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偽物なりの!     作者: 白瀬なとり
1/1

そっくりな女に勇者殺しを押し付けられたんけど、なんか勇者が2人いる。

初めまして、白瀬なとりと申します。

こちらの物語はすでに書き上げているので、修正を加えつつ完結まで投稿していきます。

口の減らない主人公、誰かのために一生懸命になれる人、何かを守り通す人。

初めて書き上げた物語なので、好きなものをたくさん詰め込みました。

初めての投稿でドキドキしておりますが、少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです。

目覚めてまず目に入ったのが自分の顔だったら、誰だって驚くと思う。

一瞬のうちに鏡やら幽体離脱にまで思考は及ぶ。一部の特殊な店じゃあるまいし、天井に鏡を付ける趣味はない。幽体離脱に関しては、浮いているのはどっちかというとあちらさんだ。

「……こんにちは。どちら様?」口の渇きもなく滑らかに出る声。寝ていたとしても長い時間ではなかったのだろう。いつ寝たのかも思い出せないが、思考は極めてクリアだ。

「うむ、そなたは、あまり頭の回転が良くなさそうじゃの」自分そっくりな顔から突然言われる悪口に、頬がヒクつくのを感じる。前言撤回、私はこんな憎たらしい顏はしない。

「まあ、あなたが誰だっていいわ。」出会い頭に結構なことを言われているが、如何せん聞かねばならぬことがある。「ここはどこ? 私、こんな所に来た覚えがないんだけど」

「ここがどこか、など取るに足らない事じゃ。わらわが何者か、の方がそなたには大事なこと。」なんとか絞り出した問いをあっさりと退け、話を戻す女。「そなた、わらわの姿を見ても不思議に思わなんだか?」

「そりゃあ、似ているなーとは思ったけど」じーっと目の前の女を上から下まで眺めて述べる。

歳のころは10代の後半頃だろうか。長い髪、少しだけつり上がった目。身長などは大人に近いが、つんと上向く唇や細い身体が、どこか成熟を遠ざけている。

そしてそれは、毎日鏡から見返してくる姿にどうしようもなく似ていた。似ているというか、若干の色素の違いを除けば瓜二つだ。

「まあ、わらわはそなたほど間抜けな表情はせぬがの」じっと見入っていると、鼻で笑いながら胸を逸らしてみせる女。飄々と自画自賛を挟む女に、思わず頬が引きつるのを感じる。

何このドッペルゲンガー、すごい腹立つ。ぶぶ漬けでも振舞ってさっさとお帰り願いたかったが、如何せん状況が何も分からない。

「それで、似ているから何だってのよ」渋々と尋ねれば、途端に満足げな表情。待っていましたと言わんばかりの様子は癪に障るが、話が進まないので沈黙を守る。すると、女はこの世の真理を語るように、神妙な表情で口を開いた。

「わらわは、この世界のそなた。わらわとそなたは、同一の存在なのじゃ」ででん、とばかりに言い切った女。大真面目に言っているらしい女に、努めて優しい笑みを浮かべる。

「看護士さんはどこ?自分の病棟に帰ってしっかり治療を受けた方がいいわ」

「誰が脱走患者じゃ。わらわのどこに治療の必要性があると?」

盛大に気分を害したという表情になる女。憮然とした顔を含め、女の姿を改めて眺める。

「……全部?」

「よし、わらわ手ずから火炙りにしてくれよう」

「あーもうっ、そういう発言でしょうが!」伸びてきた女の手を叩き落とし、投げやりに叫ぶ。「何が同一の存在よ、顔が似ているだけで全然違うじゃない!」

「うむ、確かに、わらわの素晴らしさを前に、そなた自身と重ねることが出来ぬのは分かる」もっともだ、と途端に納得を示した女に、頬が限界まで引きつる。共感を寄せられてこんなに腹が立ったのは初めだ。だが、そんなこちらを気にするつもりもないのか、話を続ける女。

「じゃが、わらわはわらわの世界のそなた。そなたは、そなたの世界のわらわなのじゃ。多少の差異は、世界や育った環境によるものじゃろう」

一卵双生児が離れて暮らした途端に個性が際立つみたいなものじゃの、とご丁寧に解説を加える女を横目に、室内を見回す。病室でもおかしくない真っ白な部屋だが、私が寝ているベッドの他には何もない。精神病棟にしても、窓もドアもないのはどういうことだろう。

「ねえ」少しばかり冷えた背筋を誤魔化すため、腕をさすりながら尋ねる。「……私たちってどうやってこの部屋に入ったの?」

「そんなことはどうでもいいのじゃが」

「ちっとも良くないわよっ! どうやって外に出るの、よ……」そのあんまりな返事に、勢いよく振り返る。と、その先に見えたのは、鈍い銀色。真っ直ぐな、冷たい光を放つ刃先。

