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浦川 日歌里ノウラジュウニシ【side:U】

秋の風鈴

作者: 歌川 詩季

 秋の虫の声は、嫌いじゃないです。

 かん高い声の硝子(ガラス)玉のあいつとは

 ちがう風に(かな)でられてんだ

 だみ声した羽音(はおと)だと言われちゃあ

 それもしかたのねえことだろうぜ


 夏に吹く風が運ぶのは (りょう)

 汗がひたいにはりつけた 前髪をはがしてく

 あぁ こいつはありがてえ

 気怠(けだる)い8月の夕涼み


 鈴の()()れるなら

 渇いたかすれ声は 夏の口から

 麦茶を飲み干したら ひとっ風呂(ぷろ) 浴びてこい

 夜風にかわったころにゃ またべつの

 風情(ふぜい)を楽しめることだろうさ



 すきとおった硝子(ガラス)玉のあいつとは

 ちがう風をつかまえてんだ

 耳(ざわ)りな羽音(はおと)だと呼ばれちゃあ

 それもしかたのねえことだろうぜ


 秋に吹く風が運ぶのは (あい)

 涙がほおにはりつけた うしろ髪をはがせずに

 あぁ こいつはやっかいだ

 物憂(ものう)げ9月は いと(あわ)


 鈴の()(うれ)うなら

 むせび(なげ)く声は 秋の心と

 柿でもかじったら ひとまわりしてくるか

 落ち葉が紅いうちは まだおなじ

 風景にしがみつけるだろうさ

 セミはうるせえ。


挿絵(By みてみん)


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【同一課題作品】
風立ちぬ
作者:日浦海里先生
― 新着の感想 ―
[一言] >鐘の音ねが嗄かれるなら >渇いたかすれ声は 夏の口から >鐘の音ねが愁うれうなら >むせび嘆なげく声は 秋の心と 気付いた時、「うわっ」て声に出しちゃいました。 本当にうわって言うんだ…
[一言] 「秋に吹く風が運ぶのは 哀」という言葉がとても好きです。秋って明るい夏の後だからか、少し寂しさを感じさせますよね。でもその雰囲気こそが秋の魅力であるとも思います。 たまたまこの前近所で冬の風…
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