表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/99

56.スプリングブリッジ


 「いくぞチビコラァ!」


 2体はアクセル全開で並行にバイクを走らせ、にしきへ向かってきた!

 2台の間隔はおよそ3メートル。

 にしきを間にして通り過ぎるような格好で向かってきた。

 

 にしきも距離を詰める。互いにすれ違いそうになったその時、にしきは2台の間にキラリと光るものを感じ、咄嗟に宙へ飛んだ。

 2台は急ブレーキをかけ、にしきへ向き直る。


 「へへ、気付いたみてぇだな!」


 「目がいい奴だ!」


 にしきは目を凝らした。

 並行して走る2台の間に、鋭い糸が何本も渡してある。


 「これが俺たちの技、スプリングブリッジだ!」


 「俺たちはバイクで並走する時、一瞬で間に鋭い妖気の糸を渡すことができる。間に入った人間は、ズタズタに細かく、切り刻まれるって寸法だ」


 「これで何人警察をミンチにしてやったか、ハハハハハ!」


 「こんなこともできるんだぜ!」


 ヤマキは高速でバイクを飛ばし、にしきへ向かってきた。

 途中で車体を寝かせ、滑るように突っ込んでくる。にしきは跳んで避けようとしたが、はっと気づき上を見た。なんとアキラが乗車したままバイクをジャンプさせ、寝かせた車体のヤマキのバイクと、空中で立体的に並走の形を取っている!


 「スプリングブリッジ!」


 2体が叫んだ。

 にしきは剣で糸を断ち切ろうと構えたが、相手がそれを想定しないはずがない。

 丘を降りるように横へ流れ避けた。

 丘の下では相手を見上げる形になり不利になるが、それしかなかった。


 「よく見切ったな」


 アキラがアクセルをふかしながら叫ぶ。


 「この糸は、生物にしか触れない。生物を切り刻むためだけの、妖力で作った糸だ。生物以外のこの世の物質には反応しない。すり抜ける」


 「けっ、もうちょっとだったのによぉ、勘のいい奴だ」


 ヤマキが残念がる。


 「大丈夫だヤマキ。俺たちは丘の上。あいつは下だ」


 「そうだなアキラ。俺たちが絶対有利だ」


 「次で決める!」


 高らかとエンジン音を響かせ、2台のバイクがスタートした。グングン加速し、一気にトップスピードに達する。

 2台の間隔は30メートルほど。丘の端に達した時、2台は大きく飛び上がった。


 「スプリングメッシュ!」


 2台の間に渡された鋭い糸が瞬く間に網の目のように張り巡らされ、まるで大きな風呂敷を広げたように空中に展開された。

 同時に2台の間隔が広がっていき、糸の網も拡張していく。

 2台は最高点に達し、車体を地上に向けた。


 「行くぜ!」


 2台はハードランディングするかのように、高速で地上に突っ込んできた! 2台の間には風呂敷のように広げられた網! 鋭利な糸で編まれている。

 2台のスピード、網の範囲、いかに高速で移動しても、かわしようがない。


 「終わったな」


 丘上で観戦していたトオルが呟いた。


 誰もが、にしきの負けを確信したが、にしきは落ち着いていた。

 おもむろに左手にはめていた黒手袋を外す。

 そこには、赤い筋肉や神経が剥き出しの手が隠されていた。


 「何してやがんだ。殺される準備かぁ!?」


 にしきを中央に定め、網の目で切り刻もうと突っ込んできていたヤマキは叫んだ。


 「悪手!」

 にしきが手袋を外した左手を伸ばし、空を握った。

 何かを掴むような仕草だ。すると、不思議とヤマキの身体がバイクから離れた。


 「へ??」


 ヤマキは信じられないような顔をしている。

 なんと、ヤマキの襟首を、手首の先だけになったにしきの赤い手が、掴んでいる。にしきは空を握った手をそのまま、反対側へ払った。

 すると遠隔で同じ動きをした赤い手が、ヤマキをすごい力で投げ飛ばした。


 先にはバイクに跨ったアキラがいて、投げ飛ばされたヤマキはアキラにぶつかり、2体は墜落した。

 

 スプリングメッシュは消え失せ、ヤマキが乗っていたバイクも落下した。


 トオルが呟いた。

 「ほう」


 起き上がったアキラとヤマキは顔を見合わせている。


 「なんだ今のは。いきなり手首の先が現れて、俺の襟首をつかんでお前の方へぶん投げた。あいつの技か?」


 「みろ! また黒い手袋をはめている。あの左手で今の技を使うんだ」


 「なんてやつだ……」


 「さぁ、乗り物は捨てて、そろそろちゃんとやろうか」


 にしきの声に2人は戦慄した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