女によって鞘から抜き放たれた、一本の剣。

「ご、ごめん、言い過ぎたわ。頭アレな人とかババ臭い喋り方とか厨ニ病とか、いくらなんでも傷つくわよね。とにかく、落ち着いて、暴力は良くないわ」

後ずさりながら必死に宥めようと両手を突き出せば、女の表情が微妙なものとなる。

「ババ臭いとか、まだわらわは言われてなかった気がするのじゃが……何を勘違いしているのかは知らぬが、これはそなたへの贈り物じゃ」

「へ?」釈然としない表情で剣を翻してみせる女に、ついポカンと間抜け面を晒す。呆然としたまま女が差し出す剣を反射的に受け取ってしまい、慌てて首を振った。

「あ、ありがとう? でも、私の国には銃刀法があるから、こんな長剣は貰えな――」

「それで、ある男を殺してほしい」私の言葉を遮り、静かに口を開く女。真っすぐにこちらを射抜く紫の瞳。淡々と述べられたその言葉に絶句する。

「人殺せって、はいそうですかってなる訳ないでしょ! 普通に殺人で捕まるわ!」

「それについては心配ない」焦るこちらをよそに、自信たっぷりな笑みを浮かべる女。「そなたが殺す男はわらわの世界の者。わらわの世界は、そなたの国ほど法整備は進んでおらぬからの」

「いや、捕まらなきゃ良いって訳じゃないから!」見当違いなフォローをする女に、腹の底から溜息を吐く。「どこの世界だろうと誰だろうと人殺しなんてまっぴら御免よ」

話が通じている気がしない。寄っていた眉間の皺を伸ばしながら剣に視線を遣る。と、その時、ふとこの状況に既視感を覚えた。「違う世界で、ある男を殺す、ねえ……」

改めて、手渡された長剣を観察する。不要と思えるほどの装飾が施された洋剣。繊細な金細工に嵌め込まれた紫の石は、紫水晶自体が光を放っているようでさえある。かといって飾り剣のようではなく、刀身は鍛え抜かれ刃先は鋭い。そう、例えるなら『勇者の剣』みたいな……

「え、何? もしかして私、導かれし勇者な感じ?」

「そなた、自分がそんな大層なモノだとでも思っていたのかえ?」

「……言ってみただけじゃない」心底呆れたという視線を向けてくる女に、自分だって相当アレなこと言っているくせに、と内心で毒づく。

「とにかく、そなたにはその男と赤の広場という場所を目指し、そこで彼を殺して欲しいのじゃ。」顔を顰めていた私を気に留めることもなく、次々と要件を述べていく女。こちらが口を挟む間もなく話を進め、何やら小さめの短冊のような紙とペンを押し付けてくる。「わらわは行けぬが、もし分からぬことがあれば、これに書けば良い。一日一回、一行だけわらわに言葉を送り、わらわもそなたに返すことが出来る」

「交換日記か」謎の使命感に駆られつい突っ込んだが、そんな場合じゃなかったと頭を振る。

「私、行くなんて言ってないわ。人殺しになんてなりたくないし、私の生活だってあるの。あなたの世界の人なら、あなたがどうにかすれば良い話じゃない」

「そう、わらわが出来れば良かったのじゃがの」ふと、寂しげな笑みを浮かべる女。その自嘲を含んだ表情に虚を突かれ、思わず抗議の言葉を飲み込む。先ほど出会ってからずっと尊大で自信過剰だった女が、酷く傷ついて見えた。

「あの……」

「そんな訳で頼むぞえ」一瞬で真顔にも戻った女が、念を押すように肩を掴む。「ちなみに正々堂々、真正面からいくのじゃぞ? 違反すると、アレじゃ、なんか大変なことが起きるからの」

「超曖昧、超怪しい! ってか私やるなんて一言も言ってないでしょ!」

一瞬でも、何か事情が、と考えた私が馬鹿だった。シレッとしている胡散臭い女をジト目で見て、断固拒否だ、と自分に言い聞かせる。このままでは、なし崩しに流されかねない。

「赤の広場で勇者と対峙するまでは、この剣は決して抜いてはならぬからの」

何食わぬ顔の女が剣を鞘に戻すと、嵌め込まれた紫の水晶が色を失い透明になる。それに目を見開きながらも、危険な方向に進行している気がする現状を打破しようと思考を巡らす。

先程の女の様子も、私を説得する一環なのだろう。抗議しようとも聞く耳ももたないこの女を説得するには、こちらも搦め手でいくしかない。宥めるような笑みを浮かべ、口を開く。

