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78.地上戦

 天登あまとが、正門へたどり着いたとき、敵は既に門内へ入っていた。


 龍虎りゅうこを筆頭に、そばには狼の頭にスーツ姿の獣人がついている。後ろには夥しい数の妖魔。


 「伍代さん!」


 「あぁ、天登あまと、ご苦労だった」


 「ここからですね」


 「あぁ」


 伍代は皆に呼びかけた。


 「龍虎りゅうこは俺が引き受けた! 狼の獣人史竜しりゅうは、胴間! 天登あまと日皐月ひさつき慶次けいじ! 残りはお前たちのチームでやれ!」


 「はい!」


 同じ頃、東門では、斬馬刀を肩に担いだ鉄切りの真宗を筆頭に、多数の妖魔が集結していた。


 敵の姿をみて、にしきは前へ出た。


 「瑠川るかわさん、あの角刈りの大刀担いだやつ、俺がやってもいいですか?」


 「あれは人間ね。なんで妖魔についてんだか。因縁あり?」


 「はい、昔、ちょっと」


 「わかったわ。あとは私たちで引き受ける」


 「ありがとうございます」


 にしきが中央へ歩み出た。


 「真宗……」


 「驚いた。にしきじゃねえか。ゴテンに入ったと聞いたが、本当にいたんだな……」


 「あぁ、今日は出撃してなくてよかったよ……」


 「にしき、お前とは、いつかこんな日が来ると思ってた」


 「全くだ……」


 にしきが大刀に手をかけ、一気に真宗への距離を詰めた。


 「へっ、相変わらずの猪突猛進かよ」


 真宗が斬馬刀を振り下ろす。

 にしきは紙一重でこれをかわし、スピードを落とさず突進した。

 大刀による突きの姿勢のまま、身体ごとぶつかっていく。

 真宗は心気を回転させ、地面から巻き起こるかまいたちを起こした。

 にしきの身体は吹き上げられたが、「悪手!」にしきは遠隔操縦の手で木をつかんで引っ張り、姿勢を保ったまま地面へ着地した。


 「小細工を……」


 真宗の不敵な笑み。


 「どっちが……」


 にしきはかまいたちでかすった腕の切り傷を舐めた。


 「どれ」


 真宗が斬馬刀を振りかざし、にしきの間合いへ入った。

 にしきも大刀で受ける。

 背丈以上もある大刀を振り回し、激しく切り結ぶ2人には、誰も近寄れない。


 「腕を上げたじゃねぇか」


 「あんたは鈍ったんじゃねぇか」


 互いに急所を狙って斬撃を入れてはいるが、相手の巧みな切り払いで防がれる。


 ギリギリの攻防だ。スピードが徐々に上がってくる。


 「俺でも、目で追うのがやっとだ……」


 五右衛門ごえもんが呟いた。


 「私は、もう見えない」


 樹々《じゅじゅ》がポカンとしている。


 「さぁ、あのボスはにしきに任せて、私たちはこの数百の妖魔が相手よ! 気張りなさい!」


 瑠川るかわ隊、五右衛門ごえもん、樹々《じゅじゅ》は、それぞれ戦闘の構えをとった。

 五右衛門ごえもんは刀を抜き心気を込める。

 樹々《じゅじゅ》はゴーレムを3体召喚した。

 瑠川るかわは鎖鎌を取り出し、切っ先に青い心気を込めた。


 「さぁ、いくわよ!」


 妖魔の大群が3人に襲いかかる。

 樹々《じゅじゅ》はゴーレムの1体は近接戦に向かない自分の護衛とし、2体をやや前方へ出して暴れさせた。

 6血程度だと互角以上に闘うが、敵がこれより強いとゴーレムも腕を落とされるなど、損傷していく。

 樹々《じゅじゅ》はその都度ゴーレムへ心気を送り、損傷箇所を修復しながら戦っている。


 五右衛門ごえもんは、獲物を使う妖魔を相手に、殺陣を展開して防戦する。

 刀の道を一直線に歩み、剣を扱う技術だけなら誰にも負けない自信がある。

 心気を乗せることで威力に硬軟を混ぜることもできるようになった。

 8血以上とみられるレベルの妖魔も、危なげなく五右衛門ごえもんは打ち倒していった。


 瑠川るかわは鎖鎌を使って敵との距離を保ちながら戦いつつ、右腕への心気集中を同時に行う。

 十分に溜まると、何十メートルもの鞭のようにしならせた心気を作り出し、円を描くように付近の敵を一網打尽にする。

 瑠川るかわ隊は、隊長を中心に各々連携しながら手近の敵とやり合う。


 強い妖魔に苦戦しがちな五右衛門ごえもんと樹々《じゅじゅ》は、一定期間に入る瑠川るかわの支援により、なんとか戦線を保っていた。

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