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3.ヒロインと零雨の王太子②

 翌日、王立学園での授業初日。

 クリアはレイニーの真後ろの席にいた。


 王立学園のクラス分けは成績順だ。また、教室での座席も成績順になっている。


 レイニーの入試順位はアニメ通り学年三位だった。

 一位はネフライト王国現摂政の男孫、フォッグ・ハーパーだ。黒髪に金色の瞳をしており一番前の席、レイニーの前の前に座っている。レイニーに劣らず綺麗な容姿をしている。


 フォッグ・ハーパーの後ろには、学年二位のラネージュ・ムウ。彼女は大国の王女でネフライト王国に留学中だ。紅茶色の赤髪・紫目のラネージュもグラマラスなスタイルのとんでもない美女である。


 さて、前世の知識からクリアは知っていることがある。


 レイニーはこの入試で学年一位になれる点数を取っていた。レイニーは王家の権力を使い「逆不正」をしてまで、学年三位に順位を落としたのである。


(理由は二つあるわ。フォッグ・ハーパーは摂政の孫。「摂政」とは国王の代理……国王が幼かったり、あるいは病気などで仕事が出来ない場合、つなぎとして置かれる役職よ。前ネフライト国王陛下(レイニーの父親)が若くしてご逝去されて、レイニーが国王に即位するまでの期間を任されたのが、フォッグ・ハーパーの祖父。ハーパー公爵家には大きな権力があり、今謀反なんかされたら困る。レイニーは機嫌を損ねたくなかったから、フォッグに花を持たせたのよ)


 クリアはそっとレイニーの後ろ姿を見つめる。銀髪に光が反射して今日もキラキラしい。


(ラネージュ王女は大国の王女だけどめかけの娘。自国での立場は決して強くないわ。のちに属国にすることを狙い、小国のネフライト王国王室に嫁ぎたいという計算がある。レイニーはそれをわかっていて、彼女より成績を落とした。ラネージュはプライドが屋根より高く、いくら下心があっても自分より劣った男性にアプローチしないという性格を見越してね)


 一方で、王太子として自国民からの信頼や尊敬も必要なため、学年三位に落ち着いたというわけである。レイニーは涼しい顔をしながら、その実かなりの策士だ。


(正直、いくら美少女だろうとも、ありのままのクリア(わたし)がレイニーに恋される気がしない)


 しかし、「ヒロイン」クリア・サンブリングさえ完全再現出来れば、必ずレイニーはクリアを好きになる。


「ーー君は」

「! あっ、先日はお恥ずかしいところをお見せして、大変失礼しました!」


 レイニーは配布されたプリントを回そうとしてクリアと目が合う。クリアは大袈裟なまでに頭を下げて、何度も確認してきたセリフを言った。


 手汗をかいて、プリントが僅かにしなる。


 ここから、ヒーローとヒロインの「親密度アップエピソード①(クリア命名)」が始まる。


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