第12話 ユ・ガリア親善交流 ②
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空回ったヨシカワはさて置き、旅館に到着した一行は自然あふれる庭園を見て回ったり、お土産コーナーで様々な特産品を見たり、ゲームコーナーで盛り上がったりしていた。
割と楽しんでいるのはどう言う訳だろうか。
新鮮な魚介類をふんだんに使った料理には驚かされっぱなしだ。
まさか魚を生で食べるなど……。
抵抗感を示した者がほとんどであったが好奇心の塊である魔導技術部長のライネルは美味しそうに食べていた。それを見た面々も各々食べ始めたが、そこまで悪い反応ではなかった。
ユースティア側としては随分思い切った物を出してしまったことが政府上層部にバレて接待役が詰められたのは秘密である。異世界国家の接待なのに尖り過ぎだ。
「ふむう……この宿泊施設は中々癒されるものだな」
「そうですね。何処か洗練された美を感じますし味気のないホテルとは全然違いますよ」
「館内も空調が効いてるし接客も丁寧だ。温泉も心地良かったな」
「誠意があり話の通じる相手だと感じましたが、皆さんはどうでしょう?」
接客業であることと国家間の接待であることを加味してもユースティア人の人となりを理解し始めた面々。
そして繁栄する都市を見ただけで国力の高さが嫌でも伝わってきた。
「民間の施設やインフラを見ただけでもユースティアの国力は十分分かりましたよ。技術もそれに伴って発展しているのは間違いないでしょうね」
ライネルはその観察眼で既にユースティアが帝國を上回る国家だと認識していたが、この場にいる情報管理部長のハウエルと海軍次官のターリンに配慮して何も言わない。もちろん上から釘を刺された上、国力を見せつけられた外務次官のガルレアは残る2人を暴走させてはならないと意気込んだ。
「ハウエル部長とターリン次官もあまり仏頂面しないでくださいね? まだこれから首都に行って政府関係者と交流するんですから」
「んなこたぁ分かってる」
「流石に他国でやらかすような真似はしないぞ」
ガルレアはその態度が問題なんだよと溜め息をつきながら今後の心配を始めるのであった。
―――
2日目はマグナム列車で一気に首都マグナへ向かう。
時速にして550km出ると聞いた一行の顔色が変わったのは言うまでもないだろう。
何せ帝國の現行戦闘機と同等の速度を誇るのだ。
何かの間違いだと思いたくもなる。
全てのものが真新しく見え、斬新で伝統さえも感じる。
歴史自体は帝國も4000年近き長さを持っているのだが、種族がハイエルフなだけにどうにも時間を悠久のものとして捕らえがちであった。
時間は貴重で掛けがえのないものだと考えるのは人間と言う種族であるが故か。
一行はクォーカだけが地方の大都市だと考えていたが、かなりの規模の地方としなど腐るほど存在すること知って驚愕する。何度驚いても足りないくらいである。
そしてたどり着いた首都マグナティア。
圧倒された。
ただただ圧倒された。
クォーカとは比べものにならないほどの超大都市。
神聖ヴァルガリア帝國の帝都ガリアですらこの光景には霞むだろう。
親善使節団のメンバーは皆、同じ思いを抱き、戦慄を覚えた。
「まさかこれほどとは……」
「ここまでの都市を築き上げたと言うのか……? ユースティアは魔法文明なのではなかったのか?」
帝國至上主義の2人はともかくとしてガルレアすらも困惑を隠せずにいた。
同じ魔法文明なのに何故これほどまでに差があるのか。
茫然自失の面々を余所にライネルは達観したかのように言い放った。
それはまさに正鵠を得ていた。
「やだなぁ……これはもう魔法の力だけで為し得る所業じゃないですよ。恐らくですが……魔導と科学が共に発達した超文明なんじゃないかと。私はそう思っています」
そしてそれは確信に変わる。
首都マグナティア付近にあるエクス陸防基地、ヴァン空防基地、ヨコタ海防基地の視察である。
ユースティア政府は世界の調停者たる中央世界の超大国、神聖ヴァルガリア帝國の面子を立てるべきだと言う主張と力を示して侮らせないことを優先するべきだとする主張に分かれていた。
答えの出ない議論が散々続いて終わる気配がない中、間を取って力は見せるが限定的なものとし帝國の顔も立てると言う方針に決まる。しかし、その限定的な戦力ですら帝國からすれば異常に映ったのであった。
エクス陸防基地では――
「何だ? あれは何なのだ?」
「戦車と言うんですね……我々に同じものを造れと言われてもできませんよ?」
「走る砲撃車か……陸戦の優位性が高まるな」
ヴァン空防基地では――
「は、速い……速過ぎる……」
「一体どれだけの速度がでるのですか? えええええ!? マッハ2.5? 最新のテスト機はマッハ3超え? ははは……音速を軽く超えるのかぁ」
「これはどんな原理で飛んでいるのかね? 科学技術? 魔導では到達できない領域だと……?」
ヨコタ海防基地では――
「海上艦か……砲が少ないな。あれで大丈夫なのかね? 現代戦はこれが最適解なのか……うーむ」
「空母もあるのだな。海上はあまり格差はないか……?」
「撃ち負けませんか? あ、そうなんですか。戦い方が違うと」
その後、宿泊したホテルの1室では――
「しかし凄かったな。正直、あれほどまでとは思わなかった」
ハウエルは驚き、素直にユースティアの技術の高さを認めるようになっていた。
最早、侮ることはないだろう。
「陸戦では負けますね。あの戦車の大きさであの大出力のエンジンを積もうと思ったら動きませんよ」
「40トンくらいらしいですが我が国の機関では動かせないのですか?」
「ええ、あの重量を動かすだけの大出力を持つ機関を造る技術はありません。古代兵器が発見されるのを期待するしかないですね」
ユースティアと陸続きでなくて良かったとライネルは思った。
ただただその幸運を喜び、敵対は絶対に避けるべきだと理解した。
「では戦うとなれば海戦になろう。海が絶対防衛線。海上戦力を強化せねばなるまい」
ターリンは海軍所属なので危機感が強いようだ。
上陸させたら蹂躙されるとなれば、海上で艦隊決戦に持ち込むしかない。
「別に敵対する訳ではないんですから……」
「味方になるとしても仮想敵として想定しておくのは当然のことだ」
彼の強い感情を敏感に感じ取ったガルレアは宥めるように言い含めたが、その考えは変わらない。
そこが政府関係者とは言え軍事に疎い者と軍人との明確な差であろう。
「でも魔法文明なのに魔導艦は見せてもらえませんでした……残念です」
「タイカを破った際には大いに活躍したと言うからな。炎龍を落としたのも魔導艦なのだろう?」
「情報省ではそう分析している。今のところ対抗するとしたら古代兵器『キリル・エア』を使用するしかないかも知れないな」
「もう魔法文明とか科学文明とか、そのような区別は無駄なのかも知れませんね。ましてや中央世界から遠いから舐めてかかるなどもっての外でしょう。私はラングラル外務大臣から直接、ユースティアが決して侮れない相手だと聞かされました。上層部はその考えで一致しているようなので大丈夫だとは思いますが……実際に見てみないことにはなんとも。私は恐らくまだこの国を舐めている方がいると考えています。とにかく真摯に正確に情報を共有してもらえるように努力しましょう!」
ガルレアの言葉は全員の心に届いたようで、皆それに同意の姿勢を見せた。
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