第32話 ユースティア・タイカ大帝國戦争 ①
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(๑•̀ㅂ•́)و✧
本日は11時、17時の2回更新です。
――バーグ王国王都上空
『おいおい。敵さん何か発進してるぜ?』
「レーダーに感あり。敵魔導船から小型飛空艇が発艦した模様。数50」
Y-15を駆るパイロットと王都の海上封鎖と制空支援を行う予定の護衛艦が同時に気付いた。後方30kmの空中で浮遊待機している魔導戦艦2隻の魔導電波レーダーにも機影は映っている。
発艦してきたのは人が搭乗した3m程度の小型飛空艇で4つの上向きのプロペラがついたドローンのような形状をしている。空気口からマギロンを吸収しそれを揚力・推進力に変換して空を飛んでおり武装は前方のみの15mm小型魔導砲だけである。
情報は直ちに全艦および戦闘機に伝達され飛龍以外の航空戦力の存在を初めて認識させられることとなった。
既に味方爆撃機が近くまで接近している。
敵小型飛空艇の魔導砲がどれだけの威力を持っているか不明なのは懸念点であった。
『小さいな。脆そうだぜ。誘導弾ではもったいなくないか?』
『25mmで有視界戦闘でもするのか? あんな低速機じゃ危ない気がするが』
『それを言ったら飛龍相手にもオーバーキルだろ』
ユースティアの魔導戦艦2隻が動き始めた。
旧世界でも魔導空母に艦載機を乗せて運用する思想があったので前大戦時に経験済みではあった。
魔導戦艦の側面に取り付けられた魔導砲6門と艦橋の主砲3門、副砲4門の内、長距離砲である主砲と側面砲が魔導砲による攻撃を開始した。
今回派遣した艦は科学技術を取り入れた最新鋭ではないので魔導誘導弾や誘導弾は使用できず、また敵味方の識別装置、追尾、未来位置修正、魔導砲の軸線設定なども不可能だ。
目標の捜索・探知と目標の捕捉程度ならできる。
つまり索敵範囲にいる航空戦力を捕捉するが自動射撃は行えず射撃のみ手動で行わねばならない。とは言え低速機相手なら命中精度は高い。
戦闘機が一時離脱する中、戦闘域へと向かう魔導戦艦から放たれた魔導砲が小型飛空艇へ降り注ぐ。Y-15と空中戦でもやる気だったのか整然とした編隊飛行は行っておらず、その動きはバラバラだ。
固まっているなら一気に誘爆を誘えたかも知れない。
しかし初撃で敵13機が爆発四散する。
魔導戦艦からの砲撃は止まない。
タイカ大帝國の魔導レーダーは感知範囲が狭いのか、ようやく魔導戦艦の接近に気付いたらしく小型飛空艇が一斉にそちらへと向きを変えた。しかし小型飛空艇の攻撃範囲など高が知れているし、魔導炉でも搭載していない限り出力のほどはお察しである。
双方の速度は時速300kmを超えているため、大した時間もかからずユースティアの魔導戦艦に接敵した敵飛空艇が一斉に魔導砲を放ってきた。しかし火力が圧倒的に不足しておりユースティア側の魔導戦艦の防御を抜くことは敵わず次々に撃墜されていく。
「装甲を強化する必要もないようだな」
その様子を艦橋で見た艦長は手応えのなさに胸を撫で下ろしていた。
それに新たに設置された科学技術による超望遠監視モニターには敵魔導艦の様子が映し出されている。
「爆撃機はいないのだな。見た感じ旧式か?」
まるで蠅を叩き落とすかのように群がる小型飛空艇を落しながらも主砲を敵艦へと向ける。戦闘機も敵艦へ対空誘導弾を放ちすぐさま旋回して一撃離脱する。
「弱いな……すぐに爆撃機が到着する。それまでに敵魔導艦を落とすぞ」
魔導戦艦艦長の命令が乗組員たちに伝えられた。
2隻は連携して敵飛空艇を撃墜していき、さしたる抵抗を受けることなく50機は全滅した。
――タイカ大帝國
「敵機、ち、超音速で接近!!」
通信官から悲鳴のような報告が上がった。
魔導レーダーによる探知ではなく目視でたまたま目撃したのだ。
「何ッ!?」
その後、すぐに蒼い炎を吐きだす敵の飛空艇が轟音と共に現れたかと思うとあっと言う間に視界から消える。
「速過ぎる! 飛空艇にあの速度は出せんぞ!」
「しかし攻撃力が分かりませぬ。ここは我が方も魔導飛空艇〈カホク〉を出すべきです」
狼狽える魔導巡洋艦〈チョウユウ〉の艦長カシンに副長が冷静な声で進言した。
初めは取り乱した彼も流石の歴戦の猛者だけあってすぐに冷静さを取り戻す。
