3-000 創世神話
むかしむかし、世界には空も大地もなく、すべてが混じり合って混沌としていました。
その混沌とした世界に、2柱の神が生まれました。
大地の神と、空の神です。
神が生まれたことで、世界に大地と空ができました。
混沌の世界は終わったのです。
大地には植物が、獣が、人間が生まれ、空には太陽と星が生まれました。
混沌の世界には見られなかった、明るい、活気ある世界でした。
しかし、その世界にも翳りが射します。
大地の神と、空の神が、衰えたのです。
生まれたものは、いつか必ず、死を迎えます。
それは神とて変わりません。
6000年という長い年月を生きてきた2柱の神の寿命は、尽きかけていました。
老いた神の肉体からは、瘴気が溢れ出しました。
瘴気は大地を、空を覆い尽くし、それを吸った獣や人間は凶暴化し、本能のままに暴れ回りました。
自分たちの老衰で生物たちが狂うことに胸を痛めた2柱の神は、生物たちを救う方法を考えました。
瘴気は神の意志とは無関係に、神の肉体から湧き出てしまいます。
外に出たその瘴気を、空の神が吸い込み、体内に結界を作って閉じ込めました。
これで、獣も人間たちも、瘴気の脅威から逃れられることになりました。
けれど、神の寿命が近いことに変わりはありません。
神が死んでしまうと、世界は元の混沌に戻ってしまいます。
混沌の中では、人間も、獣も、そして植物も生きられません。
大地の神は、自身の肉体を作り変え、大地の奥深くに方舟を作り始めました。
世界が終わる前に、生物たちが新たな世界に旅立てるように。
1000年後、大地から現れた方舟は、新天地を目指して飛び立ちます。
人間たちよ、獣たちよ、植物たちよ、大地に生きるすべての者たちよ、方舟に乗りなさい。
それは神の寿命による滅亡から逃れる、神の用意した、唯一の方法なのです。
神々は、あなたたちが新天地で新しい生を送ることを望んでいるのです。