第43話 激震 ②
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(๑•̀ㅂ•́)و✧
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――北方世界・ランディス合衆国・首都テリオン
「タイカ大帝國が敗れたか。どこの国だか知らんが大金星だな」
ランディス合衆国の大統領トーマス・バッハが豪快に笑いながら言った。
笑顔の中にはまるで子供のような無邪気さが垣間見える。
怖い笑顔だと国務長官のドリス・オードルは率直に思う。
「タイカ大帝國は多数の魔導艦と竜騎兵、虎の子の炎龍を失ったようです」
「所詮は張り子の虎だったようだな」
これまでは南西の獅子州連合にばかり目をやっていたが良い機会が到来したのだ。
東方世界が大混乱に陥るのは目に見えている。
切り崩し工作を行っているものの結束が固い獅子州に手を出すよりも美味しそうな得物が飛び出してきたのだ。
それを見逃すと言う選択肢などない。
「タイカ大帝國の混乱、見過ごす訳にはいかんな」
「はい。彼の国は国交のある大事な国です」
「我が国の国民を救いださねばなるまいよ」
「仰る通りですな」
バッハ大統領がオードル国務長官と笑い合う。
執務室には和やかな空気が漂っていた。
「トライデンはどうなっている?」
「我が国の州の1つになるのも時間の問題かと」
国家情報長官のセシリー・ホーランドは表情1つ変えず平然と答える。
トライデンは最近、転移して来たばかりの国家でジーランディア大陸と陸続きになってしまった不幸な国だ。
既に合衆国陸軍が侵攻しており首都陥落は目前――まさに風前の灯である。
「獅子州は動きませんかね?」
「国家情報局としては動かないと断言する。あそこは我が国だけでなくアトランティス帝國からも圧力を受けている。動きたくても動けまい」
「まぁ圧力をかけても神聖ヴァルガリア帝國が介入してくるのは確実でしょう。下手に刺激する必要もないと思われますが?」
「その通りだ。何よりせっかく目の前に美味そうな肉が置いてあるのだ。実に魅力的だよ」
バッハ大統領は既にやる気満々であるし周囲の首脳陣も当然それに気付いている。副大統領もそれに乗り強硬論を唱えて賛同した。
「何より未知数だった生物兵器の炎龍が消えた訳ですからな。今叩かずしていつ叩くのだと言わざるを得ませんな」
そもそもランディス合衆国としてはタイカ大帝國など列強国だと考えていなかった。炎龍などと言う訳の分からない生物兵器がいなければさっさと開戦に踏み切っていただろう。所詮はオースティン大陸で周辺の小国相手に威張り散らしていただけの存在だと認識していたのだ。
「しかしどうする? 恐らく軍事介入しようとすれば神聖ヴァルガリア帝國が牽制してくると思うがな」
「あの国は世界の調停者を気取っていますからね。とんだ出しゃばりですから当然のようにカヌール海に艦隊を派遣してくるでしょうね」
中央世界の中央大陸、北方世界のジーランディア大陸、東方世界オースティン大陸の間にはカヌール海が存在し各世界を隔てている。
タイカ大帝國は海軍を所有していなかったため海上艦隊同士の戦いは起こらなかったが、神聖ヴァルガリア帝國とは何度か衝突していた。
「勘違いしているのさ。いつかはその思いあがりを正してやるべきなんだが、それは今じゃあない」
気に入らない相手ではあるものの、ある程度の実力は認めている。
「タイカ大帝國は決して一枚岩ではありませんし、今回の結果に地方自治政府は我慢ならんでしょう。ただでさえ今まで力で抑え込まれてきたんですから」
「中央政府の龍王の血筋を絶えさせる良い機会でもあります。皇帝に連なる者は粛清ですな」
脅威になりそうなのは皇帝が使役すると言う龍だけなのでその血脈を消すのは必須事項である。合衆国内には龍に連なる血を利用すべきと言う意見もあるのだが、現政権は粛清派が多数を占めていた。
「龍王とは大層な名前だな。笑いが止まらんわ」
バッハ大統領はHAHAHAと高笑いを1つ。
それに釣られるように周囲は大爆笑に包まれた。
「国家戦略室としての意見ですが、まず中央政府と地方自治政府に離間工作を仕掛けます。あの国は軍閥が多く地方の野心が非常に強いので中央政府が倒れれば一気に戦国時代に逆戻りです。後は国民を煽動して蜂起させれば自ずと崩れるでしょう。そこに国民保護の名目で介入すれば良い。楽な話です」
「神聖ヴァルガリア帝國も同様に介入してくるでしょうが我が国と戦う理由がありませんからな。首都のホークキンに近いのはこちらですし、さっさと首都と主要都市を抑えてしまえばよろしいでしょう」
その言葉に執務室にいた皆が頷く。
他に意見はないようだ。
「まぁそんなところだろうな。いくら不安定化しているからと言って態々正面からぶつかる必要はない。その方向で進めてくれ」
バッハ大統領も国家戦略室の方針に異論はないようだ。
すぐに詳細な作戦立案の指示を出した。
「我が国はいずれ2つの大陸を支配することになるだろう。歴史に名を残すことができそうで私は嬉しいよ」
大統領はそう言うと再び肩を大きく揺らして愉快そうに笑った。
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