「ねえ、誰を殺させるつもりか知らないけど、私じゃ勝ち目ないんじゃない? 何の訓練も受けたことのないズブの素人よ?」

「まあ確かに、とても戦えそうにない貧弱な体じゃの」ふむ、と頷きながら、一々しなくて良い肯定をする女。イラッとするのを堪えて、猫なで声を出す。

「ね? だから私にやらせようとするのは諦めて……」

「ま、頑張るのじゃ。人間やろうと思えばできる」

「無責任!」

あっさりと投げ出された話題に、私の作戦も挫かれる。ガックリと項垂れる私を意にも介さず、女はおもむろにその華奢な手を掲げた。

「さあ、旅立ちの時じゃ。今から件の男の所へそなたを送る、頼んだぞ。」

「ちょっと、待って!」何故か光りだした女の手に目を見開きながら、慌てて叫ぶ。「殺して欲しい男って誰なのよ? 親の仇? 悪代官? いや、やる訳じゃないんだけどね!?」

「勇者じゃ」

「ああ、勇者さんね。っていや、それ殺しちゃマズいんじゃ……」

言いかけた所で、意識は途絶えた。

   *一*

「……ぃ、ぉーい、おい、生きているか?」

間近で聞こえる声に意識が引っ張られる。目を開こうとしたが、眩しさに顔を手で覆った。

「あの厨ニ病女……」

「は?」上から降ってくる、当惑したような声。風が木々を揺らす音や、落ち葉が踏まれる音も聞こえる。どうやら一瞬前まで女と居た白い部屋ではなく、どこか屋外にいるらしい。

殺して欲しい男の所へ送る、とあの女は言っていた。ならば、この声は……

少し和らいだ眩しさに、顔を覆っていた手を外していく。途端降りかかる強い光に目を細めながら、私を見下ろしてくる声の主を見上げた。

これが勇者――

「……どっちが?」

「なんだ、死んでなかったのか」

「やあ、大丈夫かい?」

左に、日常ではちょっとお目に掛かれない生成りのゆったりとした出で立ちの、柄の悪い男。右には、日常でお目に掛かりたくはない略式の甲冑に身を包んだ、爽やかな笑みを浮かべる男。

いずれにしろ、コスプレ会場でもなければ進んで関わりたくはない類の人間達だ。嫌だ、当たり前のように腰に剣を下げている人達なんて。どっか行ってくれないかな、と視線をそっと逸らす。が、その先に、自分が抱え込んだままの女の剣を見て項垂れた。これでは他人様のことをとやかく言えたものじゃない。職質されたら逃げよう。それと、問題はもう一つ。

手を差し伸べてくる無駄に爽やかな男と、どうでもよさそうに腰を下ろした悪人面の男を、改めて交互に見る。そのまま、手にしたままだったペンのキャップをきゅぽん、と外した。

「おい、なに目を逸らした上に無視してやがるんだよ」

「まあまあ、きっと頭を打ってボケちゃったんだよ。ほら、ドン臭そうな顔じゃないか」

何気に喧嘩売っているのかと思うような失礼な男も、明らかに喧嘩を売ってガンつけてくる男も無視して、むくりと起き上がる。握り締めていたにも拘らず皺一つない紙を太腿に押し付け、万年筆のような独特のペン先で書き殴った。

『二人いるんだけど』’

書いた先から薄れていくインク。そのまま消える文字を、感嘆とともに見守る。本当に、ただの紙ではなかったらしい。やがて、今度は滲み出るようにして文字が浮かび上がってきた。

『勇者っぽい方じゃ』

「って、適当すぎるでしょ!」

「おい、今度は独り言を言い始めたぞ、こいつ」

「うーん、医者のとこまで連れてった方が良いかなあ?」

何やらヒソヒソと話している二人組を無視したまま、女からの返事の余白に再び書き込む。

『頼むから帰して』急いで書き込んでじっと見守るが、優美な女の文字も私の走り書きも一向にインクが薄まる気配はない。本当に一日一回だけらしい。

唯一の頼みの綱を明日まで使えなくなったことに気が付き、激しい後悔に襲われて項垂れた。貴重な連絡手段を、何故こんなことに使ってしまったのだろう。つい気になって聞いてしまったが、実際問題どっちが勇者だってどうでも良い。現状は拉致されて異国に放り出されたようなものなのだ。女が言うには異国どころか異世界らしいが。いや、本当にどうしろと?

