなる。
ノルナーガ侯爵は最早、帝國内部で争っている暇などないと言う強い信念から、終始、力攻めを敢行し、あっさりと城は破壊された。
オードモル公爵は魔導砲の嵐を浴びて戦死。
城内に殺到したオートマトンによって残敵は掃討され、生き残った者はいなかったと言う。
―――
援軍が到着するのを待たずに領地は完全に制圧されることとなってしまい、大軍を持って進軍していたイマヅ伯爵の判断に迷いが生じる。
戦うべきか、降伏すべきか。
伯爵軍にもオートマトンは存在するが、単純な命令しか受け付けない状態であり、アンドロイドも人工生命を持ち正確な判断力を持つとは言えノルナーガ侯爵家のものと比較すると殺傷能力が違い過ぎた。
唯一対抗できそうなのはサイボーグ技術だけで、完全装着型のそれは周囲と同期して戦うこともでき、攻撃力、防御力共に高性能を誇っていた。
ネックなのはやはり積んでいる魔導砲の威力である。
「あのオードモル公爵家があっさりと滅んだ。これについてどう考える?」
「あそこは技術は完全に輸入に頼っていた。所謂、他国の劣化版を使っていた訳だ。正直言って負けるのは当然と言えましょう」
「だが、我らは南部を統一するどころか、その公爵家すら滅ぼすことができなかったのだ」
「それは三国が睨みあっていたからでは? リュージ伯爵軍と共闘すれば流石のノルナーガも簡単には勝てぬでしょう」
「某は抵抗は無駄だと思っておる。斥候機の情報によれば、オートマトンの数は膨大でしかもコアを完全に破壊せぬ限り動き続ける。あっと言う間に呑みこまれてしまうぞ! それにアンドロイドにはナノマシンが使われていると言うではないか……それが形を変えて攻撃してくるのだ。勝てぬわ」
イマズ家当主であるヨシス自身も勝てないと考えている。
それにアトランティス大陸全土の制覇が急務であることも理解していた。
「しかし現状で降伏しても認められないのではありませぬか? ノルナーガ侯爵は苛烈な御仁と聞きますが……」
「そうじゃ! 敵わぬとしても一撃加えてからの方が良い! 無条件降伏でもしようものなら一族郎党滅ぼされかねん」
反重力物質を使った魔導艦の開発さえ成功していれば多少は勝算もあったかも知れないが、とうとう戦いには間に合わなかった。
ノルナーガ侯爵も同様に開発しているとの情報を得ているので、もしかすると既に開発が完了している可能性すらある。
そこへ伝令が走って近づいてきた。
斥候機が戻ってきたようだ。
「申し上げます。ノルナーガ侯爵軍は兵を3方面に分けた様子です。アトランティス大陸中央部の西に現れたクルセフク王国、リュージ伯爵領、そして我がイマヅ領にございます!」
「我が領に向かってくる兵力は?」
「およそ10万ほどかと」
兵力が分散した今なら局地戦で勝利できるかも知れない。
そんな淡い希望が胸に宿る。
一撃打撃を与えて好条件で降ると言うものだ。
「よし。我が領に向かってくる敵軍を撃破する。その上で講和だ」
正確には講和と言う名の降伏である。
しかしイマヅ家としての誇りもあるのだ。
「進軍を開始せよ! 我がサイボーグ兵団の力を見せつけてやれッ!」
ヨシス・イマヅの大音声が響き渡った。
―――
一方のリュージ伯爵領にノルナーガ侯爵軍が殺到していた。
要所を抑えようと動いたリュージ伯爵軍であったが、精兵のサイボーグ部隊に先取され、あべこべに攻勢を受けて大損害を被っていた。
「ええい! サイボーグなど何するものぞッ! 前面に魔導砲部隊を押し出せ! オードモルの雑魚共とはモノが違うと言うことを教えてやれッ!!」
前線で淡い緑色の光が煌めき空を染める。
イマヅ伯爵家の魔導障壁を抜けなかったのにノルナーガ侯爵軍のそれを抜けると考えていること自体間違っているのだが、本人は気付いていない。
案の定、前線に出た魔導砲部隊は瞬く間にサイボーグ部隊によって壊滅。
そこへ後詰でオートマトンが投入され何とか踏みとどまっていた者も潰走した。
死の暴風が吹き荒れる。
そこには慈悲も憐憫も――何の感情も存在しない。
ただ殺戮のみがあった。
「クソッ……退け! 退けぇ!!」
リュージ伯爵家当主のカノブは何とか生き残るべく撤退を開始するが時既に遅し。圧倒的な物量の前に押し潰され、何の感情もない死兵と化したオートマトンによって討ち取られることとなった。
そしてオードモル領と同様に領民諸共、大虐殺が始まる。
―――
クルセフク王国では比較的、善戦していたと言っても良いだろう。
王国陸軍は自動小銃と戦車で対抗し、その大口径砲を生かしてオートマトンを撃破していった。自動小銃の威力も魔導砲より高かったため一斉掃射で多くのオートマトンのコアを破壊した。
しかしここでも問題になるのは圧倒的な物量作戦である。
戦列の組まず、密集隊形も取らないオートマトンを各個撃破していくには数が多過ぎたし、分散して当たるにもノルナーガ侯爵軍にダメージを与えることができない。
ただ、航空支援のお陰で蹂躙される前に無差別爆撃を行い、その多くを焼き払うことに成功する。
クルセフク王国が爆撃機を出してきたことにノルナーガ侯爵軍はすぐさま反応し、前線にサイボーグ部隊を投入。
空に向けての魔導砲射撃によって、王国空軍は多数の損害を出すこととなった。
しかも王国が転移した先がアトランティス大陸の中西部だったため、他国との交流もうまくいっておらず武器弾薬、資源の枯渇が深刻な状況に追い込まれる。
補給がなくては軍は戦えない。
転移してからしぶとく戦い続けてきた王国であったが、継戦能力を喪失してしまえば勝つどころか生き残ることすら厳しい状況である。
約5か月近い抵抗の末、クルセフク王国はノルナーガ侯爵軍に無条件降伏した。
幸いだったのは爆撃により最前線にいたオートマトンの多くが行動不能に追い込まれていたことだろう。一応は人間であるサイボーグ部隊の到着により降伏が認められ、全軍武装解除によって終戦となった。
―――
これでアトランティス帝國の実質的支配者はノルナーガ侯爵となり大陸に残る抵抗勢力は北部群雄、南部のイマヅ伯爵、そして更に南にあるリューク国、イワン国、アミマ国のみとなる。
ノルナーガ侯爵は帝都クリティアスにて皇帝ポセイドン47世から帝國の統治者として認可され国権を任されることとなった。
更に陞爵し、公爵の地位についたノルナーガは目をつけていたクルセフク王国の科学技術を吸収し増々戦力を増強させていくこととなる。
戦乱の時代が終わる刻は近い。
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