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第33話 ユースティア・タイカ大帝國戦争 ②

いつもお読み頂きありがとうございます。

感想を頂いたり、評価やブクマ、リアクションも増えてきたりしているので非常に感謝しております。

これからもよろしくお願い致します!

(๑•̀ㅂ•́)و✧


本日は11時、17時の2回更新です。

 ――バーグ王国・王都ハン・バーグ


 信じられない。

 未だ信じられない。

 ムノウはもう何度目になるのかも分からない顔面蒼白と緊張性の体調不良に陥っていた。


「タイカ大帝國が負けた……まさかまさかまさか」


 このままではまた王城にユースティア軍が乗り込んでくるかも知れない。

 兵士はいるがあの精鋭を誇るはずの竜騎兵のように空から一方的に攻撃されては手も足もでずに敗れてしまう城下に無差別攻撃でもされればバーグ王国は最早再建不可能な事態に追い込まれるだろう。


「誰か! 誰かおらぬのかッ!」


 苛立ちと焦りの交じった声色で叫ぶムノウにすぐさま側近が駆け付ける。


「はッ!」


「ユースティアは強過ぎる。あのタイカ大帝國が手も足も出ずに敗れたのだ。すぐに浮き船に魔力通信で降伏すると伝えろ!」

「しかし魔力出力数が分かりません。連絡のつけようがないかと……」

「どうにかせい! 空が駄目なら海上の船に使者でも遅れッ!」


 無理難題でも応えなければ何をされるか分からない。

 側近は理不尽さを感じながらも行動を開始した。


 そこに焦った様子の急使が取り乱しながら駆け込んできた。

 個室兼寝室に来る辺り余程の重大事であろうと考えたムノウはまたかと頭を抱える。


「大変にございます! ソジークに監禁していたフェーンたちが一斉に蜂起し正統政府の樹立を宣言しました! 国王には王子が就任しバーグⅢ世を名乗ったそうです!」

「げぇっ!?」


 もうこれ以上驚くことはないだろうと思っていたところにこれである。

 今日も1つ新たなムノウの百面相が追加された。




 ――タイカ大帝國・帝都ホークキン


 タイカ大帝國でも衝撃が帝城内に大きな波紋となって広がっていた。


「何ッ!? 朕が送った魔導巡洋艦が落とされたと!?」

「は……それだけではございませぬ。竜騎兵10万が敵の攻撃を受けて壊滅したとのこと」

「それは何か? 敵軍は10万をも超える陸軍を送り込んできたと言うことか?」

「竜騎兵部隊からの最後の通信では空から攻撃を受けていると報告があったそうでございます」


 それを聞いてシンキ皇帝は敵魔導艦による艦砲射撃を受けたものだと判断した。

 空爆などと言う発想がない故に認識できないのだ。

 この時点で丞相のリッカは嫌な予感に襲われていた。


「朕を愚弄したユースティアを許すことなどできぬ……直ちに大艦隊を組織して出撃させろ! 代償は高く付くと蛮族共に教えてやれ!」


 まだ19歳の若き皇帝は敗北を知らない。

 だからこれが局地戦での高々1敗であると誤認する。

 一方のリッカの判断は異なる。

 投入した魔導巡洋艦も決して旧式のものではなく一方的に負けたと言う事実は信じられないがあの通信を最後に連絡はない。


 最悪の想定がリッカの脳裏をよぎる。


「(ユースティアは恐らく数か月前に転移して来た国家……そして今回は蛮国ではない?)」


 返事をしないリッカを不審に思ったのかシンキが握り拳を玉座に叩きつけながら再び怒りに満ちた言葉を口にする。並び傍に控える武官、文官たちもリッカの様子とシンキの激怒に一様に不安げな表情を見せていた。