「よし〈カホク〉を全機投入せよ。〈ケイエン〉にも魔導通信を入れろ!」
すぐに通信官から伝えられ魔導装甲巡洋艦〈ケイエン〉からも魔導飛空艇が吐き出される。総数50機が無事に発艦して行った。
「敵の飛空艇を叩き落としてやれ!」
一斉に敵飛空艇が逃げた方向へと追いかける魔導飛空艇〈カホク〉。
見事な編隊飛行を行っていた彼らの部隊が乱れる。
「何だ? 攻撃か? 何も――」
「何もいないぞ」と言い掛けた口が開きっぱなしになる。
またもや超音速で轟音を発しながら突入してきた敵機を見てそれが原因だと理解したのだ。
「魔導飛空艇〈カホク〉、げ、撃墜されています!」
「相手は敵機か?」
「不明です……あッ……レーダーに感あり! 敵魔導艦2接近! ち、超巨大戦艦と思われます!」
「超巨大戦艦だとぉぉぉ!?」
蛮族と思っていた敵が魔導戦艦など持っているはずがないとカシンは馬鹿な考えを必死に否定しようとするが無慈悲な通信士からの報告がそれを遮った。
「敵戦艦、250m以上はあります。かなりの巨大艦です!」
更に追い打ちをかけたのが目の前で起こる<カホク>の撃沈だ。
空中で次々と爆発が起こっているのがここからでも見える。
もちろん敵戦艦もだ。
その大きさと魔導砲の正確な射撃に目の前が真っ暗になるカシン。
そしていきなり起こったのは激烈なまでの爆音。
魔導巡洋艦〈チョウユウ〉が大きく揺れて傾き始める。
「な、何が起きたぁぁぁ!?」
「左舷と右舷に被弾した模様! 爆発が止まりません!」
戦闘機Y-15からの空対空誘導弾による至近距離からの攻撃なのだが短距離しか感知できない上、魔力を持たないものを感知できない魔導レーダーしかもたない〈チョウユウ〉にそれが分かる者はいない。ただ耳をつんざく程の轟音だけは聞こえるため敵機からの攻撃だと言うことだけは理解できる。
「魔導炉機関低下! このままでは高度を保てません!」
爆発炎上しながら艦体を傾けてゆっくりと落下し始める<チョウユウ>
まさに悪夢の光景であった。
「まさか我が大帝國の魔導船が落ちると言うのかッ!?」
想定したこともない経験に対抗策が浮かばない。
その瞬間にも次々に報告が入る。
「魔導飛空艇〈カホク〉、全機撃沈された模様!」
「魔導装甲巡洋艦〈ケイエン〉から入電! 我、多数の攻撃を受けこれ以上の航行は不能!」
「本艦、機関更に低下! 推力足りません! 落ちます!」
また爆発が起きたようでドーンと言う音と共に更に傾きが大きくなる。
最早立っているのは不可能なレベルだ。
そしてカシンは初めてその目に何かを捉える。
「不可視の矢? 魔導砲ではない?」
更なる爆音。
カシンの体が投げ出され傾斜に沿って滑り落ちていく。
そんな中でも律儀にも任務をこなす通信官が再び悲鳴に近い声で報告を上げた。
「ケ、〈ケイエン〉……轟沈……! 敵魔導砲が多数着弾した模様……!」
顔面蒼白になり言葉も出せないカシンの代わりに、艦長席に何とか掴まっていた副長が指示を出す。
「総員退艦せよ! 大地に叩きつけられるぞ!」
そんなことを言われてもまともに立って走ることもできない中どうしろとと全員が思ったに違いない。
『総員直ちに退艦せよ! 脱出艇で退艦せよ!』
カシンは最早これまでと覚悟を決め、せめて本国に情報を伝えようと考えた。
「魔導通信の出力を最大にしろ! 本国に報告! 敵は巨大魔導戦艦を保有! その他、超音速超えの魔導飛空艇を持つ可能性あり!」
通信官は言われた通りに目撃した内容、起こった内容をありのままに報告した。
カシンの胸に虚無が到来し目をゆっくりと閉じる。
まさかこのような蛮地で戦死するとは夢にも思わなかった。
この恨みは本国から来るであろう艦隊が晴らしてくれるであろう。
魔導巡洋艦〈チョウユウ〉は戦闘機Y-15からの対空攻撃と魔導戦艦の魔導砲による波状攻撃を受けて轟沈。
地面に叩きつけられて、地上にいた竜騎兵部隊を巻き込んで爆発炎上した。
悲劇は続く。
王城の城壁外に駐屯していた竜騎兵部隊は後続の爆撃機50機による猛烈な精密爆撃を受けて消滅。
タイカ大帝國は未だかつてない大敗北を味わうこととなった。
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