第29話 激動の東方世界
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(๑•̀ㅂ•́)و✧
本日は13時、21時の2回更新です。
――南方世界・ガラベルム帝國
ラスタル植民行政府・異世界担当局
外務省の異世界担当局に一報が舞い込んできた。
「おい。確か北西にあるイネアス王国には降伏勧告したんだったよな?」
「あー? 今のところ周辺国家のイネアス王国とオスロー国、それとムー連邦にはしたな。それがどうしたんだ?」
「何かユースティアって国の大使がイネアス王国を通して書簡を送ってきたぞ」
「ユースティア? ああ……確か北の方にそんな国があるらしいな」
ラスタル王国を徹底的に破壊したことで、今のところ元ラスタル領内は静かなもので組織だった反抗は全く見られない。
圧倒的な恐怖と絶望が撒き散らされたのだからしょうがないと言える。
現在、旧王都に植民行政府の建物を建てて復興が開始されたところであり、将来的には大規模なプランテーション化がなされ徹底的な愚民化政策が行われることだろう。なのでここにいる外交官たちは、はっきり言って暇だった。
お喋りに花が咲く中、ウェッジがあくびを噛み殺しながら部屋に入ってきた。
「お前ら、外まで聞こえてきたぞ。ちょっとは遠慮して話せよ」
少し呆れた声でそう言ったものの、同僚の気持ちも分からんでもない。
なのでウェッジも話に加わることにした。
コーヒーを入れて自分の席に着くと背もたれに大きく寄しかかる。
「で? 何かあったのか?」
「あ、ああ……ユースティアって国から書簡が来たって話だよ」
「どんな内容だ?」
「驚くような内容だぜ? なんてったってウチらが周辺国家へ突きつけた降伏勧告に対して意見してきたんだからな」
「もったいぶるなよ……」
「聞いて驚け……何と! 『我が国は今回のラスタル王国侵略とイネアス王国及びオスロー国に対する一方的な降伏勧告に対して遺憾の意を表明する』だとさ」
ウェッジは思わず飲んでいたコーヒーを吹き出した。
むせてしまい何度も咳き込む破目になってしまった。
「ハハハハハ……だよな?」
「ブホッゴホッ……ちょっとは心配しろよ……ってか何だよ遺憾の意ってぇのは」
「俺が知るかよ! まぁ生ぬるいこと言ってんなぁとは思ったがな」
こうしてユースティアが出した『遺憾の意』は帝國外務省、そして帝國首脳へと伝えられていったのであった。
中央政庁の大会議室では帝國の首脳陣たちによる会議が行われていた。
もちろんユースティアが出した遺憾の意についてである。
「また奇妙な国が出てきましたな」
「異世界担当局にイネアス王国駐在大使を呼び出したところ、書簡と同じ内容を我が国に要求してきたようだ」
「わざわざ出向いて来るなんて変なところで律儀な国ですな……」
外務省からの報告を共有して首脳陣が思ったことは1つであった。
「「「「「何言ってんだ、そいつ」」」」」
海軍大臣のソラテナルが腕組みをしたまま発言する。
彼は大艦巨砲主義者で非常に好戦的、そして異世界に転移したことに大喜びをしている者の内の1人であった。
「そのユースティアとやらの情報はあるのかね?」
「我が国の北およそ5000kmにある島国です。どんな戦力を保持しているかは不明ですが、オースティン大陸のクレア半島と北方に軍を展開しているようです」
「少なくとも他国に派兵できるだけの国力は持っている訳か……」
「となると降伏勧告の件で武力介入してこないのはどうしてなのか? 周辺国家で手一杯と言うことか?」
陸軍大臣のサナトスは難しそうな顔をしながら唸り、ソラテナルは疑問を口にする。全戦力を持って当たれば余力があるのだが、実際は平和憲法で自分自身を縛っているのと反戦団体の存在のため動くに動けないのだが。そんなお国事情など帝國が知る由もない。
「となると今が最高のタイミングなのではないですか……」
「なるほど。漁夫の利か」
「大規模艦隊を送り込みましょう。もし強国なら二正面で戦っている今が叩く好機と言えます」
どうせ周辺国は全て植民地化するのが国家方針なので首脳陣のほとんどは主戦派であったし、それは皇帝の意志でもある。ガラベルム帝國は旧世界を制覇する目前であり、その実力は異世界でも抜きんでていると考えていたし何より超大国であると言う自負を強く持っている。
「魔法文明なのかね?」
「恐らくその可能性が高いかと思われます。クレア半島で空飛ぶ船を見たとの報告が入っておりますので」
「戦艦が空を飛ぶのか? 速度はどれ位出るのか知りたいところだな」
「我が国の制空型戦闘機64式ガルマキラや61式ガルベース爆撃機よりは低速のようです」
「そうか。航空機で叩き落とせそうだな……ラスタル王国のように飛龍とやらが出てきはしまいな」
「いずれ魔法大国が出てきてもおかしくはないだろう。ラスタル王国は鎧袖一触だったがユースティアは良い試金石になれば良いが」
この会議で帝國はユースティアへの侵攻を皇帝ガルムⅦ世へ上奏することが決定した。
海軍本部では皇帝の許可を受けてユースティアへ艦隊を派遣することになり、その準備が開始されることとなった。
「君にユースティア侵攻軍を率いてもらうぞ。」
海軍大臣のソラテナルが海軍のそうそうたる顔触れを前にグレイモス海軍大将にそう告げた。彼は心に沸き上がる衝動を抑えきれず、体を震わせながら敬礼した。
「はッ! 謹んで拝命致します!」
「戦艦〈ガルバスター〉を旗艦に戦艦3、重巡洋艦10、駆逐艦25、空母5、補給艦10を派遣することが決定した。敵艦隊を撃滅後、海上封鎖を行い上陸が可能なようなら揚陸艦を派遣して制圧する」
「相手は魔法文明の可能性が高いらしい。船が空を飛ぶようだから航空戦が主になるやも知れんが頼んだぞ」
「〈ガルバスター〉の主砲で落として見せますよ」
戦艦は海軍の象徴である。
グレイモスは不敵な笑みを浮かべ、必ずや皇帝陛下に勝利を!と意気込むのであった。
帝政であり皇帝が絶対なる権限を持つガラベルム帝國では上意下達がかなり迅速に行われる故、このような突如決定された作戦にも対応可能なのである。また本国に多くの艦船と戦闘機を持ち大戦力を抱えているからこその編成の速さでもあった。
こうして北伐艦隊と称する大艦隊がユースティアに向けて北上を開始した。
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