「リョウカク将軍よ! 貴様を蛮地懲罰将軍に任命する! 直ちに艦隊と竜騎兵を送りユースティアを半島から叩き出せ!」

「御意にございます」


「へ、陛下! お待ち下され! 敵は強国の可能性がございまする。まずはよく情報を収取してからでも遅くはありますまい」


 リッカはシンキをこれ以上刺激しないように言葉を慎重に選びながら続ける。


「局地戦とは言え我が軍と優勢に戦ったのです。ここは蛮地の王として認めてやるのも――」

「生ぬるい! 朕にこの屈辱を甘んじて受けよと申すか! 絶対に許すことはできぬ。必ず滅ぼしてくれん」

「しかし――」

「くどい! しかしリッカ。貴様の心配も分からんでもない。魔導艦が2隻落とされ竜騎兵も壊滅したのだからな。だから()()を使う」


 リッカの言は悉く遮られるがシンキは少しだけ譲歩して見せた。

 ()()を出すなら負けはないか……とリッカは説得を諦める。

 直情径行のシンキにこれ以上言っても無駄なことくらい理解している。


「御意にございます……(何も起こらなければよいが……)」


 すぐに皇帝、丞相、軍師、将軍、武官を交えた会議が行われ、出撃する艦隊の編成が行われた。


 派遣するのは魔導戦艦〈テイエン〉、〈チンエン〉を筆頭に魔導巡洋艦10、魔導装甲巡洋艦15、魔導駆逐艦20、その他魔導補給艦など。

 陸軍戦力は竜騎兵15万。


 蛮地懲罰将軍リョウカクは竜騎兵を率いて、天空将軍カーンは旗艦である魔導戦艦〈テイエン〉の艦隊司令として出撃した。

 その壮観な光景を目の当たりにして武官・文官のみならず、民衆もタイカ大帝國の勝利を確信する中、丞相のリッカだけは1人嫌な予感に苛まれていた。




 ――ユースティア・首都マグナティア


 タイカ大帝國がバーグ王国に向けて送った魔力通信を傍受したとの報告はすぐに本国へと伝えられた。クレア半島に前回を上回る規模の大艦隊と竜騎兵を送りユースティア軍を叩き出すと言ったらしい。


「マズいな……敵は大艦隊だ。魔導戦艦2隻で対応できるとは思えない……」

「ですが報告によれば魔導船でも装甲は薄いようだとの分析結果も上がって来ています。最新鋭の魔導艦の主砲なら落とせるのでは?」

「王都の海上に護衛艦2隻がいるのだろう? 艦対空ミサイルで片が付くんじゃないのか?」

「それがですね……敵魔導艦から小型の飛空艇らしき機体が発艦したとのことでいちいちミサイルを使っていられないんですよ。本命の魔導艦に使用したいんです」

「なら小型艇は護衛艦の20mm機関砲か127mm速射砲で対応するしかないですね」


 タイカ大帝國が運用していた小型飛空艇は速度が通常の魔導艦と変わらないが戦闘機との性能差があり過ぎる。


 技術格差が圧倒的過ぎても困るということだ。


「防御面はどうですか?」

「こちらには一発も命中弾がありませんでした。つまり読めません」

「強化魔導シールドを展開すればまず問題ないでしょう」

「しかし護衛艦にはまだシールドは搭載されていないのでは?」

「やはり先手必勝でY-15による対空ミサイルの飽和攻撃で小型飛空艇が出てくる前にケリを付けるしかないでしょう」


 分かっていることは魔導炉機関の出力が弱いのか、敵艦の速度が遅いことだ。

 これに関しては小型飛空艇の方が速い。


「陸上戦力にはどうしますか?」

「魔導戦艦の側面砲による艦砲射撃でいいと思いますが」

「爆撃機が落とされる訳にもいかないですからね」

「ですが今回の戦いで兵を一カ所にまとめることの愚を悟ったと思うのですが、敵は分散してくるのではないでしょうか?」


 竜騎兵なる陸上戦力が生き残ってしまえば半島で泥沼にはまる可能性が高まる。

 現在の陸防隊戦力で半島全土を占領することは難しい。


 結局、決まったのは以下の通りである。

・戦闘機Y-15による対空ミサイルの飽和攻撃によって敵艦隊を全て撃沈する。

・小型飛空艇が出撃して来た場合は護衛艦の主砲または魔導戦艦の副砲で撃墜する。

・陸上戦力を魔導戦艦の側面砲による艦砲射撃で撃滅する。

・戦艦級護衛艦1隻と魔導戦艦、巡洋艦級護衛艦2隻と魔導巡洋艦2隻を曳航して投入する。


 戦力の逐次投入になってしまったのは反省すべき点であるが、転移後2か月あまりで敵性国家の戦力など全く判明していない状況なのでやむを得なかった部分もある。

 今後の戦闘には最初から戦力を全力投入する必要があるだろう。

 周辺国家のみならず、列強国含め他国の戦力分析を急がねばならない。


 まずはタイカ大帝國に勝ってバーグ王国の自主独立を帝國に承認させ、必要によっては国防隊基地をクレア半島に造らねばならないだろう。


 作戦はすぐに決行に移される。

ありがとうございました!

また読みにいらしてください!

面白い。興味があると思われた方は是非、評価★★★★★、リアクション、ブックマークなどをして頂ければと思います。

感想頂けた時はすごく嬉しくなっちゃいました!

モチベーションのアップにも繋がりますのでよろしくお願い致します。


明日も11時、17時の2回更新です。

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