若干の動揺の中でしばらく考え込んでから、ガバリと振り返る。その勢いに、少し離れてこちらを窺っていたらしい二人組の肩が少し跳ねた。

「……こんにちは?」

「う、うん、こんにちは」「今更だよな」

ごちゃごちゃと突っ込んでくる悪人面の男は放っておいて、とりあえず挨拶を返してくれた男の方に向き直る。頭を疑われそうで聞きたくないが止むを得ない。情報は必要だ。

「あの、つかぬ事を伺いますが……」

「なんだい?」

「勇者とか知りません?」

自分で聞きながら顔から火が出そうだ。だが尋ねられた男は、ああ、と自信に満ちた笑みを浮かべて胸を張った。

「僕が勇者だよ」

「……」

まさかの即答。嫌だ、恥ずかしげもなく勇者を名乗れる人間に救われる世界なんて。

「あー、信じてないね、その薄い反応」不満げに頬を膨らませた少年が、首を傾げてみせる。「大体、僕を勇者だと認めたからこそ依頼してきたんじゃないのかい?」

「依頼?」

「ほら、これ君だろ?」

そう言って差し出された紙には、見慣れぬ単位がついた数字と、文字の羅列。その中に聞き覚えのある場所を見つけて、突っ返そうとしていた手を止めた。

「赤の広場って……」

「そこに連れてくって依頼だったろ? 森の奥からスタートじゃなくても、とは思うけど」

 不思議そうに肩を竦めてみせる少年を前に、女との会話を思い出そうと記憶を辿る。赤の広場、確か、あの厨二病女が勇者を殺せと指定していた場所だ。ならば、そこまで一緒に行き、この少年を殺せ、ということだろうか?

一緒に依頼書を覗き込んでいた自称勇者の顔を、じーっと見る。確かに、胡散臭いほど無駄に爽やかな表情はイラッとするが、誰かの恨みを買って殺害を企てられるような人間には見えない。

「……ねえ、この依頼書を渡したのって、私だった?」

「変な質問の仕方だね、自分の行動も覚えていないのかい?」訝しそうに片眉を上げながら、依頼書を鞄に戻す少年。「君の使いだって女の子が、報酬と一緒に置いていったよ。君の人相書きも見せてもらったから、倒れている君を見てすぐに分かったし。マゼラって君だろ?」

「え、ええ」覗き込んでくる少年に、曖昧に頷く。あの女の事だろうから、私と言えなくもない。帰る手掛かりに繋がりそうな糸を切るのは得策ではないだろう。依頼と料金が届いたという事は、本当にこの少年が勇者なのだろうか。ならば、ともう一人の悪人面の男を振り返る。

「えっと、じゃあそっちのあなたは……」こんな森の中でいったい何を?と恐々と問いかければ、肩を竦める柄の悪い男。

「迷惑なことに、俺の方も同じ要件だ」ひらひらと依頼書を振りながら、立ち上がる男「まあでも、勇者もいるらしいし、俺はここで――」

「おお、それは好都合だね!」

「は?」「へ?」

何やら一人で納得して手を叩く無駄に爽やかな少年に、間抜けな声を出す他二名。

「きっと君の使いの子が、気を利かして俺の助っ人にもう一人雇ったんだろう。なんてったって僕は忙しい勇者だからね」勢いよく捲し立てられて、口を挟む隙もない。気圧されているこちらを気にすることもなく、鞄から何かを取り出す爽やか少年。「案じることはないよ、僕にはとっておきの移動手段があるからね。別ルートで落ち合おう、じゃあ!」

「あ、ちょっと!」

「おい!」

少年は制止の言葉も聞かず、何やら手を振りかざず。途端、土煙と共に消える自称勇者。忍者か、と内心で突っ込みを入れる。いや、異世界なら魔法か。

思いっきり降りかかった土煙に咳き込みながら、ちらり、と共に残された柄の悪い男を見る。残された伝手は、あと一人だけ。同じく咳き込んでいた男は視線に気づくと、溜め息を吐き、ガシガシと髪を掻き上げた。

「仕方ねえ。金は貰っちまったし、赤の広場だっけ? 連れてってやるよ」

「何を恩着せがましく」

「んだとっ!」

瞬間湯沸かし器の如く激高する男に背を向けて、溜め息を吐く。全く、なんて日だ。

真後ろには一際大きな木が一本あり、その周りを囲うように、ぽっかりと木々のない空間が広がっている。だが、その向こうで辺り一面広がる森を見る限り、今日は帰れそうにない。街にさえ行けば、「異世界とか言われて信じたとかウケるー。全部ドッキリですからー」みたいなオチもあるかもしれないが、何にせよ森から抜けない事には始まらない。

とにかく森から出よう、と一人決意していたところで、肩を叩かれて振り返る。

「おい、さっさと赤の広場に着いちまおうぜ」

「ああ、そうね」肩を竦める男に頷く。「えっと、まだ挨拶してなかったわね、私は――」

「知っている、マゼラだろ」

さらりと返されたそれに、出掛かった言葉を飲み込み頷く。マゼラ、マゼランじゃなくて、マゼラ。教科書でよく落書きされる冒険家みたいな名前だが、おそらくあのそっくり厨二病女の名前だろう。忘れないように、心の中で何度か繰り返す。

「そうそう、マゼラ。よろしくね」

「俺はシギ。短い間だが、一応よろしく」


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